「晩ご飯はエビフライにしようかなー・・・」
昼ご飯の片付けをしながらは小さく呟いた。






変質者って身近にいるものよね







「なァ、。パンツくれ」
「昼間っから何沸いたこと抜かしてンのよ」
それは丁度昼ご飯も終わり、食欲の満たされた銀時が退屈しだす時間であった。
天気も良いので銀時を何処かへ連れ出そうかとしていた矢先の発言である。
言いつつずいと手を差し出す銀時。
しかしそんなモノ、はいどうぞと渡せるはずも無い。
「なー、パンツ」
「何でよ」
追いすがる銀時に白い眼差しを向けるが全く効果が見止められない為に理由を聞いてみたりして。
「なんかよォ、前に捕まえたフンドシ仮面とかいう奴が脱獄したんだと。引っ捕まえて突き出したら金になると思わねェ?」
「・・・!」
聞き覚えのある名にはピクリと反応した。
何を隠そうはフンドシ仮面にパンツを盗まれた経験がある。
そう実は被害者だ。
あの時新八がお妙の話を持ってこなければ自身が銀時に依頼していたかもしれない。
しかしその前にお妙の話が上がってきたのではもう銀時には何も言わなかったのだ。
そんな外道がまた現れたとなれば話は違う。
パンツの一枚くらいで済むなら願っても無い話だ。
「・・・そー言うことなら仕方ないわね」
普段からこの万事屋に泊まることも多いは多少の着替えを持ち込んでいる。
その中から下着を取り出すと差し出された銀時の手の上に、ぽふっと置いた。
「・・・何だコレ」
「え?何ってパンツよ?」
「違う!俺の欲しいのはこんなんじゃねぇ!!」
言っての下着をぽいっと窓から放り投げた。
「きゃー!!!何すんのよ!!!」
慌てて窓際に走り寄るが、ひらひらと窓の外へと舞い降りていくのが見えるのみ。
「そんな綺麗に洗われたモンに用は無ェ!の今、正に今穿いてる奴が欲しいんだッ!!」
「・・・変態。そんなんだからモテない男の勲章貰うのよ。銀さんのパンツ談議なんかどうでも良いから早くあたしのパンツ取ってきてよね」
「ヤダね。パンツくれるまで銀さんは此処から動かないぜ」
「じゃあ今晩の晩ご飯銀さんだけ酢昆布ね」
「行ってきます」
先程晩ご飯はエビフライと言っていたのが効いたのだろう。
食を握っているは強かった。
酢昆布と言えば本当に酢昆布を出すであろう
一人だけ可哀想かな、などという中途半端な同情は自らを滅ぼす結果になる事を良く良く思い知らされているのである。
しばらくして銀時がの下着を握り締めて上へ戻ってきた。
「・・・うわぁ・・・変態」
「お前が取って来いっつったんだろーが!」
「銀さんが放り投げたんだから当然でしょ!!」
やれやれと目の前のソファに座り込む銀時に向かっては手を差し出した。
「・・・何だその手」
「何って、あたしのパンツ返してよ」
当然の要求である。
銀時はああ、と握り締めていた下着に視線をやった。
「よし!このパンツ今お前がはいてる奴となら交換してやろう」
「何が『よし!』だ、コルァ」
――めき・・・。
目にも留まらぬ速さでの拳が銀時の眉間に入る。
「銀さん、馬鹿やってないであたしのパンツ返して頂戴」
「・・・はい、すんませんでした」
「よろしい」
さっと銀時の手から下着を引ったくり、元の場所にしまう。
全く余計な手間を増やされたものだ。
結局、最初に戻るのだから。
「もう・・・ところで銀さん、暇なんでしょ?散歩にでも行こうよ」
銀時に背を向けたままは言った。
しかし返事が返ってこない。
「・・・銀さん?」
「何ですかコノヤロー」
ソファに腰かけた銀時に言ったはずなのに、声が耳元で聞こえる。
「え・・・きゃっ!?」
一瞬不審に思ったが振り向くよりも早く、銀時の腕が後ろからの体を拘束していた。
ぎゅう、ときつく抱きしめられる。
「ちょ、銀さん・・・!?」
「いつもいつもイイ匂いだよなァ、は。俺も同じシャンプー使ってンのに何が違うんだろーな」
首筋に銀時の鼻先が押し付けられた。
くすぐったさに身じろぎしながら、逃れようともがく。
「銀さん!新八君と神楽ちゃんが帰ってきたら・・・っ」
「3時までは帰らねーよ」
もぞもぞと銀時の手がの着物を肌蹴させていく。
帯は緩めず着物を肩から引き下ろすようなやり方だった。
「え〜っとォ・・・、確かこの辺に・・・」
を脱がしながら銀時は何故かごそごそと懐をあさり出した。
「・・・?」
「お、あったあった」
一体何を探していたのだろう。
あれか?明るい家族計画か?
「はーい、まずは一まーい」
ガザ、とのブラの中に何かが押し込まれた。
「・・・!銀さん・・・?何のつもり?」
手にとって確認するとそれは紙幣。
「一枚じゃ足りねぇってか?んじゃ二まーい」
もう一度銀時がの下着に紙幣を捩じ込む。
「待って待って、どういうこと・・・?」
「んー?銀さんがなけなしのお金でちゃんのおパンツ買ってあげようって言ってるんですよー・・・つぅことでさっさと脱げやァ!!」
「きゃーっ!!!」
そのまま床に押し倒されが悲鳴を上げた。
構わず銀時はの着物の裾を割り開き、下着に手を掛ける。
しかしもそう簡単に奪われはしない。
着物の裾を押さえ足をじたばたとさせて脱がされるものかともがく。
「きゃーっきゃーっ!!嫌ーっ!!!」
「うォ、なんか嫌がられると燃えンな・・・」
「馬鹿ー!変態っ」
非難の声も何のその。
銀時は漸く目当てのものを引き摺り下ろすことに成功した。
「・・・っ、もう・・・」
奪われてしまっては仕方が無いか。
何処までも甘いと思いながらは溜め息を吐く。
そして上に乗った銀時に対して口を開いた。
「銀さん、もういいでしょ。パンツはあげるからどいてよ」
「・・・何でだ?」
「は?だってもうパンツは手に入れたじゃない。あたし夕ご飯の買出し行きたいの」
「おいおい、何言ってンだ?このパンツは俺が独りのときに使うんだぜ?何で相手いるのにわざわざパンツで抜くんだよ」
・・・。
二人の間に微妙な沈黙が流れる。
いや、正確にはが呆れ返ってしまい言葉が出ないだけなのであるが。
ていうかパンツが欲しかった理由ってフンドシ仮面捕まえて報奨金貰おうってことじゃなかったっけ。
「もーやだー・・・なんであたしはこんな変態さんが好きなんですか。愛しちゃってるんですか。神様のばかぁ」
「いやいや最良の選択だろ?こんなイイ男他にちょっといねぇじゃねーか」
「確かにちょっといない変態さんだよ、銀さんは」
「あ、お前そういうこと言うのか?言っちゃうのか?」
からもぎ取った下着をやんわりと床に置いて銀時は再度に襲い掛かった。
何を言っても無駄だ。
ならばせめて一つだけ。
「・・・銀さん、じゃあもう抵抗しないから一つだけお願い」
「パンツは返さねぇぞ」
「お前ちょっとパンツから離れろコルァ」
――めき・・・。
目にも留まらぬ速さでの拳が、今度は銀時の腹に入る。
「あたしのお願い聞いてくれる?」
「やっべぇよお前、今のちょっと何か出るかと思ったぞ!上から下から!!」
「あのね、ここじゃ嫌。ちゃんと蒲団で、ね?」
完全スルーの方向の
銀時はもう一つ文句も言いたいところであるが、美味しい据え膳を逃すのも惜しい。
殴られた腹を庇いつつ、を抱き上げた。


「あぅ・・・ン・・・」
万事屋の奥の。
銀時の寝起きする蒲団の上。
「あっ、銀・・・、ぁァん・・・っ」
肢体をくねらせはきつく敷き布を握り締めた。
既に溢れるほど濡れていると言うのに銀時はの脚の間に顔を埋めたまま。
時折卑猥な水音を立てながら丹念に舌先で愛撫していた。
「はぁっはぁっ・・・銀、さァん・・・あたし、もう・・・っ」
滑る舌先が充血した芯に触れる度、立てられた膝に力が篭る。
「まだまだ。の匂いが俺の蒲団に染み付くまで放さねぇぜ?」
「ばかぁっ・・・」
にやりと笑んだ銀時はきっと判っているのだろう。
身じろぐたびに鼻腔を掠める銀時の匂いがを苛んでいる事を。
蒲団で、と言った事を後悔している事を。
「銀さァん・・・ダメ、欲しいのォ・・・お願い、お願いぃぃ・・・っ」
「そんなに欲しいか?」
「うん、うん・・・っ、大きいの、入れてェ・・・」
荒い息の合間に甘い声で強請る恋人の言葉に理性を崩されながらゆっくりと銀時はから唇を離す。
そして、の脚の間に腰を据えて浅く上下する胸の膨らみを手で包むように掴んだ。
「あん、銀さん、あ、ァ・・・あ」
ふにふにと感触で遊ぶように揉みしだかれ僅かな羞恥から銀時の手に自らの手を添える。
それは微かな拒絶の現れであるが銀時には伝わらない。
ただ理性を崩すのを助長するのみ。
、俺の何が欲しいか言えよ。ナニが欲しいんだ?」
「やぁ・・・意地悪・・・」
頬をじわりと染めはいやいやと首を振った。
「言わねェとずーっとこのまんまだぞー」
「・・・っ、もう、変態ィ・・・っ」
熱に浮かれた瞳が困ったように宙を泳ぐ。
下肢に押し付けられた銀時のそれが欲しいだけなのだけれど。
「・・・銀さんの・・・欲しいの」
「銀さんの何?」
「・・・っ銀さんの、銀さんの・・・おちんちん、が、欲しいの・・・」
顔を真っ赤にして両の手でその顔を覆いながら、はか細い声で訴えた。
その様相に理性の一欠片さえも吹っ飛ばされる。
「うォ、なんかの可愛い口からそう言う言葉聞くとすっげぇ興奮すンなァ」
いつもの死んだ魚の目ではなく真剣な眼差しでそんな事を言う。
「んじゃ、ちゃんの欲しがってるものあげるとしますかね。力抜けよ〜?」
「ン・・・っ、あ・・・ァ・・・はぁっはぁっ・・・」
銀時の愛撫で滴るほどに濡れているの口は、反るほどに勃起した銀時のものもするりと飲み込んでいく。
「あっあっ・・・銀、さ、ァ・・・っはぁっ、はぁっ・・・」
「っは・・・・・・」
見上げれば顔を顰めた銀時が。
興奮した表情にどきりとし、思わず体に力が入ってしまった。
「!・・・ちょ、あんま、締めンな、って」
「あぅ、ン、だって・・・ェ」
何度も腰を使いながら銀時はの最奥まで到達する。
「はぁっはぁっ、銀さん・・・っ」
お互いにもう余裕なんかなくて、性急に腰を揺らし始めた銀時を止めることも出来ない。
ただ、ようやく見え始めた絶頂の気配を感じるだけ。
「あっあっ・・・はァ、ン・・・っ、銀、さ・・・ァ・・・っ」
「・・・っ、・・・っく・・・」
打ち付けられるたびに目の前が真っ白になる。
何度も突き上げられて、頭が何処か可笑しくなりそうで。
「はあァ、っダメ・・・っ、イ・・・イっちゃ、うぅぅ・・・っ」
「俺も・・・っ、出、る・・・っ」
どくりと、中で何かが爆ぜた気がした。
同時にの体が跳ね上がる。
ややあって、弛緩し始めたの体を抱き、銀時は唇を押し付ける。
崩れ落ちながら。


「・・・お帰り、神楽ちゃん。新八君」
あの後、時計を見ればもう3時近く。
慌ててだるい体を起こして居住まいを整えた
勿論銀時は動こうともしないので申し訳程度に服を着せて蒲団の上に転がしておくことにした。
取りあえずいつも下に着ている服を着せたところで、階段を昇る足音が聞こえてきたので奥から飛び出してきたわけだ。
「ただいまアル!、私お腹空いたネ。今日のおやつは何アルか?」
「うん、おはぎ買ってあるの。用意するから手、洗っておいで」
にこりと笑って促すと、神楽はどたどたと走りながら洗面所へ向かった。
それを新八も追いかける。
良かった、気付かれてない。
ほーっと胸を撫で下ろして二人がいない間にチラ、と障子の奥を覗いてみた。
どうやらあのまま眠ったようだ。
出来れば夕ご飯まで起きてきませんようにと祈りながら、障子を閉め戻ってきた神楽と新八に向かって口の前に人差し指を立てた。
「静かにしててね。銀さん眠ってるの。おはぎは3人で食べちゃいましょう。いくつ欲しい?」
色々されたささやかなお返し。
そしてばっちり夕ご飯のエビフライが出来上がる頃に起きてきた銀時が冷蔵庫を漁って「アレ?おはぎ無かったか?」と不思議そうな顔をするのはもう少し後の話。











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変態銀さん萌え。
うち5巻がめちゃめちゃ好きです。怪談話の回、死ぬほど笑った。
女装も美味しいんですが。5巻最高やな。
ところでこの話は4巻までの知識で捏造することに決めた話だったんですが、後に沖田あたりがフンドシ仮面が脱獄したって言ってますね。
捏造が本当になってとてもラッキーだと思いました。
・・・そうそう銀魂はよくよく名称を出しておりますが、なんとなく銀魂はそれが許されそうなのでそうしております。
ていうか一話に一回以上名称出そうと思って書いてンだけどね(!)
他のもそれくらい書きたいんやけどなんか背徳感が邪魔をして上手くいきません。
銀魂だけがそういうのを何もかも吹き飛ばしてくれます。良いことだ(ぇ)