伝説の時代
彼の時代。
現代伝説と言われるポケモンが、まだ人々と共存していた時代。
世界には六つの塔があった。
その塔は人々が見つけたときから存在しており、誰が築いたのかは一切不明。
六つの塔は全てが等間隔に建てられているという不思議なもので、人々の信仰の対象になっていくのに時間は然程要しなかった。
それはいつしか神殿としてそこに奉られる神獣の数だけ巫女をたてることでその地域の信仰の中心となっていった。
一つ、北の蒼穹。
奉られている神獣はルギア、ホウオウ、ラティアス、ラティオス。
4人の巫女が治める地。
一つ、南の礎。
奉られている神獣はグラードン、カイオーガ。
2人の巫女が治める地。
一つ、東の古。
奉られている神獣はスイクン、エンテイ、ライコウ。
3人の巫女が治める地。
一つ、西の轟。
奉られている神獣はレックウザ。
1人の巫女が治める地。
一つ、中心の源。
奉られている神獣はファイヤー、サンダー、フリーザー。
3人の巫女が治める地。
一つ、最後の理。
奉られている神獣はミュウ、ミュウツー。
2人の巫女が治める地。
今日はそのうちの一つ。
理の塔での出来事をお送りする。
―――――――――――――
既に、信仰は腐敗の一途を辿っている。
一ヶ月前に巫女として大抜擢された少女はその事実に溜め息を吐いた。
彼女は孤児でこの神殿に拾われ育てられたのであるが、まさかこの神殿の頂点に立つ巫女などに抜擢されるなどと露も思わず。
平凡に何処かの男と結婚して慎ましやかに一生を終えるのであろうと思っていた。
彼女の神殿での生活は決して裕福というわけではなかったが幸せだった。
故にこの神殿に拾われた事を神の導きとして、彼女は敬虔な信仰の遣いになっていったわけである。
それが幸か不幸か彼女を巫女へと追いやってしまったわけであるのだが。
先代の巫女は美しい女性だったのを今でも記憶している。
何故過去形かといえば、先代は一ヶ月前に病気で死んでしまったからだ。
そう、そこでこの少女が急遽後釜に据えられたわけである。
敬虔な信者であった少女にとってそれは憧れに憧れた高嶺の花を掴んでしまったようなもので、喜んでいいのやら驚いていいのやら。
兎にも角にも巫女になる儀式を済ませ、少女は理の塔の巫女になった。
理の塔――俗称最後の理は少女の他にもう一人の巫女がおり、二人の巫女によって治められている。
そしてこの塔は二体の神獣を奉っていた。
ミュウと、ミュウツーである。
神獣一体につき一人の巫女が仕えることになっているのが通俗で、少女の神獣はミュウツーであった。
もう一人の巫女はミュウを神獣として仕えている・・・筈だったのであるが。
一ヶ月目にして少女は見てしまった。
同じ巫女である彼女が昨日の夜遅く、大僧正の部屋へ入っていくのを。
その瞬間少女は全てを察した。
あの子はミュウに仕えているわけではなかったのだ、と。
・・・さて。
そこで一つの疑問が浮かぶ。
少女は何故夜遅く大僧正と会う巫女を見つけることが出来たのか。
答えは至極簡単で明快。
冒頭、少女が「信仰は腐敗の一途を辿っている」と言ったこと。
それは何も他人のことだけではないのである。
信仰の腐敗に嘆く溜め息を吐く少女の隣では一人の男が横たわっていた。
「・・・どうした、浮かない顔で」
そしてそっと少女――の腰を抱き寄せる。
巫女の癖に男とこうしてベッドに横たわっているなんて。
「・・・・・私も含めて、信仰は腐敗の一途を辿っていると思うと悲しくなるんだもん」
小さく溜め息を吐き隣の男に身を預ける。
は昨日、彼の部屋から自分の部屋に戻る時にもう一人の巫女を目撃したのだった。
「くだらんな。私の傍にいるときくらいそんなことは忘れたらどうだ」
「その言葉・・・仮にも私の神獣サマのお言葉?・・・エイシン、私そろそろ部屋に帰る」
だけど抱き寄せられた腕を振り解くこうとはしない。
矛盾した行動を取りつつはぼんやりと視線を泳がせた。
「・・・まだいいだろう」
「でも・・・昨日も遅くなったから・・・」
その所為で見たくも無かった真実を知ってしまったわけだし。
これ以上の背徳は更に罪を重ねるだけにしか思えない。
「は私の巫女だろう?それなら朝まで居たってなんら変なことは無い」
「・・・そうだね」
邪推をする僧正やその他もいるだろう。
しかし悲しいことにその邪推は今の時代、ある意味慣習となっている。
信仰の対象であった筈の巫女。
だがいつしか塔から出られない神獣に与えられた慰み者としての認識が広まり始めた。
実際を含め、多くの巫女が神獣と関係していると聞く。
巫女も神獣も、共に俗世に出られない身分。
それも致し方の無いことなのかもしれなかった。
ゆっくりと体温を探すようにエイシンの手がの体を探る。
「部屋には戻らせん」
ぎしりとベッドを軋ませて、エイシンがの上に乗ってきた。
そして反論する暇さえ与えずに唇を押し付ける。
「ぅ・・・っ」
呼吸の不自由になる感覚。
やや乱暴に塞がれたが、先ほど情交を終えたばかりのの体は素直に反応する。
「んっ・・・ん・・・」
体を押し付けられて深くベッドに沈められる。
「っ、ふぁ・・・っ」
たっぷりと味わった後、漸く解放されは苦しげに息を吐いた。
そんなの頬をゆっくりと撫で、そのまま首筋を伝って胸の膨らみに触れる。
「エイシン・・・っ、ちょっと、私もう・・・っ」
優しく揉みしだかれての体が小さく戦いた。
首筋に埋まったエイシンの頭。
の髪から仄かに香る甘い匂いに眩暈を感じるようだ。
浮かされるようにそろりと這わされたエイシンの舌の感触。
くすぐったいような、だけどそれだけじゃなくては小さな喘ぎ声を漏らした。
「は・・・ぅん、あ・・・」
僅かに仰け反って白い顎を見せる。
無防備に晒されている首を軽く噛み、鎖骨のラインを唇でなぞった。
「あ・・・ぁ、ん・・・あぁっ」
乳房を愛撫する手がそっと尖り始めた乳首を摘みあげた。
敏感になっているそこを強く摘み上げられの体がびくりと跳ねる。
「やぁんっ・・・エイシン、ダメ・・・あぁ、はぁぁ・・・」
少し拒むようにはエイシンの腕を掴んだが押し戻す力などあるはずも無く。
それをやんわりと外して、ベッドに留めてしまった。
「拒むな。すぐに好くしてやる」
「や・・・あぁぁ・・・っ」
腕を押さえつけているのでエイシンは手を使えない。
そこでそっと唇をの胸に押し付けた。
乳房の上の方を少しきつく吸い上げ跡を残す。
「んン・・・っ、エイシン・・・」
赤く残ったその跡をちろりと舐めて、つうっと舌を膨らみのラインに沿って這わせる。
そして先程まで指で弄っていた頂に舌で触れた。
ぷくりと尖った乳首を舌先で軽く転がす。
瞬間、甘い刺激が腰を走っての背をしならせる。
「あぅっ・・・いやぁ・・・っ」
かぶりを振っては訴えるがエイシンは聞き入れない。
それどころかますます唇と舌を使って巧みにを追い詰めるのだ。
「はぁっはぁっ・・・あぁぁ・・・やぁ、もう・・・」
いやいやをする。
しかしエイシンは知っていた。
強すぎる快感を与えられた時、女は意図せず拒絶の態度をとったりすることを。
そして鼻に掛かった甘い声で拒絶されても説得力の無い事を。
「あぁ、ん、はぁぁっ・・・はぁっ・・・」
執拗な愛撫でがくたりと力を抜いたのを見計らい、シーツに縫いとめていた腕を解放する。
そして自由になった手での足を抱え持ち上げた。
「っん・・・」
その所為での秘部が僅かに外気に晒されて、小さく声を上げてしまった。
抱え上げた足をエイシンは肩に乗せ、太股を舐め上げる。
「あ、ぅ・・・ん・・・っ」
内股にそっを唇を押し付けて啄ばむように何度も触れる。
「やっ、あ・・・っ」
皮膚の柔らかいところを意地悪く愛撫されて思わず何度も腰が浮く。
時々ぴりっとした痛みを感じるから後で見たらきっと沢山跡になっているのだろうと思えた。
「・・・すごい、な」
足に触れている間にエイシンはそっと閉じられた中心に向かって指を伸ばす。
先程まで繋がっていたその入り口はしっとりと濡れ、エイシンの指先を簡単に飲み込んでしまう。
「あぁぁんっ、あ、ソコ・・・だめェ・・・っ」
傷つけないように緩く指を動かしながらの芯を探った。
ぷくりと膨らみエイシンが優しく撫でるたびに鋭い快感が腰を走るのが分かる。
ぐじゅ、と更に指を含ませて見た。
押し殺すようにはくぐもった声を上げる。
「ん、ふ・・・っ、エイシン、や、ん・・・ふぅ・・・んっ」
少し苦しそうな顔をしているが、快感に堪えているその様子は堪らなく可愛い。
その表情を見たエイシンはを苛めたくなって、軽く埋め込んだ指先をある一点のところでくっと曲げる。
「ひゃぁぁっ・・・!ダメ、ダメぇっっ・・・!!」
ぐっと埋め込まれた指先が締め付けられる感触と小さく跳ね上がって硬直するの足と。
内部がびくんびくんと痙攣している。
「はぁっはぁっ・・・はあぁぁ・・・、ダメって・・・言ったのに・・・」
は顔を真っ赤にして徐々に弛緩する足を下ろす。
「恥ずかしい・・・」
先に指だけでイかされたことに羞恥を覚え顔を両手で覆った。
しかしそれもエイシンは許さない。
ゆっくりとしかししっかりと、その手を外して笑いかける。
「恥ずかしがらなくてもいい。可愛かったぞ」
「・・・ばか・・・っ」
ますます顔を赤くして頬を膨らましてみせる。
そんなにエイシンは小さくキスをして、腰を抱き上げ自らの足の上に下ろした。
「・・・次は、私の番だな?」
ゆっくりとエイシンは自身の昂ぶりの上にを下ろしていく。
軽く掴んだ腰を抱きしめて焦らすように、ゆっくりと。
「・・・ん、あ、・・・はぁぁっ・・・」
息を吐きながらずぶずぶと埋められるそれを一生懸命飲み込んだ。
腰を使うたびにぐちゅぐちゅと湿った音が秘部から漏れる。
それに煽られるようにエイシンは時折を下から突き上げたりもした。
「はぁっはぁっ・・・あぁぁぁ・・・、入っ・・・た?」
恥ずかしくて目では確認できないのでは問うた。
エイシンは小さく頷く。
いつもよりも深く繋がっているように感じるくらいの中はエイシンでいっぱいだった。
少し苦しげに息を吐くの背を軽く叩いてやる。
「大丈夫か」
「・・・ん、ちょっと・・・苦しい、けど・・・平気」
苦笑を浮かべいじらしく耳元で「だから、いいよ」などと囁く。
そんなことをされては流石の神獣と言われるエイシンでも堪えられはしなかった。
をベッドに押し付けると性急に腰を動かす。
「はぁっ・・・あぁぁっ、エイシン、はぁはぁはぁっ・・・、あぁっ」
ベッドが悲鳴をあげ、それにあわせるようには声を上げた。
耳を塞ぎたくなるような濡れた音と、エイシンの息遣いが耳に入ってくる。
「・・・っ、はぁっ・・・」
「やぁっ、ひ、あぁぁっ・・・エイシン、やぁっ・・・」
激しい注送には縋るようにエイシンの背に爪を立てる。
更に深く繋がろうとしてかエイシンはの足を抱え上げて思い切り突き上げた。
するとの体がびくりと跳ね上がる。
「あっ、あぁぁぁぁぁぁぁっっ・・・!!」
先程イったばかりだというのに、先をも凌ぐような強烈な絶頂に見舞われて悲鳴にも似た声を上げた。
その瞬間、エイシンもの中に精を放つ。
生温いものが中に溢れるのを感じながらは目を閉じた。
結局それから30分後くらいに目覚めたはまたしても溜め息を吐いていた。
やはり、信仰の腐敗を止めることは出来ないのだろうか。
エイシンと愛を交わすことは嫌いではない。
だけど。
「・・・エイシン、私貴方が好きよ。愛してる。・・・でも、貴方は未だ私にとっては神獣様なの・・・」
「神獣が人を愛してはいけないと言うのか」
「悲しいけど・・・その愛は個人に向けられるものじゃ、ないわ・・・。少なくとも私はそう思う」
一ヶ月前までは神と同等だった神獣からの寵愛を受けるということがはある意味恐ろしくて。
それでも愛してしまったことや、拒めずに通じてしまった事を後悔したりしながら。
するりとベッドから降りては法衣を身に付けた。
「私、部屋に下がります。何かあったら呼んで」
小さく告げるとは踵を返す。
その一連の動作を見守っていたエイシンであったが、が背を向けドアから出て行こうとした時。
「待て」
ドアの取っ手に手をかけるとほぼ同時くらい。
エイシンは後ろからを抱きしめた。
「行くな。私の傍に居ろ」
切なげな声色で囁かれた。
「エイシン・・・お願い、放して」
「・・・嫌だ」
耳元に吹き込むように囁いて、エイシンはそのまま強引にの唇を奪った。
唾液の絡む音がしては身じろぐ。
「んっ・・・ちょ、・・・ふっ、う・・・」
後ろからきつく抱きしめられて熱いキス。
優しく口内を舌で撫で回されて、の体が熱を帯びてくる。
「っ、エイシン・・・!ダメよ、もう散々・・・っ!」
「足りない。もっとと居たい。お前を愛しているんだ。私を神獣として誰よりも真摯に愛してくれたお前を」
巫女にしてくれと言い寄るのでもない。
畏怖を感じて恐れるのでもない。
ただ幼い時から真摯に純粋に神と信じてくれたを。
「お前の信じるものを裏切るようで心苦しいが、私を神獣と扱い始めたのはそもそも人間で私が私を神獣と言ったわけでもない。だから私は私の思うとおりにさせてもらう」
部屋の中を風が吹き抜けた。
を抱きしめるエイシンの腕に力が篭る。
すると離れた位置にある一番大きな窓がひとりでに開いた。
エイシンのサイコキネシスだとすぐに分かり、思わずエイシンを見上げる。
「もっと早くにこうしておけば良かった」
見上げたに向かって小さく笑い、エイシンはを抱き上げて窓へ近づいていく。
「・・・何を、するの」
「二人きりになれる場所を探す」
「そんな・・・じゃあこの塔はどうするの・・・?街の人たちは・・・!?」
「・・・悪いが、お前に代わるものだとは到底思えない」
何を差し置いてでもが一番欲しいもので。
その為なら何を犠牲にしたって・・・。
「ダメ、よ。そんな・・・許されない」
「私の愛は、誰に許してもらいたいものでもない。ただお前が傍にいてくれるだけでいいのだ」
にこりと笑い、エイシンは窓枠に足をかけた。
眼下には街が広がっている。
その向こうには海も見える。
ぱっとエイシンはを抱きかかえたまま、塔の窓を蹴った。
一瞬重力に引きずられる。
落下の恐怖感がを包み込んだが、それもすぐになくなりエイシンは高度を上げて空へと飛び立った。
「・・・、愛しているよ。一生傍にいてくれるな」
優しい声で囁かれた。
僅かの躊躇の後、は小さく頷いてエイシンの頬に唇を寄せる。
願うことは唯一つだ。
どうか神に見放されて、このまま誰にも気付かれずにたった二人で死ねますように。
こうして。
伝説の時代から、神獣が一体脱落した。
神獣が姿を消した後も伝説として語り継がれ、彼の地にはその後も彼の為に巫女がたてられ続けた。
しかし神獣が選んだのは後にも先にもこの女一人。
二度とこの神獣が人目に触れることは無かった。
理の塔の話はこれにて終幕。
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と、言うわけで。
拍手リクエストのミュウツー裏夢です。
伝説系は暫らくこの設定で行こうかと(苦笑)
いや、この設定の全員斬りは是非ともやりたいと思いますので時間見つけてちょこちょこ書いていきたいです。
巫女とかやっちゃうとエロが上品になって困ります。
エロはエロだろ、とか思われるかもしれませんが違うんですよ〜・・・。
うちはもっと陵辱的なのが好みです(変態)上品なの書くと筆が遅くなって困りものです・・・。