その後、訪れたのは浅いまどろみ。
短い夢を見た気がする。
「・・・聞いてくれるか」
辛酸の雨
汚い廃屋の中で、泥水を舐めるような生活だった。
とても寒いし餓えていて何に興味も持てずに。
ただただ死んだように生きる生活の中、日々を繰り返してやがて死んでいくのだと思っていた。
飼い主はとんでもないろくでなしの男。
何故そのろくでなしが彼の飼い主になったのかと言えば、彼はボールごとその男に盗まれてしまったからである。
その男はトレーナーが捕まえた後のモンスターボールを盗んでは売ると言う方法で生計を立てていたのだった。
しかし彼はまだ捕まえられたばかりのゴーストで、売れるほど強くは無かったのである。
これでは売り物にならないと、男は仕方なくゴーストを育てることにしたのであった。
だが、所詮は素人。
なんの知識も無しにポケモンを強く育てられるはずも無い。
彼は殆ど戦闘知識を覚えることなく、ゲンガーまで進化させられてしまったのである。
その時にはすでに男に盗まれてから2年以上経過していた。
彼が物を持って壁抜けできることに目をつけた男は、その2年間に食料やら金やらを何度も盗ませたのだった。
初めこそ従わなかったが、そうすると男はモンスターボールから出した彼をねぐらである廃屋に置き去りにした。
たった独りで寒さと餓えに晒される日々が続く。
時折男がふらりと戻って来たが、それは彼が死んでいないかを確かめるだけだった。
食料を与えるわけでもなくただただ様子を見にだけ戻ってくるのであった。
彼は必死で堪え続けたけれど、ある日とうとう我慢が出来なくなって生まれて初めて食料を盗んだ。
かっぱらってきた食料をねぐらの腐った床板の上に広げて一心不乱にそれを口に運ぶ。
なんて惨めなんだろうと思った。
それからは何度も男に盗みを強制された。
しかし、彼がゲンガーになって暫らく経ったある日のことだ。
男がどこぞの誰かといざこざを起こしたのである。
相手のことは良く分からなかった。
男の客なのか、それとも全く知らない他人なのか。
兎に角飼い主と男が派手に殴りあいながら揉めていたのだ。
彼はそれを見るとも無く見ていたが、やがて飼い主が劣勢になった。
相手は飼い主に馬乗りになり殴り続けている。
だが、彼は飼い主を助けようなどとは微塵も思わなかった。
しばらくして馬乗りになっていた男が、現状に気付いたのであろう、慌てて立ち上がりそこを走り去る。
そこでようやく彼は飼い主の男に近づいた。
既に意識は無く、ぐったりと転がるそれを呆然と見つめる。
よくよく観察していたが、ぴくりとも動かないので恐らく死んだのだろうと思った。
彼は常々この男を何時か殺してやろうと思っていた。
恩は無くとも怨みだけは山積みだったのだ。
しかし、何故だろう。
男の死体を見てもちっとも心が晴れやしない。
「・・・ざまァみろ」
ぼそりと呟いた。
その声を聞いたのはたった一人、彼自身。
彼は今でも記憶している。
その声が僅かに震えていたのを。
――だが、悪夢は終わらなかった。
しばらくして彼は、男が死んでも尚自身に付きまとっている事を知る。
時折現れては彼を苛む男。
誰に頼ることも出来ず、彼は孤独にねぐらである廃屋にこもり続けていた。
そんな折、誰かがこの土地を買うにあたり廃屋が屋敷に建て替えられることになった。
最後の居場所までも奪われるのかと。
戦々恐々としながら日々を送る彼は、しかしその屋敷を買い上げた女に捕まった。
いや、彼にしてみれば保護されたようなものであった。
人間に対しての不信感は根強く、彼はその女になかなか心を開けない。
だけど女は彼を見捨てたりしなかった。
手を焼きながらも彼を待ち続けたのである。
いつしか彼は女を好きになった。
自身に付きまとう男から守りたいと、思うようになった。
そして、今に到る訳である。
「お前が俺に優しくしてくれたから!!見捨てなかったから・・・!!」
「・・・だから・・・俺、をあいつから守りたくて・・・」
ばたんとドアが乱暴に閉められた音が響く。
そしてはぽいっと物でも放るように、をベッドに放り投げた。
僅かに身が竦む。
しかしはそれには気付かぬ振りで、ベッドによじ登って来た。
二人分の体重にベッドがぎしりと声を上げる。
「夢にまで見たぜ。この瞬間をよォ」
言いながらは軽く自分の唇を舐めた。
そんな仕草にどきりとする。
「ちょ、ねえ、ちょっと待って・・・!」
思わず流されそうなのを堪えて必死でを制した。
しかし。
「待てねェ」
がしっと手首を捕まれてベッドに縫い付けられて。
掛けられた体重が心地いい。
強い目で見つめられると声すら出せないほどだ。
「ぁ・・・ん、ン・・・」
ゆっくりと唇が重なる。
いつもの乱暴な挙動からは予想出来ないほど優しい感触だった。
「っはぁ・・・っ、ふ・・・」
何度も角度を変え、深く交わされる。
緩く絡められた舌を優しく吸われ思わず溜め息が漏れた。
「ん、ァ・・・はぁっ、・・・っ」
暫らくの後に解放されたが、相変わらず顔が近い。
吐息の交わる距離で見つめられて頬が熱くなる。
「なぁに・・・?」
思わず、聞き返した。
「・・・いや」
そこで漸く視線を逸らされた。
ふい、と気の無い素振りであったけれど、その実見とれていただなんて言えるものか。
紛らわせるかのようにはの頬や唇に軽いキスを何度も繰り返した。
時折耳を軽く唇で甘噛みする。
「あ、ん・・・っ、、くすぐったい・・・」
熱い吐息が耳元に触れては身じろぎした。
そしてそのまま唇は首筋を辿りだした。
ちゅ、と小さな音を立てて何度も啄ばむように。
「・・・やっ」
手を押さえていたの手は何時の間にかするりと服の中に差し込まれていた。
もぞもぞといやらしい動きでの服の中を弄っている。
「あン・・・っ、・・・っ」
服の中で下着を押し上げられて、直に触れられた。
乳房を捏ねるように揉みしだく。
「はぁっ、ン・・・はぁ、あ・・・」
溜め息交じりの甘い声がの耳に心地よく響いていた。
思わずの服も巻くり上げ、ぷくりと膨らんだ乳首を唇に含む。
「やぁぁンっ」
生温かく滑った舌先がざらりと這い回り、ぞくりとして思わず声を上げてしまった。
「ちょっと舐めただけでそんなに感じるのかよ」
「やっ、ちが・・・っ」
「何が違うんだっての」
言って舌先でちろちろと弾くように刺激する。
そして片方は指先で軽く摘み上げるようにして弄った。
「やぁぁっ、はぁっはぁっ・・・!」
びくりとの腰が跳ね上がる。
その瞬間腰がの膨らんだものに軽く触れた。
ぎくりとして慌てて腰を引くけれど、は意地悪くにたりと笑う。
「やらしいな、」
「ばかぁっ・・・不可抗力でしょ!」
顔を赤くして抗議するけれどは笑みを崩そうとしない。
それどころかたった今触れたものをの腰に押し付けるようしにて主張する。
「でもコレが欲しいんだろ?」
「・・・っ!」
ん〜?とを覗き込む視線から逃れたくて視線を逸らした。
しかし、それを力強く制止される。
「何でそっち向くんだよ。俺見てろ」
ちょっとだけ拗ねたように吐き捨て、のスカートの中に手を入れた。
すりすりと太股を撫でつつ核心へ指先を進める。
「どれどれェ〜?」
「んっ・・・!」
好色な指先がの下着の中心を這う。
既にどんな状態になっているのかは自身が一番良く分かっているは赤い顔を更に赤らめた。
溝に沿って何度も行き来する指先にも感じてしまう。
「あ、ン・・・、・・・っ、はぁ、あ・・・ン」
「パンツの上からでも判るくらいぬるぬるじゃねぇか。やっぱやらしいな」
「やぁっ、ばかぁ・・・」
がいやいやをする。
だがは手を休めない。
脚を抱えると、先ず下着をずるりと引き剥がした。
「クク・・・糸引いてるぜ。感じすぎだ、お前」
「っ・・・言わないでよォ・・・!」
堪らずは両腕で顔を覆った。
はそれに構わず、たった今脱がせたばかりの部分に舌先を這わせる。
「っ!やぁぁ、あぁン・・・っ」
足の付け根から焦らすように、緩やかに。
「ふぁ・・・っ、っ・・・ダメぇ・・・はァァんっ」
指先で軽く押し広げながらざらりと芯を丹念に舐める。
そしてそのまま辿らせて、溢れるほど蜜を零しているの入り口に舌先を滑り込ませた。
芯は指先で弄びながら舌を何度も出し入れする。
「ダメっ、はぁっはぁっ・・・あぁぁ、ンっ、やぁん・・・っ」
激しく攻め立てられて絶頂が見え隠れし始める。
恥ずかしいと思うのにの鼻先に自らの中心を押し付けて。
「、っ・・・」
目前の波に飲み込まれようとする瞬間。
にゅるりと舌先が離れてしまった。
「あ・・・っ」
あと少しだったのに、と不満げな声を漏らすをちろりと見遣って唇を離した。
「けっ、舌だけで満足してんじゃねぇ。・・・もっとイイモンがあるだろうが」
そう言っていやらしげな笑みでは軽く自分の唇を舐めた。
赤い舌先にどきりとする。
それがさっきまで自分の中に出入りしていたのだ。
は抱えていたの脚を下ろすと、性急に自らのズボンの前を寛げる。
取り出されたそれはもう十分すぎるほど膨らんでおり、僅かには戦いた。
「入れるぜ」
脚を開かせ、はの入り口に自らのものを宛がった。
そしてぐっと腰を進める。
「っは・・・ァ、あぁっ・・・」
一瞬きつい圧迫感に呼吸を奪われそうになるが、なんとか堪えては押し入ってくるを必死で受け入れた。
滴るほど蜜を湛えていたそこはすんなりとはいかないまでも、確実にを飲み込んでいく。
「はぁっはぁっ・・・、ぅうん・・・っすご、い・・・はぁあ・・・っ」
「うぅ・・・きついぜェ・・・っ」
何処か嬉しそうに呟かれた声にくらりとする。
苦しい呼吸の合間に見上げれば、の恍惚とした表情が目に入ってぞくりと感じた。
「はぁっ、はぁっ・・・あぁぁ・・・」
最奥まで突き立て、はの頭の横に腕をついた。
「堪ンねぇ・・・」
ぼそりと呟き、腰を揺らす。
ベッドがギシギシと規則的に声をあげるのが響いた。
「はぁ・・・あぁっ、あ、ンっ、ん・・・」
規則的な動きで、深く探るように緩慢に。
かと思えば激しく奥まで突き上げてみたり。
「すげェ・・・、・・・っ」
「あっ、ダメぇ・・・っ、はぁっはぁっ・・・!」
シーツを握り締め、は髪を乱す。
突き上げられる度に立てた膝できつくの腰を挟み込んでいた。
先程寸前でお預けを食らった絶頂が近いことがわかる。
「イ、イっちゃう・・・っ、、私・・・っ!」
びくりとの腰が浮いた。
「あっあぁぁぁっっ――!!!」
「うァ・・・っ」
ぎゅうっとの内部がきつく締まる。
その刺激でもの中にどくりと欲望を注ぎ込んだ。
その後、訪れたのは浅いまどろみ。
短い夢を見た気がする。
に会えなければ今でも孤独に泥水を啜っていたのだろう。
こんな温かいまどろみも無かったのだろう。
ゆっくりと目を開けると、目の前には今しがた手に入れたばかりの愛しい女が微笑んでいた。
「あ、起きた?」
まだ深夜なのでその言葉は適切かどうかは判らなかったけれど、はそう声を掛けた。
少し眠たそうな目で彼はを見る。
「夢を、見た」
過去の夢を。
彼が辿ってきた軌跡を、短い夢で見た気がする。
「・・・聞いてくれるか」
「何でも聞くわ」
にこりと笑うに彼はゆっくりと口を開く。
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と、言うわけで。
ゲンガー夢続きです。
実はこの夢、自分の中ではある意味完結を見てしまっていて中々どうやって書こうか迷っていたものなのです(笑)
普通にエロだけ書いたんじゃあまりにも芸が無いけど、それ以外にどうやって続き書こう・・・みたいな。
そこそこリンクしている・・・っていうか続編っぽくっていうか、そんな風にかけたと思います。
ところでお名前、葉檜様のままでございます;;
・・・だって続編だから・・・。
もし、嫌だよ!ってことがありましたら差し替えさせていただきますのでいつでもおっしゃってくださいぃぃ〜!!!