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そのころ、保護センターの研究者たちは、残された数少ない日本のトキから、なんとかヒナを誕生させようと、頑張っていました。
トキは、とても夫婦なかの良い鳥です。
繁殖期になると、頭の毛の色が黒く変り、くちばしで枝をくわえ、互いに受け渡しをしながら、巣作りをします。
トキは、卵を産みましたが、ヒナはかえりません。研究者たちは、巣から卵をとりだして、保育器で温めてみました。それでも、ヒナは産まれません。
あまりに遅すぎたのです。
ねぐらとなる高い木が切り倒され、農薬で汚れたエサを食べ続け、体が弱っていた日本のトキには、健康な卵を産む力がなかったのです。
役所の人も、日本中の人々も、みんなが、もっと早く気づいてトキを守っていれば、決して、こんなことにはならなかったでしょう。 |