すっかり、なついたトキは、金太郎さんじいの手から直接エサを取って、食べるようになりました。

ドジョウのない日は、真野湾で釣った、新鮮な小アジの頭を落として食べさせました。
『たくさん、おあがりなー』
お腹がいっぱいになると、トキは、金太郎じいさんのひざの間で、丸くなって居眠りをします。

『かわいいのおー』
安心して、スヤスヤ眠るトキがいじらしく、
『檻なんかに閉じ込めないで、このまま、ずっと、面倒みてやれたらなあー』
金太郎じいさんは、心からそう願いました。

そんなある日、役所の人から、催促の電話がきました。
『早く、トキを、つかまえて欲しいのだが・・・』

役所の人は、保護センターにいる他のトキとつがいにして、卵を産ませようと計画していたのです。