「さすがに、オオカミだ。
とうとう、カリブーたちを、氷河の上に、追いつめてしまった」

『このままでは、子どもが食べられてしまう』

とっさに、父親カリブーは、首をあげ、スキを見せる。
すかさず、オオカミが、食らいつく。

「そっ、それで、どうなったの」
ユクも、マータも、手に汗をにぎって、むちゅうで聞き入っています。

「父親カリブーは、最後の力をふりしぼり、オオカミもろとも、氷河のクレバスへ、落ちていったんだ」