夏が過ぎ、虫の声が賑やかに聞えるころのことです。
幼い一羽のトキが、西三川(にしみかわ)の村里に現れ、大さわぎになりました。

『トキがいたぞー!』

ひとめ見ようと、日本中から、新聞記者や、テレビ局の人や、大勢の見物人たちが佐渡島にやって来ます。

親からはぐれてしまったのでしょう。トキは寂しそうに田んぼをつついて、エサを探しています。

『このままでは、タカやイタチに、おそわれてしまう』

役所の人が、網で捕獲して、保護しようとしましたが、うまくいきません。
『困った、良い方法はないかなあーーーそうだ、金太郎じいさんに頼もう』