『ズッガ―ン!』

突然、キャノンネットのごう音が、佐渡島の静かな村里に響きました。

とうとう、日本最後の野生のトキが、捕らえられたのです。昭和58年1月22日のできごとでした。

私たちはもう二度と、大空をゆったり舞い飛ぶトキを、見ることはできないのでしょうか。

これは、世界中でだだ一人だけ、野生のトキと、心をかよい合うことができた、宇治金太郎じいさんと、トキの物語です。

   文:山口 ぶんいつ
   絵:山口 さち子
キンは2003.10.10に、保護センターで、36歳(推定)の生涯を閉じました。
キンは、日本で生まれ育った最後のトキでした。
人間の年齢になおせば、ゆうに130歳を超える命だったのです。
野生で生まれたのトキが、これほど長生きしたことは、奇跡としか言いようがありません。