「だって、たった一人でマリク様を待つなんて耐えられませんもの!」
と、お前はにっこり笑った。





それが二人を別つとも





バトルシティ 決勝戦。
選ばれたデュエリストが飛行船に集まっていた。
・・・勿論その他ギャラリーなんかもいたりして。
そこで遊戯達はある一人の見慣れぬ女を発見する。
最初に気付いたのは城之内だった。
「・・・ん?おい、遊戯・・・あんな女さっきいたか?」
小声で耳打ちされて視線を変えると、確かにそこにはさっきまでいなかった筈の少女がきょろきょろと辺りを見回しながら歩いていた。
「・・・いや、見てないぜ」
「いつの間にこんなとこ入って来たんだろーな。海馬に見つかったら放り出されるんじゃねーの?」
流石に海馬はそこまでしないだろうと思うが遊戯も断言できず苦笑するだけ。
そうこうしているうちにその少女は無遠慮にも部屋の扉を開け始めた。
とは言っても殆どがIDロックされていて開かなかったが、とりあえず開くところは全て開けている。
「お、おいおい・・・」
見かねた城之内が女に近づいて肩を叩いた。
「お前・・・そんなことしてっと海馬に放り出されるぜ?」
「え?」
くるりと振り向いた少女は薄い茶色の瞳と、白い肌の。
黒髪だったから城之内も気付かなかったが明らかに日本人ではなかった。
「うわ!が、外人!?」
驚いた城之内が少し後ずさった。
「・・・あの」
「お、俺英語はちょっと・・・!」
「あの、あたしマリク様を探してるんですけど・・・」
「だから英語は・・・!って・・・日本語?」
思いのほか流暢な日本語で、少女は城之内に喋りかけていた。
「マリク様、ご存知ありませんか?」
にこやかに城之内に問う少女。
対して城之内は少女の問う言葉の中にとても気に入らない単語を見つける。
「・・・マリク・・・だって?」
「はい、マリク様です」
「・・・ケッ、マリクなら2番の部屋にいるんじゃねーの?」
マリクの関係者などに親切に教えるつもりも無い城之内は適当に言いくるりと踵を返した。
しかし少女は嬉しそうに笑うと。
「まあ!そうですか。どうもご親切にありがとうございます!」
と、頭を下げる。
それを横目で見ながら城之内は舌打ちした。
マリクの関係者の癖に、なんなんだこの女は・・・と。
しかし少女はそんな城之内の心情など知る由も無い。
ぱっと顔を上げたかと思うと飛行船の奥へと走っていってしまった。
「マリク様、マリク様・・・やっとマリク様に会えるのね」
走りながらきょろきょろとドアを見渡し、「2」の数字が書かれた部屋を見つけると、そのドアをドンドン叩いた。
「マリク様!開けてくださいませ!!です!!」
大声で言いながら部屋が空くのを待つ。
しばしの後、部屋の扉は開かれた。
しかし。
「えっ・・・」
少女――が驚いた声を上げたのも無理はない。
だってそこに立っていたのは。
「・・・・・・?何故、お前がこんな所に」
「り・・・リシド様・・・っ!?」




ちんまりとリシドの部屋で小さくなっているをマリクが見つけるのはそれから15分ほど後であった。
勿論その空白の15分はがリシドに怒られた時間である。
が来てるって・・・?」
「あっ!!マリク様!!」
マリクの姿を見止めるなりはマリクに抱きついた。
「やっとお会い出来た・・・!マリク様ぁ・・・っ」
今にも泣き出しそうな声でマリクに縋る
こんな異国の地でずっと一人で行動していたのだ、無理もないことだろう。
抱きつかれたマリクは少し困った顔でリシドを見る。
「・・・どうやら私達が発って直ぐに追いかけてきたようです」
同じく困った表情のリシドが答えた。
「だって・・・だってあたし・・・」
「・・・分かった。話は部屋で聞いてやるから、少し離れるんだ」
やんわりとを離しながら、マリクはリシドに言う。
はボクの部屋に連れて行く。・・・心配は要らない」
「ですが・・・マリク様・・・!」
「・・・心配要らないと言ってるだろ。まだ大丈夫だ」
リシドの制止を振り切るようにマリクはの肩を抱くとリシドの部屋から出て行った。
そして、2の部屋の自動ドアの機械音が小さく鳴って廊下に出た時にはすでに。
「・・・マリク、様・・・」
既にマリクの様相は変わっていたのだけれど。
にたりと笑みを浮かべてを見下ろしてくるマリク。
髪は逆立ち、さっきとは違う邪悪な笑み。
・・・久しぶりだなァ」
声色こそ変わっていないはずなのに、響きが変わる。
「・・・はいお久しぶりです。マリク様」
本当に。
久しくこちらのマリクには会っていなかった。
それと言うのもリシドの存在。
リシドの存在は表のマリクの人格を安定させてしまう為、こちらのマリクは殆ど出会うことが無い。
しかしこのと言う少女。
どう言う訳か闇人格のマリクを安定させてしまうのである。
それ故リシドとイシズはこの二人が二人きりになるのを心配するのだ。
ただ幸いなことに二人きりになってもまだ何かしら事件が起こったことは無い。
だからリシドもイシズもそんなに強く言えないのであった。
「それにしても無茶やるなァ、お前」
「え?」
「言いつけ無視ったんだろ?あいつらに何言われるか分からねえってのによォ」
あーあ、と大袈裟に肩を竦めて見せるマリク。
しかしはこういうちょっと意地の悪いところにはもう慣れっこだった。
「大丈夫です。マリク様がきっと庇ってくれますもの」
「俺がかァ?そんな約束出来ねェぜ」
「いえいえ。あちらのマリク様が、です」
嬉しそうな笑みでもってそんな言葉を吐くにマリクはちっと舌打ちした。
一気に笑みが消えて不機嫌そうな表情になる。
「ケッ、あいつの話なんかしてンじゃねェ」
そう吐き捨てると、の腕を掴んで本当のマリクの部屋である「1」の部屋へと連れ込んだ。
ずかずかと大股に部屋を横切って窓際のベッドにを放り投げる。
ばふっとベッドが悲鳴を上げて、の体が沈み込んだ。
「・・・もう・・・こっちのマリク様は乱暴ですね」
やれやれと体を起こしながらベッドへ這い上がってくるマリクを見た。
「はっ、そうさせるお前が悪ィんだぜェ?責任取りな」
「責任って・・・なんの責任ですか」
呆れたようには言う。
勿論マリクにも何の責任なのか分かってはいない。
ただ口実があればそれでよかったのだ。
を確実にその腕に抱くための口実ならば。
「うっせぇ。黙りなァ」
這い上がってきたマリクはをベッドに押し付けて唇を押し付ける。
「っ、ん・・・」
ちゅ、と濡れた音がして薄く開かれた唇の間で舌が絡んだ。
「ふ、は・・・んン・・・っ」
ねっとりと交わされる官能的なキス。
少しずつ力の抜け始めた体をマリクに預けながらはうっとりとマリクの唇に翻弄された。
「マリク・・・様ぁ・・・ダメ・・・あたし・・・」
僅かに残った羞恥心では逃げるように身を捩る。
が、マリクはそれを許さない。
「逃がさないぜェ・・・どれくらいお前を抱いてねえと思ってる」
「きゃぁっ!」
マリクの手が乱暴にの着ている麻の上着を下着ごと捲り上げた。
ふるっと小さく揺れて裸の胸が露わになる。
「クック・・・可愛いねェ、お前は」
ぐっと強くの胸を鷲掴みにしながら長い舌で頬を舐める。
「あっあっ・・・ダメですぅ・・・っ」
飽くまで逃げようとする
しかしマリクはそんなの体の上に馬乗りになり、押さえつけてしまった。
「直ぐに何も分からなくしてやるから我慢しなァ」
喉で笑いながら耳元で囁く。
「んっ・・・」
首筋に顔を埋め胸を揉みしだく。
柔らかいそれの感触を楽しむようにマリクの手は緩く動いて。
「っは、あ・・・あ、ァぁ・・・っ」
溜め息にも似た喘ぎを漏らしながらマリクの背に手を回した
求められているような気がしてマリクの愛撫の手に力が篭った。
「マリク様・・・あっ、マリク・・・様・・・っ」
「・・・
甘ったるい声で名前を呼ばれ、マリクは堪らず唇を押し付ける。
「んっ、は・・・ふぁ・・・っ」
口腔をたっぷりと貪られ、息も絶え絶え。
苦しげに上下するの胸を手探りで弄りながら何度も角度を変えながら舌を絡ませ唇を舐めた。
「はぁっはぁっ・・・あ、ふは・・・っ」
つっと銀の糸を引きながらようやくマリクが唇を離した先には熱っぽく見上げるの目。
ぞくりとマリクの肌が粟立った。
「ちっ・・・」
小さく舌打ちしてマリクはのスカートを捲り上げた。
とは言っても絡み合っているうちに殆ど捲くれてしまっていて手を入れた、と言った方が正しかったのかもしれない。
「っ!マリク様・・・っ」
下着越しに中心を触られての体がびくりと跳ね上がる。
ぐじゅっと濡れた感触にマリクは目を細めた。
「クックック・・・濡れてるなァ」
「ああ・・・嫌、です・・・いやァ・・・」
ぐちゃぐちゃと下着の上から弄られては手で顔を覆った。
既にこれ以上ないほど感じてしまっているのは隠しようが無いのに、最後の抵抗のように。
「あっ・・あぁンっ!」
ぐっと埋められた指が芯を押しつぶす。
濡れた下着が擦れてもどかしい快感が腰を駆け抜けた。
「やっ・・・マリク様っ・・・あっはぁあっ・・・ダメぇ!」
容赦なくぐりぐりと捏ねるように刺激され、はいとも簡単に上り詰めてしまった。
ぴくんぴくんと小さく痙攣を繰り返すを見下ろしマリクは喉で笑う。
「クク・・・早いよ?・・・」
「だ・・・だって・・・」
「久しぶりだから・・・かァ?」
にたりと笑って見下ろされは頬を赤くする。
「俺に言えば直ぐにでもヤってやったのになァ・・・」
くすくすいやらしげに笑いマリクはズボンのベルトを引き抜いて前を寛げる。
そしての足を持ち上げるとぐっと自身を押し当てた。
「あ・・・まだ、待って下さ・・・あっダメぇぇぇっ・・・!」
指での絶頂の余韻も冷めぬままのの体。
このまま入れられてしまったら・・・と考えると淡い期待と恐怖がに降りかかってくる。
しかしマリクは耳を貸さなかった。
「あっ・・・はぁっ、ダメ、あっあっ・・・!!」
ずぶずぶと腰を使って埋め込んできた。
久しぶりの感触にマリクも眩暈すら感じる。
「うぅ・・・っ、キツイ・・・」
抵抗するかのようにぐいぐい締め付けてくるの内壁に直ぐにでもイってしまいそうだ。
しかしそれそ堪えて腰を動かす。
「あっ・・・はぁ、はぁ、あぁぁぁっ・・・」
「くっ・・・・・・っ」
ぎしぎしとベッドを派手に軋ませマリクが出入りする度に強い快感がを襲う。
先程イかされたばかりだというのに、また絶頂の波が襲ってきているのが分かった。
「マリク様っ・・・ダメ、また・・・またイっちゃう・・・っ!!」
ぞわりとの腹が波打った。
次の瞬間きつくマリクを締め付けて。
「あっあぁぁっ・・・!!!」
悲鳴にも似た声を上げて・・・ブラックアウト。






「だって予感がしたんです」
セックスの後、気がついたがそう言った。
「・・・何の予感だ?」
未だマリクは裏人格のままだった。
「・・・」
「・・・」
「ずっと傍にいさせてください。・・・ずっと傍にいてください」
「・・・勝手にしたらいい」
ぶっきらぼうにつぶやいてごろりとマリクはそっぽを向いた。


『これよりトーナメント1回戦を開始します!』


「・・・始まるんですね」
戦いが。
そして。
「あたしも行っていいですよね?」
「・・・勝手にしたらいい」
「じゃあ行きます」
そして予感はきっと現実になるのだ。
だけどそれは隠したままで。
まだマリクには気付かれないように。
「だって、たった一人でマリク様を待つなんて耐えられませんもの!」
と、はにっこり笑った。
そう例えこの戦いに待つものが敗北であろうと死であろうと。

ずっと、そばに。


















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と、言うわけで。
拍手リクエストの闇マリク夢でした。
死ネタっぽい終わりですが死ネタじゃないですよ〜(と必死に弁明)
ちゃんとサレンダーした後も闇マリクもヒロインも生き残りますよ〜!!!
これを書くにあたって色んな人の闇マリクを読みに行ったんですよね。
まあ出来れば被らないものが書きたいわけなので・・・。
そしたら闇マリク夢の少ないこと!!!
・・・これはもうマイナー好きの自分としてはメインに扱ってあげたいところです(笑)