遠慮がちに伸ばされた、手






「ところで、お主は名前も思い出したかの?」
「もうっ、意地悪ですね。思い出しましたよ。初めて会ったとき童虎様に貰った名前じゃないですか!・・・『』は・・・」
テレパスの所為で。
誰も彼も信用出来ず、人目に触れることを嫌い、能力の露見を怯えて。
両親すら手に掛けたあの日。
動かない母の足下で誰にも発見されずに死ぬのだと思っていた。
「警察が来て・・・でもグラード財団が手を回してくれたおかげで私は童虎様とシオン様に引き渡されることになったのですよね」
懐かしそうに話すのを童虎は目を細めてみている。
結局シオンは執務があったため、比較的身軽な童虎の方に引き取られることになった。
代わりにシオンが能力の制御を教えることにして。
「でも・・・結局この力はシオン様の管轄外で。完璧な制御までは至らなかったのですけど」
それでもどれだけマシになったか。
当初は触れる触れないに関わらず近寄ってくるだけで心が聞こえて来たのだから。
「そう悲観するでない。それに、お主の能力も捨てたものではなかったじゃろう」
「でも私・・・尋問はあまり好きではありませんでした」
しかし人の心が読めるならうってつけだ。
詰問する手間も無い。
只一度触れさえすれば。
「ところで、童虎様・・・あの、そろそろ離して頂けませんか・・・」
「うん?気にせんと言ったじゃろうが」
童虎はさっきからを腕に抱きっぱなしだ。
やはり僅かではあるが童虎の『声』が漏れてくるのが聞こえてしまう。
集中しなければ聞き取れないような小さな声であるが、確実に聞こえてはいるのだ。
気にしないと言ってくれるのはとても嬉しい。
だけど。
「でも・・・私は気になります・・・」
「やれやれ、仕方のない」
食い下がるの言葉に童虎はゆっくりと腕を離した。
折角の温もりが離れていくのは寂しかったけれどこれ以上童虎の思考を読むほうが気が引ける。
少しほっとしてしまった。
だけど離れた童虎は勿論の言葉に納得したわけではなかったのである。
「それでは気にならなくなるようにしてやるとするかのう」
「・・・え?」
童虎が呟いた言葉が上手く聞き取れず、聞き返したときには既に柔らかい衝撃に包まれていた。
「え?・・・えっ!?」
今まで見えていなかった天井が視界いっぱいに移りこんでくる。
そしてぎしりと不吉な音を立て、童虎がの上に乗ってきた。
「ちょっ・・・童虎様・・・っ」
焦る
それを優しく押さえ込み、童虎は静かに囁いた。
「儂の愛を受け入れてくれるんじゃろう?」
「・・・っ」
大好きだった。
こんな能力を持った自分に優しくしてくれる童虎が。
ずっとこうなればいいのにと思ってきた。
?」
そっと覗き込まれては赤く染まった顔を縦に振った。




恐らくは、どちらもが焦がれた瞬間だったと思う。
二人して服を脱ぐのももどかしくベッドになだれ込んで。
愛の余韻を感じる暇すら惜しいほど。
「童虎様・・・っあ、ふ・・・っ」
夢中で何度も唇を交わす。
唇は塞がっているのに、童虎の声が耳を何度も打つ。
愛していると。
嬉しさがこみ上げてきて堪らない。
他人の思考を聞くことが出来る能力を嬉しいと思ったのは生まれて初めてだった。
たっぷりと深い口付けを交わし童虎の手がの服をゆるりと捲り上げる。
そっと童虎の手が下着越しにの胸に触れた。
「んっ・・・童虎様・・・」
童虎にされるのは元より、他の男にもそんなところを触られたことが無い
「恥ずかしい・・・」
頬を染め困ったように目を伏せがちにしてそう呟いた。
「じきに分からんようになる」
そう返してもう一度唇を押し付けた。
柔らかなの唇。
焦がれ続けたそれは仄かに甘いような気がする。
ちゅ、と音を立てながら舌を軽く吸って少しずつの中に侵入していく。
吐息を混じらせつつ角度を変えながらゆっくり味わった。
「あっ・・・童虎、様・・・っ」
ぐい、と下着を上げられては身じろぐ。
僅かに非難の混じった声にはこの際気付かない振りで唇を離し首筋に顔を埋める。
女特有の髪の香りに眩暈がするほどだ。
手の中で形を変える乳房を愛撫しながら、そっと首筋に舌を這わせた。
「はぁ、あ・・・やぁ、ンっ」
抑えきれない喘ぎを漏らしながらは童虎の肩を掴んだ。
それは抵抗しているようでもあったし、急かしているようでもあった。
それなら勿論後者に取った方が良い。
童虎は指先で軽くの尖り始めた乳首に触れる。
途端にびくりとの体が跳ねた。
「やっ・・・童、虎・・・さまっ・・・・・・あぁ・・・っ」
声を抑えようと必死になるが指先で捏ねられて、その度に切ない溜め息が漏れてしまう。
生まれて初めて感じる刺激に体が悦んでしまうのを止める術など持ってはいなかった。
「はぁっはぁっ・・・ああ・・・ンっ、は・・・ぅん」
「可愛いのう、・・・」
そう囁く童虎の声も興奮で掠れており、そのいやらしげな声にますます感じてしまう。
直後、首筋から童虎がそっと唇を離したかと思うと、固く尖って敏感になった乳首に温かくも柔らかな感触を感じた。
一瞬何か分からなかったそれがにゅるりと蠢いた瞬間、童虎の舌だと分かりは恥ずかしさにどうにかなるのじゃないかと思った。
「やっ・・・ダメ、あ、あァ・・・っはぁはぁ、やぁァ・・・ンっ」
しかしそれだけでは終わらない。
童虎の空いている方の手がゆるゆるとの太股を撫でている。
それはだんだんと際どいところへ移動しているのだ。
「!」
そして下着越しではあるが、童虎の指がまだ誰にも触れられたことの無い場所に触れる。
ぐじゅりと湿った感触がにも童虎にも伝わった。
「ほっほ、こんなに濡らしてしもうて・・・」
「やぁっ、言わないでくださいっ・・・!!」
真っ赤に染めた顔を手で覆っては抗議する。
そんなの手をやんわりと外して、キスを落とした。
「儂で感じとる証じゃろう?照れんでも良いぞ?」
にやりと意地悪く笑って童虎は指先を少しに動かす。
「ひゃぁっ・・・!」
濡れた下着が女芯に触れは強い刺激と快感に腰を跳ねさせる。
その間も童虎の舌は乳首を意地悪く捏ねていて。
両方の刺激にはますます声と蜜を零すし無かった。
「はぁはぁっ、童虎様・・・あぁっあっあっ・・・」
芯を撫でる指の動きにあわせて声を漏らす。
そして童虎の指がぐりっと女芯を強く押し潰すように刺激したときだ。
「あぁぁっっ・・・!!」
一際大きな声が上がり、の体が一瞬硬直した。
「はぁっはぁっ・・・はぁ・・・」
そして何度も体を小さく痙攣させながらぐたりとベッドに沈む。
そうして絶頂の余韻を味わっていると、不意に童虎が体を離しての横に寝転がった。
「・・・童虎、様?」
「なんじゃ?」
「何って・・・まだ・・・」
子供ではないのだから終わっていないことくらい分かる。
童虎の愛を受け入れようと処女を散らす決意だってしたのだ。
しかし童虎は優しく笑うと。
「よいよい。お主が気持ち良いなら儂も気持ち良いからの」
「・・・そんな・・・」
あれだけ体をくっつけていたのだ。
童虎の体が今どうなっているかくらい分かっている。
それでも良いというのか。
はしばらく俯いていたが、やがてはっと顔を上げた。
「童虎様」
と呼びかけながらも童虎の返事を待たずには寝転んだ童虎の上に乗った。
「どうしたのじゃ、
突然のの行動に少し驚いた様子の童虎。
しかしそれには答えずゆっくりと体を屈めは自ら童虎の唇に自分のそれを押し当てた。
ちゅ、と小さな唾液の絡まる音がする。
「ん・・・っ、童虎様。私も童虎様を愛しています」
「っ・・・!?」
「だからこれくらいはさせてくださいね・・・」
またしても頬を真っ赤に染めては童虎の服の中に手を入れた。
そして童虎の固く張り詰めたものをにおずおずと触れる。
「童虎様も気持ちよくなって欲しいんです」
にちゅにちゅといやらしげな音を立てさせながらは童虎のモノを上下に扱いた。
「くっ、・・・、儂は・・・そんなつもりでは」
予想外の行動だった。
「分かってますよ。私が・・・したいんです。お嫌?」
「・・・そんなことは無い・・・が」
そんなことあるわけがない。
それでなくとも愛しい女に手淫されていると思うだけで興奮してしまうというのに。
「くぅ・・・・・・っ」
少し苦しげにゆがめられた童虎の表情が堪らない。
は体を屈めてもう一度深くキスをした。
その後童虎が欲望を解放するまで、10分とかからなかった。




温かい。
昨日までは感じられなかった温もりが傍にあることに気付いては体を起こした。
ふと温もりの正体に気付いて思わず笑みを零してしまう。
体に回された童虎の腕。
ああ、そうだったと嬉しくなる。
ベッドサイドの時計は9時を回ったところ。
二人して遅くまで耽っていたわりに早く目が覚めたと思う。
だけど童虎を起こして温もりを奪われるのは何だか寂しいので。
童虎が自然に起きるまで待っていようと。
腕の中もう一度目を閉じる
漸く手に入れた平穏の日々の足音が聞こえた。














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時代設定があやふやですが、多分最終巻の後だと思います。
グラード財団はあの後世界中の能力者たちの引き受け屋になった・・・みたいなのはだめでしょうかねぇ。
X-MENみたいなミュータントって呼ばれて迫害されてる子達の引き受け屋。
聖域ならそれができますよね。
ところで童虎の喋り方に萌え死にです。た・ま・ら・ん☆
ていうか童虎自体が萌え死ねます。なんであんなに格好良いんだろう。声も最高だった・・・ハァハァハァ。
んでもってすげー歳の差だしさ。
ある意味ものすごい手馴れてそうじゃん?絶倫じいちゃんに萌えー!!!!!!
・・・ところで私脱皮後っていう注意書き付けませんでしたけど皆様お分かりですよね?
今更ですもんね?