七日の隔たり




日曜の朝っぱら。
予定がないのを良い事にだらだらと睡眠を貪っていた耳に携帯の着信音が突き刺さった。
「〜〜〜〜・・・はい・・・」
誰だよ畜生。
着信音を大まかに分けているので誰から掛かってきたのか見当がつくはずなのに眠気でそれどころではない。
それよりももっと寝かせて欲しかった。
「おぅ、か?」
「・・・忍君・・・?」
電話の向こうの声にげんなりとする。
普段ならこんな朝っぱらに電話が掛かってくることなんかありはしない。
「今日並ぶからよォ、お前も来い」
「・・・」
「30分後に俺ン家だぞ。分かったな」
―――ぶつん。
「・・・最低のモーニングコール・・・」
携帯をベッドの上に叩きつけて起き上がった。
ベッド脇の鏡を手に取る。
「あーもー、30分で用意して出発して到着出来る訳ないじゃん!朝ご飯食べる余裕もないし!!」
取りあえず手短に服を選んだ。
理不尽に呼び出されている筈なのに奴の飛びつきそうな服を探している自分が恨めしい。
そんな中、この前買ったばかりの下着が目に入った。
春らしいピンク色の、これまた奴が喜びそうだと思って手に取ったものなのだけれど。
「・・・会うの一週間ぶりだし、こっちも・・・着替えちゃおうかな」
別に何かを期待してるわけじゃなくて見えないとこもおしゃれしたいとか。
誰が聞いているわけでもないのに口の中で呟いて今着けていた下着も脱いだ。
とり急いで化粧して髪のセットもそこそこに慌てて家を飛び出して。
結局5分ちょっと遅れて彼のアパートに到着。
は『吾代』と書かれた表札の前で最後に鏡で顔やら髪やらのチェックをして、インターフォンを押した。
やや間があって無用心にもいきなりドアが開けられる。
「遅ェぞ」
「何よ。来ただけありがたいと思いなさいよね」
とりあえずそのまま部屋に上がりこむ。
「お前今日幾ら持ってンだよ」
「幾らも持ってません。あたしの財布当てにしないでよねー。言っとくけどあげないし貸さないから」
床の上の空き缶やらを避けながらは比較的綺麗なところに座った。
何時見ても汚いと思うのだけど、この部屋に来るときはいつも直ぐに布団に雪崩れ込まされるのでゆっくりと片付けたことが無い。
出来ればその内徹底的にやってやりたいと思っているのだが。
「ごちゃごちゃ言ってねーで財布見せろ」
にゅっと脇から吾代の手が伸びて来て鞄を奪おうとする。
「ちょっと、ホントに持ってないってば!」
慌てては鞄を持って後ずさった。
しかし吾代も追いすがってくる。
「ヤダったら!・・・あっ!!」
は吾代を避けようと後ろに手をついた際、避けた空き缶の上に手を置いてしまいバランスを崩す。
その隙にぱっと鞄を奪い取られてしまった。
「返してよ!」
「見たら返してやるっつの。どれだ?これか?」
ぱっと鞄から出されたのは化粧ポーチだった。
間違えてる、とは思ったがはそれを口には出さない。
「・・・なんだ化粧品かよ」
無遠慮に開けて中身を見て取った吾代は吐き棄てるように言った。
それでもがさがさと中身を漁っている。
「・・・お」
何やら発見があったらしい。
男の癖に化粧品見て何を発見したんだ、と呆れながらはそれを見ていたのだが。
ずるりとポーチから吾代が引っ張り出してきたのはコンドームだった。
「中々役立ちそーなモンいれてるじゃねぇか?」
にやっと笑って吾代は口が開いたままの化粧ポーチを鞄に放り込んでしまう。
がしゃ、と小さい音を立てて鞄にポーチが落ちた。
「・・・パチンコ良い台取られちゃうよ」
「構わねェよ。一週間会ってねぇし溜まってンだ。先にこっちとイくか」
ぐい、と吾代はの足首をひっぱった。
ずるずると体は床に敷かれた薄いカーペットの上を引き摺られる。
おかげで対して長くもないスカートはすっかり捲くれてしまった。
足と足の間に割り込むような形で吾代が覆いかぶさってくる。
そして大きな手がの服の裾を捲り上げた。
「や・・・忍君・・・」
「やじゃねぇだろ」
薄汚れたカーテンの隙間から朝の日差し。
先ほど代えた下着が露わになる。
「お前だって期待してンだろーが。新しいパンツ穿いて来やがってよ」
「これは・・・っ、そんなつもりじゃ・・・!」
「じゃあどんなつもりだっつぅんだよ、アァ?」
にやりと意地悪く笑んだ吾代の手がぐっとの胸を掴んだ。
「っあン・・・!」
下着越しに乱暴に胸を揉みしだかれ、少しだけ戦いたは僅かに逃げ腰になる。
「何逃げてんだ、コラ」
「やァっ・・・!」
逃げ腰のを見て取った吾代。
獲物を追う目でに体重をかけ、床に押し付けた。
その際既に勃起しかけている吾代の下腹部が腰に当たりは少し頬を紅潮させる。
「ちょ、忍君・・・この体勢ヤダ。・・・なんか当たるんだけど・・・」
「気にすンな」
居心地悪そうにもぞもぞと体勢を変えようとするをしっかりと押さえつけ吾代はゆっくりと顔を近付けた。
「ふ・・・ン、んん・・・」
吾代は、挙動は乱暴な癖にこんな時は酷く優しい。
まだ朝だというのにキス一つでの体は吾代の言い成りだ。
「ん、は・・・っ、忍君・・・」
甘えるような声で吾代を見上げた。
吾代は意地悪く笑って見せるとするりと服を脱がしてしまう。。
漸く寒さは緩み始めたところだけれど、やはり少し寒くては吾代に縋りついた。
そんなを抱き寄せ、もう一度キスを落として吾代もシャツを脱ぎ捨てる。
「あ・・・っん・・・」
下着を押し上げられて直に触れられた。
先ほどきつく掴まれた時とは全く違う優しい触り方で。
「はぅン・・・忍君・・・あァ・・・っ」
吾代の背に腕を回しては小さく喘ぐ。
耳元を掠めるようにして吾代の唇が首筋に押し当てられた。
くすぐったいような、微妙な感触。
その唇の隙間から僅かに舌先が首筋をなぞる。
「あっ、はァ・・・やァん、くすぐったいぃ・・・」
小さく音を立てて首筋を吸われたり、くすぐる様に舌先でなぞられたり。
「はァ・・・っあ、あァ・・・忍・・・くぅん・・・」
首を吸う合間に吾代の手が緩やかなタッチでの胸を揉みしだく。
その指先は尖り始めたの乳首を意地悪く弄っている。
「んっ、あァ・・・はァん・・・」
軽く摘み上げられ捏ねるように刺激されると何ともいえない感覚が腰から這い上がってくるのだ。
思わず腰を浮かせたら、ごり・・・と吾代の勃起したものが触れる。
「お、何だ。もう我慢出来ねェのかよ」
の腰が自分の股間に押し付けられたのを感じ、吾代がニヤリと笑う。
そして少し体をずらすと、首筋を愛撫していた唇を胸元に押し付けた。
乳首を弄っていた手はスカートの裾から入り、ゆっくりと腰から尻の丸みをなぞる様に這っている。
「ン、あァんっ・・・!あっ、ダメぇ・・・」
吾代の舌先がちろりと充血した乳首に触れる。
弄ぶようにちらちらと舌先で何度も軽く弾かれて、そうかと思えばねっとりと舐められて。
「あぅう・・・はぁはぁ・・・あァ・・・ん、忍君、忍君・・・っ」
ちゅぅぅ、ときつく吸われて思わず両の膝で吾代の腰を挟み込んだ。
強請っているようで恥ずかしいと思うのだけど緩めるどころかもっともっときつく力を入れてしまう。
だって、吾代の手が下着の隙間から入ってきたから。
既にぬるりと湿る溝をなぞり始めたから。
「あぁンっ、はぁ、あぁぁぁ・・・っ」
割れ目を上下に撫でられる度に吾代の指先がの芯を僅かに掠める。
焦れったい刺激に髪を乱して、は胸の上の吾代の頭を抱いた。
「イヤ・・・、もっと・・・」
頬が熱くなる。
見上げれば吾代のしたり顔。
「もっと、か。クク・・・いいぜ。オラ、こうか?」
ぬぶっと吾代の中指が乱暴に押し入ってくる。
「あぁぁっ、はぁっはぁっ・・・」
指の腹で内壁を撫で、親指は尖ったの芯を押し潰すように動く。
「こうだろ?これがイイんだろ?」
「んっ、ひァ・・・っ、イイ・・・っイィぃぃっ!」
ぐっと吾代が指先を奥へ押し込んだ瞬間の腰が波打った。
そしてびくりと一瞬硬直し、瞬間弛緩する。
「――――あぁぁ・・・はぁっはぁっ・・・」
「イったな」
未だ収縮を繰り返すの中からずるりと指を引き出して吾代は笑う。
ねろりとぬめった指を舐めながら。
はそんな吾代を見る余裕もなく、ただ絶頂の余韻にぐたりと体を投げ出していた。
「はぁ・・・はぁ・・・・・・」
苦しそうに胸を上下させているを見下ろして吾代は自分のズボンのベルトを引き抜いた。
それに気付いたは体を起こしてまだ馬乗りになっていた吾代を見上げ、首を傾げる。
「・・・え、ちょっと、忍君・・・?」
「何だよ」
「・・・終わったでしょ・・・?」
「終わってねーだろ!お前だけ気持ちよくなって『はい終わり』な訳あるか!」
言いながらズボンのファスナーを下ろす。
既に反るほど勃起したものを取り出した。
それはの目の前で吾代自身の手で軽く扱かれ、更に上を向く。
「一週間分だぜェ・・・?」
興奮した荒い息で吾代はの足を持ち上げた。
「・・・あぅ・・・」
片足ではあるが膝が胸につくほどに大きく割られては苦しげな声を出す。
しかしそれすら聞こえないようで、吾代は熱く脈打つそれをの下腹部に押し当てた。
「力抜けよ」
「はぅ・・・ん、あっ、あぁぁぁっ・・・!」
先ほどの吾代の指とは全く比較にならない大きなものが中に押し入ってくる。
内壁を擦りながら無遠慮に。
「はぁっ、あ、あ・・・っあっ、あン・・・っ」
「う、すげぇ・・・」
吾代が腰を動かすたびに鈍い衝撃が腰を襲う。
にちゃにちゃといやらしい音を立てながらは深々と吾代を咥え込んでいった。
「はぁっ・・・あは、忍くぅん・・・あン、苦し・・・やぁ、おっき・・・」
突き上げられるたびに声が漏れてしまう。
苦しいような気持ちいいような複雑な感覚。
「あぁっ、はぁはぁはぁっ・・・ダメ、あぁ・・・っん」
ずんずんと突き上げられる度に吾代の先端が当たって。
その刺激に何度も吾代を締め付けてしまう。
そして締め付けられる度に吾代が顔を顰めるが、その苦しそうな表情が堪らない。
「はぁ、はァン・・・っ忍、君・・・っ忍君・・・!」
「・・・っ、・・・っ」
この時だけは吾代も素直にをただ抱きしめて。
も吾代に抱きついて。
壊れるかと思うほど何度も乱暴に突き上げられた。
「ダメ、また・・・イっちゃ、うぅ・・・」
「・・・俺も・・・、出す、ぜ・・・っ」
びくりとの足が跳ねる。
と、同時にどくりとの中が熱く脈打つ。
「んぅう・・・はぁっはぁっ・・・」
二度目の絶頂の余韻には大きく息を吐く。
吾代も胸の上に崩れていた。
「・・・忍君・・・重いよ・・・」
と同じく荒い呼吸をしている吾代に声を掛けた。
返事はない。
溜め息混じりのの目の端に先ほど吾代が化粧ポーチから取り出したコンドームが目に入った。
封が切られた様子は全く見られない。
「・・・また中で出した・・・」
「るせぇ。出来たら責任ぐらいとってやらァ」
無職に近い男が何を言ってやがるんだ、と思ったが口にはしない。
カーテンから差し込む日差しは更に眩しくなっていた。




「・・・で、結局パチンコ屋来るのね・・・」
シャワーを浴びてすぐに吾代が空腹を訴えた。
取り合えず何か作ってやろうかと思ったけれど食材がない。
外へ食べに行こうにもお金がない。

「んじゃ今から金作るか」

なんて吾代が言うものだからてっきり何か当てがあるのかと思ったのも束の間。
吾代の足はパチンコ屋に向かっていたのである。
「まあ見てろよ。すぐに飯代くらい稼いでやっから」
笑って言う吾代。
だけど今までその言葉を信じて報われたことがあっただろうか。
本日開店のド派手なのぼりを見ては盛大な溜め息を一つ吐き。
「期待しないで待ってるわ」
と、一言呟いた。












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吾代さんの家が出てきてて全然設定違ったらどうしよう。不安。
うち的には家賃安そうな1Rって言うのが理想です・・・。風呂無い位で丁度良いよ。
でもさーなんか5巻のとこでゴミ箱あさってるようなコマありましたよね。
この人ほんとに家あるんだろうか・・・。ダンボールで生活してたりしねぇよな(愛ゆえの暴言)
でも愛ある赤貧生活萌え!!!
ところで吾代のイメージソングはムックの「サル」です。(ていうかムックの曲はどれも吾代に似合うと思うのですが)
ぴったりだと思う。なんか吾代って一途そうだし。
ってなわけでサルを聞きながら書いてみました。