| こわれた夢物語T | ||
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<この店に居着いてて何年になるのかな?> 犬は、ここの女主人が不平不満を言いながら太った身体をやたら忙しそうにしているのを目で追いながら、店の奥で無口な夫が開店の準備をしている音を聞いていました。この無口な主人のおかげで寝そべっていることができるのです。 「カランカラン」とドアの鐘が鳴って一番目のお客様です。女主人はドドーとテーブルに近づき、メニューを差し出しました。 「何にしますか」 うなるように聞きました。 「うーん、そうだな、ステーキにするか」 「ステーキ!…は、はい! かしこまりました。焼き方はいかが致しましょうか?」 |
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お客は玄関先の犬を見ながら、 そこへ美味しそうな肉が焼き上がって来ました。お客は一枚の皿を受け取ると、スクッと立ち上がり犬の前に持ってきました。 |
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| それを上のほうから見ていたカラスがいました。ワンと吠えたとたん、肉が犬の口から滑り落ちました。カラスはそれを見逃しませんでした。急降下し、さっと横取りして屋根の上へ飛んでいってしまいました。 <まあいいや、一枚ぐらい。中の犬のを取り上げてやるさ。> お店の中をのぞくと、何と、中の犬はもう肉を持っていません。 <あれ!> 犬は右足を上げると、中の犬も同じ格好をします。首を傾げると、中の犬も首を傾げます。 <おかしい…?、何だ、オレの姿が写っていたのか!> <あーあ、オレは何て不運だ。初めての肉もついに食べることができなかった。あーあ> 犬はすごすごお店に帰りました。もうあのお客の姿も消えていました。中から女主人がにらみながら、「今日はご飯抜きだよ!」 あまりのショックで、犬は、そこへへたり込んでしまいました。 |