
おじさんは、慌てて箱をかつぎ、車へ運びました。車の後ろはパンが冷めないようにいつもあたたかくなっています。おじさんはそこに蜂の巣箱を置き、ふたを開けて、
「さあ、寒かったろう。こわかっただろう。ゆっくりおやすみ」そう言って、また車を走らせるのでした。
やっと嵐も収まり、辺りは明るくなってきました。
おじさんのお店は森をぬけたところにある、かわいい赤い三角屋根のお店です。そこで、朝だけパンを売っているのです。なぜなら、おじさんが焼いたパンは、お昼までには全部売切れてしまうからです。
「毎日?」 そう、毎日です。
おじさんが慌てて開店準備をしていると、車の中から蜂がいっぱい飛んで出て来ました。
『ブーン、おじさん、ありがとう。おかげさまで誰もけがが無く全員元気です。巣箱は、すみませんが森のおじさんの家まで運んでおいていただけますか。助けてくれて本当にありがとう。ブンブンブン』
蜂たちは、羽を一斉に震わせながら、
森の方へ飛んで行きました。
「ああ、良かった」
おじさんは、やさしく微笑んで、
忙しく、お店にパンを運んでいきました。
