『金太郎じいさん、トキを、みはってくれ!すきをみて、なんとか、つかまえてくれ!』
役所の人が、熱心に頼みます。

『そりゃあ無理です。トキは自然の生きものだから、あまり近づき過ぎると、遠くへ逃げて行ってしまいます』

役所の人は、あきらめません。なおも強く言いました。
『日本から、トキがいなくなったら、どうするんだ。金太郎じいさん、力をかしてくれ!トキを守ってくれ!』

自由に飛んでいる鳥を、檻に入れるなんて、かわいそうだ。でも、トキが消えてしまうのは、もっと寂しい。
金太郎じいさんは、悩んだ末に返事をしました。
『駄目かもしれませんが、やってみます』

つぎの日から、金太郎じいさんは、まいにち同じ黒いカッパを着て、トキに近づいていきました。