開発の経緯:JR東海管内の中でも有数の観光地である高山。高山の名古屋を結ぶ「ひだ」に使用されている80系気動車の老朽化しており
観光輸送には適さなくなってきていました。そのためサービス向上を狙い、1989年にJR東海初の特急形気動車として誕生したのが
キハ85系です。1992年には、80系気動車を使用していた南紀方面の「南紀」にも投入され、これを全て置き換えました。
車両の特徴:JR東海の特急に”ワイドビュー”という愛称を最初に付けられたこの車両は、その名にふさわしく非常に開放的で窓からの
眺望も眺めやすくなっており、居住性もキハ80に比べて大幅に向上。また、先頭車両の形状は非貫通型と、増結を考慮した貫通型の
2種類があり、需要に柔軟に対応しています。さらに、小ぶりながら絵入りトレインマークも付いています。
車両は、普通車主体のキハ85、半室グリーン車のキロハ84、グリーン車のキロ85などで、構成され、需要に応じて柔軟な編成を組むことが
可能になっています。客室の通路と座席には段差があり、ひじ掛けと窓枠の位置が同じ高さになっております。
「ひだ」の1往復は、岐阜駅から大阪駅に直通する列車で、途中の米原駅で、車掌がJR西日本に代わります。JR西日本の京阪神地区で
ワイドビューチャイムが聞ける唯一の列車でした。(2016年3月までは、長野からの「しなの」
も大阪まで運転されていました)
「南紀」も新宮駅で、JR西日本の車掌に代わります。紀伊勝浦駅までの一駅ですが・・・
製造は日本車輌製造・新潟鐵工所・富士重工業の3社です。2022年3月のダイヤ改正で「ワイドビュー」の愛称はなくなりました。
現在運転の列車は、「ひだ」:大阪・名古屋〜高山・飛騨古川・富山、「南紀」:名古屋〜新宮・紀伊勝浦
製造から30年以上も経過しており、HC85系
の置換えが完了。現在は京都丹後鉄道に譲渡の4両が残るのみです。
京都丹後鉄道では、KTR8500形として4両が在籍。うち2両は部品取りとして、2両が2024年3月から宮福線や宮豊線などで使用。
特急「たんごリレー」や快速・普通列車で土・日の運用に使用されています。(2024年3月現在)
グリー座席装備のキロハ84形とキロ85形は、廃車され形式が消滅しています。