「ほら、あれが、カリブー氷河じゃ」
向こうの山から、ひと筋の氷河が、まっすぐ海へ、落ちています。
「氷河は、目に見えないくらい、ゆっくりと動いているんだよ。
ひょっとして、何百年かたったら、氷河の先っぽから、カリブーとオオカミの死がいが、出てくるかも知れないね」
「ふ〜ん」
ときどき、スローモーション映画のように、氷がくずれ、おどろいたハクガンが、真っ青な空に、ぱっと、舞いあがります。
子どもたちは、父親カリブーを思いやって、クジラの泳ぐ海を、じっと見つめていました。