
―それからしばらくたったある日―
ふたごのミコちゃんとター君が、初めておじさんのお店にパンを買いに来ました。お母さんが病気になったのです。毎朝、おじさんの焼いたパンを食べているふたりは、
「ママ、今日もおじさんのパンが食べたいよう」と、ママを困らせました。
「ママね、買って来てあげたいけど、少し熱があるみたいなの。わるいけど、ふたりで買って来てくれない」
「うん、いいよ。ねえ、ター君」 「ぼくもいいよ。フフフ」
そこで、お母さんは、パン屋さんの地図とお金と毎日食べている《はちみつクロワッサン》と書いた紙をふたりに持たせました。
「行って来るね」と、少し不安気なター君。「ママ、ちゃんと寝ててね」と、ミコちゃん。
ママは、心配そうにふたりを見送るのでした。
「あっ、あそこだよ。フフフ」と、ター君。
「おはようございます。《はちみつクロワッサン》を三つ下さい」
おじさんは、ママから電話をもらっていたので、ふたごのことが、すぐわかりました。
「ああ、いらっしゃい。これだね。いつもありがとう」
「フフフ、これこれ・・これだね。ミコちゃん」 「そうそう」と、ミコちゃんは、ター君の顔を見ながら、ひと安心。
ふたりは、パンを大事そうに抱えて帰って行きました。
「大切に持って帰るんだよ」パン屋のおじさんは、なにやら不思議な笑顔で、ふたりを見送りました。
