
「そうだ。広告をだそうよ」
「そうね、今はPRの時代ですものね」
「イボタノキさん、あなたは長く生きているのだから、
広告を考えてよ」
「よし、考えてみる」
イボタノキは、近くでつぼみをふくらませている
ヤマホタルブクロを見ながら言いました。
イボタノキは、毎日毎日、情報集めにひっしです。
「風さん、悪い奴のこと、できるだけ詳しく教えてよ」
「雲さん、悪い奴のこと、知っているだけ教えてよ」
「太陽さん、悪い奴は、昼間はどうしているのか
教えて」
「月さん、悪い奴は、夜どうしているの」
「星さん、悪い奴のこと、何でも良いから教えて」
ここは伊吹山の三合目あたり。初夏というのに寒い風が吹き抜ける。最近、蝶や蜂や虫たちがやけに少ない。
「ねえ、あぶの三太郎を最近見た?」
「うんにや、見かけないなあ。また、ブンブン悪さをしているのじゃろか」
「でも、三太郎は悪さはするが、こんかぎりの悪じゃないわ。それにいつも挨拶にきてくれるもの」
「そうだな。そういえば蝶々のウララさんも蜂の文太郎も見かけないよな」
イボタノキとヤマアジサイがしきりに話しています。今までなら六月になると『ゆうすげの丘』あたりは一面色とりどりの花で一杯になり、蝶や蜂などで毎日が縁日のように賑わうのです。
「こんにちは!やっと私たちの季節が来ましたね」
ササユリやコオニユリが嬉しそうにうなずきあっています。
「でも・・・聞いた?最近、悪い奴がこの丘に居付いたってこと」
「ええ、聞いたわ。とても・・・おお、思い出しただけで身震いしちゃう」
「ねえ、それってなんだい」と、イボタノキが尋ねます。ササユリは声をひそめて、
「悪い奴がこの丘にやって来たの。この丘の虫たちを全部食べ尽くすって言っていたそうよ」
「えっ、もし、もしもよ、虫たちが居なくなったら私たちも・・・そう、私たちも生きて行けないわ」と、半べそをかいてヤマアジサイがうろたえます。
「誰か、そいつをやっつけてくれる人を探そう」
「どうやって?」
四人の花たちは一生懸命考えました。
