● 【熊棚・くまだなの会】のはじまり

 【熊棚・くまだなの会】の発足は、2001年5月に京都嵐山の街中で起きた、ツキノワグマ射殺事件がきっかけでした。
 たまさか嵐山の人形教室に通っていたカミサン(さち子)は、その事件に大きな衝撃を受け、
 『とうちゃん、クマが殺されているんや、助けなアカン!』
と、真顔で訴えてきたのです。

 カミサンは若い頃に、動物ふれあいイベント会場で、檻に閉じ込められた子熊を助けようとカンヌキに手を伸ばしたとき、腕をガブリと噛まれた経験があります。
 『子熊の歯茎の感触が、今でも記憶に残っているの』
 『それと、熊はとっても賢い動物だよ。自分を閉じ込めた相手をちゃんと覚えていて、檻から飛び出すと、その男の子ばかり追いかけ回していたわ』
 昔から、カミサンのツキノワグマへの思い入れは、相当なものでした。

『雪国動物記』 高橋喜平著、PHP文庫より

 嵐山の一件から、せっせと動物保護団体にアプローチを始めました。NACS−Jに入会し熊保護を訴えたり、野生動物保護の心情を新聞に投書したり、NHKにもクマ保護番組の放送を迫ってみたりしましたが、芳しい反応はありません。
 『とうちゃん、自分たちでやるしかないよ。一緒にやって!』
否応なく、私に矛先が向けられました(笑)

● 山の記憶

 全ての野生生物には、山の記憶があります。それは彼らが生き抜くための、採食の記憶です。

 野生生物の生涯は、子孫繁栄と、ほとんどが餌を食べること。例えば、ツキノワグマの場合、2歳半ころまで母グマに付いて、山中を歩き回り、いつの季節に、どの場所に行けば、何を食べることができるのかを、母グマから教わります。それが山の記憶として、子熊に植え付けられるのです。

 ところが、私たち人間が彼らの生活圏に深く入り込み、山を開発し荒れ放題にしている結果、山の記憶が途切れたり、あるいは幼くして母グマを密猟で殺され、山の記憶を満足に受け継ぐことすらできなかった熊たちが、餌を求めて里に降りて来ると、熊は人間にとって危険な動物だからと、次々と殺され続けています。
 熊だけでなく色々な生き物が被害に遭っています。こんな理不尽なことはありませんね。


● 【熊棚・くまだなの会】の活動

 全ての野生生物の、失われてしまった山の記憶を甦らすために!

  ★紀伊半島の高山帯に、全ての野生生物が安心して棲める、
    実のなる広葉樹の森を造ります。

  ★木々が育つまで、町の公園などで拾ったドングリを、
    高山帯に設けた餌台に運びます。

  ★子どもたち誰もが持っている、自分より弱い立場のものを思いやる心持ちが、
    いま以上にスクスク育つよう、自然保護・野生生物保護啓蒙を行います。

 昨年4月から、【熊棚・くまだなの会】は、紀伊半島NPN(自然保護ネットワーク)に加わりました。紀伊半島のフィールドで、想いを同じくする皆さんとともに、特に絶滅に瀕しているツキノワグマ保護を活動の象徴に位置づけ、紀伊半島の美しい自然を、子や孫たちに残すべく活動を続けます。


● ますます活動の輪を広げて行こう

 【熊棚・くまだなの会】が発足して1年半が経過しました。この間、全国の皆さまから多大なご支援を賜り、昨年は650Kgを超える量のドングリを餌台に運ぶことが叶いました。
 また、福島県郡山市の天性寺をはじめ、三重県主催・子どもメッセinみえ、三重県上野市立西小学校、名張育成園、奈良県山添村・勝原地区を訪ね、子ども自然教室を開催することができました。

 私どもの、これからの活動のよりどころになることを願って、会報を作りました。題して『森の落書き帖』、皆さんの自然や野生生物に対するお気持ちを、落書き感覚で、どうぞご自由に書き込んでください。
 エッセイ、詩歌、絵、写真、版画、どんな形式でも構いません。ドングリ拾いのスナップ写真も大歓迎です。編集子まで、どしどし送ってください、お待ちしています。

 日本は資源の乏しい国とよくいわれますが、私は決してそう考えてはいません。確かに石油や鉱物資源は乏しい国ですが、一億二千万余の素晴らしい人々と、美しい緑の山々と、なによりもこれほど水の恵み豊かな大地は、世界中を見渡しても何処にもありません。
 自然破壊、地球温暖化、異常気象、相変わらず世界各地でくり返される紛争の数々・・・。そんな時代にあって、地球で生きる一員として、私たちひとり一人が、地球のため、自然のため、野生生物のために、日本の自然を守り、後の世代に受け渡すことはとても大切ことです。それは、とりもなおさず、より大きな幸せとなり私たちに還ってくるのですから。

 保護だけを、駆除だけを、互いが声高に言い合うのではなく、人間と野生生物が共存共栄できる道を、今、私たちは拓いてゆかなければならないと思います。



山のエサ台は、もう一つの、
新しい森造りです
【森の仲間たち】(株)どうぶつ出版 写真:目黒誠一、西村豊ほかより
 

 ホームページ【熊棚・くまだな】のボランティア会員登録をして戴いた皆さん、遠くに近くにあって、私たちの活動に共感してくださりドングリなどを送ってくださった皆さん、口コミから賛同してくださった皆さん、自然保護・野生成物保護べんきょう会を通して、ご協力くださった皆さん・・・・・・・あらためて、お名前を書かせて戴くと、ほんとに大勢の方々の暖かいお心ざしを頂戴しているんだなと、感謝の心持でいっぱいです。ほんとうに、ありがとうございます。
 今後とも、ご支援を賜りますよう、よろしく、お願い致します。


【山形県】 佐藤さん、小野さん
【福島県】 天性寺・木町さん、北本さん
【茨城県】 天野さん
【群馬県】 鹿山さん、川村涼君、川村拓巳君
【千葉県】 安本さん
【埼玉県】 西村りおはちゃん、西村なはらちゃん
【東京都】 西村さん(にこ山)、梅原さん(にこ山)、錦辺さん
【神奈川県】金井あやちゃん、金井りく君、Chifuさん
【愛知県】 嶋津さん、池戸さん
【京都府】 藤原さん、松永さん、山田さん、梶原さん、梶原大嗣君
【大阪府】 高見さん、森本さん、藤岡さん、株田さん、株田啓任君、大西愛ちゃん
       山さん、山有加里さん、山和成君、山友紀子さん、山和弘君
       原井れおちゃん、原井みおちゃん、原井しょうま君、
       大村さん、松鵜さん、鈴木さん、西村さん、相原さん、橋本さん、人見さん
【奈良県】 豊央保育園・先生方、園児の皆さん、
       山添村勝原地区・中谷さん(若いお父さん、お母さんのグループ)
       川崎さん
【兵庫県】 井野さん
【和歌山県】東山先生、冨田さん、山口さん(大阪府)、太田さん、松下さん
        (紀伊山地野生鳥獣保護友の会)

【三重県】 名張育成園・佐藤さん、石塚さん、藤原さん、下岡さん、村上さん、戸口さん
       北山さん(絵本の部屋)、森山さん、大西さん、木平さん、富森さん
       山田さん、秋本さん、楠岡さん、菊池さん、林さん、森さん、
       服部さん(桔梗が丘・若いお母さんのグループ)
       加藤さん、横関さん、松本さん、松下さん、岡田さん、中岡さん
       今村さん、西亀さん(You)、数本さん、秋山さん、飯田さん(子どもメッセinみえ)

     上野西小学校・中森先生、野田こうへい君、高橋もえちゃん、松村しゅうと君、
       北森ふみや君、佐藤ようこちゃん、中山みゆきちゃん、東口つぐみちゃん、
       松岡ゆなちゃん、森野たけし君、山本りょうま君、太田つばさ君、
       高野すずかちゃん、中林しいなちゃん、森井なおちゃん、大中ていじ君、
       中尾りょうた君、岡島せいじ君、武嶋さきちゃん、岡森だいすけ君、
       菊野まりちゃん、竹島ともき君、亘理かおりちゃん田中あんなちゃん、
       高野なつみちゃん、伊藤こうき君、粟田かなえちゃん、古屋さとし君
       山本まいちゃん、稲森あきら君、森井なおちゃん
  森の一口メモ

 森林が完全にバランスが取れた状態に向かっていくと、針葉樹と広葉樹が混じり合った針広混交林へとなっていく。これを極盛相の森という。
 自然のなかでここまでなるには、三百年から五百年の歳月がかかると言われています。
 
 

4月 5月 6月 7月 8月 9月
紀伊半島NPN
春の植樹会
『森の落書き帖』
2003年・夏号発行
福島県・郡山市
天性寺
【緑蔭禅のつどい】
自然保護
べんきょう会
ドングリ運び開始

『森の落書き帖』
2003年・秋号発行
10月 11月 12月 1月 2月 3月
ドングリ運び

紀伊半島NPN
秋の植樹会
ドングリ運び ドングリ運び終了

『森の落書き帖』
2003年・冬号発行
『森の落書き帖』
2004年・春号発行
活動予定は変更になる場合がありますので、
最新情報は  をごらんください
皆さんと、
またどこかで、ご一緒できたら嬉しいね!
 

 やっと、会報を発行することができました。3月に発行する予定が一ヶ月のびてしまい、申し訳ありませんでした。季刊を目指しますので、応援、よろしく、お願い致します。楽しい落書き帖にしていきたいと思います。それには、皆さんが参加してくださることが一番です。ご意見、ご感想など、お気軽に、お寄せください。
 インターネットに接続されている皆さんには、『森の落書き帖』のURLをメールにてお知らせします。そうでない方々には、コピーを郵送します。
(誠に恐縮とは存じますが、Eメールアドレスをお持ちの方は、HP【熊棚・くまだな】から、会報購読を、お申し込みください。次号からはEメールにて配信させて戴きます。財政ひっ迫(笑)のため、ITを最大限利用したいと思います)

 4月13日、今年の春の植樹会も無事に終わりました。詳細報告はHPでご覧ください。
 そろそろ、夏のべんきょう会の準備に入ります。今年は【トキ・朱鷺】をテーマに取り上げ、コウノトリの野生復帰と合わせて、子どもたちへのメッセージにしようと考えています。


  【世の風を太く呑みほす鯉幟】ーーーーー百画(旧作です)

 春から初夏にかけて、最も心持の良い時候ですね。思いっきり自然と遊びましょう。皆さんのお便りを、お待ちしています。