イボタノキは大声をあげました。すると、蜂たちがいっせいに、じゅうたんの形で飛んできて、ハニーフウをすくいあげ、空高く飛んで行きました。
「ここらあたりでよかろう」
蜂のリーダーが声を掛けると、蜂たちのじゅうたんは、さっと分かれて一匹一匹になりました。
ハニーフウは、谷底にまっさかさま。
ついに、四時になりました。
ハニーフウは、寝転びながら蝶や虫たちを食べています。
「今日は、やけにハチどもがいないや。でもハチの匂いは、プンプンしているぞ」
きょろきょろと周りを見ながら
「もうすぐおれさまに食われちまうぜ」
ハニーフウのしたたかな笑い。
「ハチどもは、おれさまの匂いの素だからな。このなんとも言えない匂いはハチから。このなんとも言えない美しさは蝶をたべているからなのさ。ウワハハハ」
「なんか、こわい」
ササユリが身体を震わせました。イボタノキは、蜂たちのスタンバイを横目で見ながら小さい声で言いました。
「まあ、見ていてごらん」
ハニーフウといえば、そんなこととは知らずに、のんびりあくびをしながらころがっています。
一斉に、ユウスゲの花が首を持ち上げながら咲き出しました。 ハニーフウは、ユウスゲの花に持ち上げられる格好で、少し地面から身体が持ち上げられたその瞬間、
「いまだ!」

