【我ら共有の未来(Our Common Future)】 |
序章 |
「地球は一つ」から「世界は一つ」へ |
より豊かで公正で安全な未来を築くためには、世界が思い切った政治行動取り、人類の持続可能な進歩と生存を確保するための環境資源管理を開始することが必要である。 |
第一部 |
共通の関心ごと(Common Concerns) |
第一章 |
脅かされる未来 |
現在、世界は汚染の進行、資源の減少が環境の荒廃、貧困問題の悪化を招いている危機的状況である。 |
第二章 |
持続可能な開発に向けて |
より豊かで公正で安全な社会を築くためにには、全ての国々が持続可能な開発を国内政策と国内調和の最優先目標として、また評価基準として採用することにかかっている。 |
第三章 |
国際経済の役割 |
持続可能な開発の達成のためには、より公平で環境上の優先課題によりよく同調した通商、資本、技術の流れを生み出すような広範囲にわたる改革が必要である。途上国の開発機会の拡大を図るためには市場へのアクセス、技術供与、国際金融面における抜本的な改善が必要。 |
第二部 |
共有の挑戦(Common Challenges) |
第四章 |
人口と人的資源 |
人口政策の立案に当たっては、教育、保健衛生等の経済・社会開発計画と整合性を保たなければならない。家族計画の普及は社会開発の一形式であり、女性の自立の権利を認めるものである。 |
第五章 |
食料安全保障 |
増大する人口を養うのに必要な農業資源と開発技術は、過去、大きく進歩してきた。しかし、食料の必要な地域での生産の奨励と農村の貧しい人々の生活を維持するための政策は十分ではなく、安定した食料と生活を確保するための新たな戦略が必要。 |
第六章 |
種と生態系 |
持続性を確保するためには、空気、水、森林、土壌などの環境資源を保全するとともに生物及び遺伝子の多様性を維持することが必要。現在の国家的課題は限られた手段の中で保護を効果的に行うべく国家保全戦略を策定し、その実務に努力する」ことであろう。 |
第七章 |
エネルギー |
地球的な視野に立ったエネルギー戦略を検討する上では、エネルギー生産・消費の効率化と保全対策により、一次エネルギー資源の浪費を最小限に抑えること、エネルギー源に内在する危険性を認識し、人の健康の保護の徹底を図り生物圏の保全と局所的な汚染の防止を図ることが必要。 |
第八章 |
工業:少を持って多を生産する |
天然資源の一人当たりの消費量を減らすために、生産効率の改善を加速し、環境を汚染しない製品や技術への転換を図る必要がある。全ての国は環境規制を厳正に施行し、効率的な技術を奨励し、新たな製品、技術、廃棄物の環境影響を予測することにより環境汚染を未然に防止することが重要。更に途上国の技術革新能力は大幅に強化される必要がある。 |
第九章 |
都市問題 |
世界の経済システムは、通信・貿易の重層的ネットワークにより都市化が進行している。しかし、急速な都市化に対応するためには、生活基盤、公共サービス、住宅を提供・運営していく能力を高めていく必要があり、特に、都市環境の悪化が著しい途上国においては極めて重要であり、国際的にも国連人間居住センター(UNCHS、ハビタット)を中心に本件への取り組みを強化する必要がある。 |
第三部 |
共同の努力(Common Endeavours) |
第十章 |
共有財産の管理 |
海洋、宇宙空間、南極といった人類の共有財産は、それぞれ異なる「共有制」を有し、また開発段階も異なるが、持続可能な開発を可能にするためには、各国の共通の利益のために合意された監視、開発、管理についての制度と国際協力が極めて重要となる。 |
第十一章 |
平和、安全保障、開発、環境 |
貧困、不正、武力闘争、及び環境開発は相互に複雑な影響を及ぼしあう。持続可能な開発を達成し、環境への脅威を防ぐためには、各国が視野を広げ、国際平和と安全の基本的重要性を認識し、共同管理、多国間の折衝、多国間機構の活用が必要。 |
第十二章 |
共同の行動に向けて:組織と法制度の変革に関する提案 |
資源の劣化と貧困の相互作用の問題は、放置すれば国境を越えて地球的規模の環境問題となる。こうした事態に対処するためには、国際開発の全分野にわたり環境の監視、評価、研究開発、資源管理に高い優先度を与えると同時に、国際機関の機能を強化し、通商、投資などの分野の国際ルールを確立し、遵守するとともに国益が対立し調整を要する問題についても建設的な対話を行っていくことが重要。 |