そばで、ササユリがそっと
「だめよ。この匂いについて行っては。悪い奴なの」
「だって、悪い奴はこんな良い匂いはしないよ。殆どの悪い奴は、汚くて臭いよ」
「ほんとに何も知らないのね。今にわかるから」と、ササユリが言いました。
「ササユリさんが言うのだったら、信じようよ」
「うん、そうしよう」
蝶たちにも、何か違った雰囲気が伝わりました。
ハニーフウが丘の真中で、立ち止まりました。
「ここらあたりにするか。蝶もおるし、虫たちもおるし、蜂は見当たらないが、すぐわたしの匂いに寄って来るわい」
ハニーフウは、どかっと重い身体を丘の真中に横たえました。
イボタノキは、ハニーフウが『ゆうすげの丘』のまんなかあたりに座っていることを風から聞き、ほっとしました。なぜなら、このことがこの作戦では一番重要だからです。イボタノキはもう一度考えます。
1. ヤマホタルブクロに蜂を呼び寄せてもらう事に成功。
2. 蜂に協力をしてもらうことを了解。
3. ハニーフウがゆうすげの丘の中心に居ることを確認。
4. あとは、一時間待つだけだ。
イボタノキは、慎重です。
「これでしくじったら、ハチさんの命はないぞ」
♪♪ ♪ ♪♪

三時過ぎの『ゆうすげの丘』は、蝶や虫たちも調度おやつの時間です。
「今日のおやつは何にしようかな?」
「ぼくは、オドリコソウにしようっと」
「わたしは、フタリシズカにするわ」
蝶たちは、それぞれに好みの花に向かうのでした。
「あれ?ねえ、この甘い匂いは何の花?」
「こんな良い匂いは初めてよ」
そばで、ササユリがそっと
「だめよ。この匂いについて行っては。悪い奴なの」
「あれ?ねえ、この甘い匂いは何の花?」
「こんな良い匂いは初めてよ」
