ナントカと煙の好む場所
「あれ、楽しそうだったなー」
体育祭が終わって何故かヒル魔が壇上に上がってるとき、ぼそりとそう呟く声が聞こえた。
「ねぇ、戸叶」
その声が自分を呼ぶ。
どうせ誰もしっかり並んでやしない体育祭終了後の生徒の列。
振り返った後ろにいたのはだった。
「何だよ」
「あれ、あたしもやりたいな。さっきのさ、騎馬戦のあれ」
「はァ?」
何を言い出すかと思えば。
元々突飛な事を言い出すことの多い。
変わった女であることは戸叶を初め、十文字も黒木も良く知っている。
まず自分達と仲が良いことが変わっている。
きっかけは良く覚えていないが高校に入学した後いつの間にやら輪に入っていた女だ。
そのまま一緒にアメフト部入り。
まもりに対しても変な事を提案しては困らせているが、本人にその自覚は一切無いのであった。
「だから、騎馬戦のあの上に乗ってる奴やりたい」
「阿呆か」
「なんでよー」
口を尖らせて見せるは、やっぱり列を崩していて前にいた十文字に向かって言った。
「ねーあたし騎馬戦の上に乗ってる奴やりたいの!」
「・・・やめとけよ。お前絶対落ちる」
更に頬を膨らませて今度は黒木に向かう。
「聞いてたでしょ?馬やって!!」
「別に俺はいーけど俺一人じゃ無理だろ」
一人了承したのを見て取ってははっと顔を輝かせる。
対して戸叶と十文字は余計なこと言いやがって、という顔だ。
「ほらー黒木はオッケーだってさ!やってくれるでしょ?」
勝ち誇ったような顔では二人を交互に見た。
十文字は溜め息を吐き、呟く。
「・・・ナントカと煙は高いところ好きって言うな」
肩を竦めて渋々了承の意を示す。
戸叶も同じく、返事こそはしないが諦めていた。
部活も終わって、放課後。
「はいはい、早く馬になってー!!んでそのままあたしを家まで送ってね!」
「阿呆、んな面倒くせーこと出来るか」
「何よ戸叶のケチ。とにかく早く馬になって!」
急かされ3人は軽くしゃがんで手を組んだ。
前に十文字、後ろに黒木と戸叶。
「じゃあ乗るよォ」
黒木と戸叶の腕の上にはひらりと乗っかった。
その際にふわりとはためいた制服のプリーツスカート。
「・・・ちっ」
「おいー、パンツ見えてんぞー」
因みに戸叶、黒木の順である。
「えー?まあ減るもんじゃないからいいよー。ほら!それより走って走って!!!」
ぱしぱしと十文字の背中を叩きながら急かす。
「分かった分かった。急かすな。行くぞ」
言った途端走り出す3人。
「ひゃぁぁっ、すごーい。快適ー!!やっぱこのまま家まで連れてってよぉ」
「無理だっつの」
思ったよりも全然軽かったので恐らくそれくらい出来なくも無いだろう。
だけど流石に気が引ける。
だって動くたびに短いスカートがひらひらと揺れて、中がチラチラと見えるのだ。
は気にしていないと言うがずっとこのままというのもどうだろう。
「ーそろそろ降りろよー」
多分黒木も気を遣ってそう言ったのだろう。
普段は結構そういうところ大雑把なのに。
「重いぞ」
そして戸叶もトドメの一言を放つ。
「もー!さっきから戸叶一言多いし!!分かったわよ、降りるわよ。はい止まって止まって!」
また十文字の背中をぱしぱし叩く。
言われた十文字が少しずつスピードを落として最初にを乗せた位置で止まった。
は乗った時と同様身軽にふわりと地面に降りる。
そして道の端に置いておいた鞄を取り上げて。
「はー、すっごい面白かった。来年から騎馬戦男女混合にしてくれないかなぁ」
「馬鹿、危ねーだろ」
「そーそー、落っこちて怪我したらどうするよ」
また変な事を言い出した、とばかりにツッコミが入る。
だけどはそういう時結構真剣だったりして。
何よォ、みんなして・・・と口を尖らせていると、ぐいっと戸叶がの腕を掴んだ。
「阿呆なこと言ってねェで帰ンぞ」
歩き出す戸叶に引っ張られると、それについて歩き出す十文字と黒木。
先に歩き出した戸叶を先頭に振り返りながら黒木と喋ると、その隣に十文字。
後ろ向きに歩いて喋るものだから時々つまずいてこけそうになっては十文字や戸叶に腕を掴まれる。
今もまた転びそうになって腕を掴んでもらった。
「あー、さっきからありがと」
「・・・お前なァ、前見て歩いたって転ぶんだろ。後ろ向きなんて無謀なことするなよ」
肩を竦められた。
でも結局はそのまま振り返ったり後ろ向きに歩いたりしてその後も何度も二人に助けられた。
その後、大きな交差点に差し掛かった時。
「俺、本屋寄ってくからこっちから帰るわ」
と言って、戸叶がふらりと逆方向に曲がろうとした。
するとは今まで黒木と喋っていたのにその会話を中断して。
「じゃああたしも本屋行く」
「は?」
「行くったら行く。じゃあねー黒木、十文字〜。また明日!」
などと明るく言い放ち、戸叶の制服の裾を掴んでばいばいと手を振った。
突然会話を中断されたにも関わらず、黒木も普通に手を振り返した。
十文字は視線で見送るのみである。
そのまま雑踏に消えていく戸叶とを見つめつつ、ぼそりと呟いた。
「あれで隠してるつもりなのかよ」
「さぁ。そーなんじゃねぇの。毎日毎日バックレりゃ嫌でも気付くって分かンねーのかな」
肩を竦めて反対方向へ歩き出した。
「絶対バレてると思うのね、あたしとしては」
十文字と黒木が見えなくなってから、は制服を掴んでいた手を戸叶の手に絡めながら言った。
「何時まで隠すのよぅ。なんか不便だし、結局遊ぶってなったら4人になるしさー。もういい加減言っちゃおうよ」
「・・・」
だけど戸叶の返事は無言だった。
繋いだ手を引っ張って顔を覗き込むけれど、やっぱり無表情。
「ねー・・・、あれ?ていうか本屋あっちだよ?」
「いーんだよ、こっちで」
ざわざわとざわめく雑踏が遠のいていく。
そしてゆっくりと潜り込む夕方の細い道。
顔を伏せるようにしたカップル何組かとすれ違って、気付いた。
「・・・何処行くのよ、庄三」
「分かってんだろ」
「・・・」
返事の代わりに少しだけ握る手に力を込める。
高校生の分際で、とか。
まだ夕方なのに、とか。
余計な言葉を飲み込んでは戸叶の手をしっかり握ってついて歩く。
いつだったか、戸叶を初めて名前で呼んだ日が蘇ってくるようだ。
何時の間にか十文字も黒木もの事を名前で呼んでいたが、初めてを名前で呼び出したのは戸叶である。
誰もいない部室で一言。
『』と。
え、と振り向いた瞬間視線が遮られた。
驚きの声も出せないままに、はキスされたことに気付く。
瞬時にそれは分かったけれど拒むことはせずに受け入れた。
ひとしきり重ねあって、離れた時にはちょっと笑って。
『何するのよ・・・庄三』
それがトリガーだったかのように乱暴に机の上に押さえつけられた。
言葉も何も無くて、でもお互い分かっているような不思議な感覚。
改めてもっと深くキスをされたけど、流石に部室でそれ以上は無かった。
恐らくあの悪魔の先輩が見過ごしてくれるわけもないだろうし。
だけどその日生まれて初めては男の部屋に入ることになった。
「・・・い、・・・おい、」
「・・・え、な、何?」
「何ぼんやりしてんだよ、行くぞ」
どうやら思い出に浸っている間に着いてしまったようである。
先に行ってしまおうとする戸叶に慌てて追いすがって腕を取った。
それをちらりと横目に見た戸叶の腕がの腰に回されて、は何だか嬉しいような照れくさいような気分だった。
ある部屋の前で戸叶の足がぴたりと止まる。
そして誰もいない廊下に響く、ドアを開ける音。
異常に大きく聞こえて誰かに自分たちが此処にいることがバレやしないか心配になる程。
先にぽんと背を押されが部屋に入った。
特筆することが何も無いような普通の部屋。
作られた目的がセックスの為だけというだけで、きっとこんな感じの部屋は日本中何処にでもあるんだろう。
の後から戸叶が入ってきて後ろ手に鍵をかけた。
がちゃりという無機質な音が部屋に響く。
「・・・何突っ立ってんだよ」
ぐいと腕を引かれてベッドに放られる。
そんなに乱暴ではなかったものの、ばふっとマットに体が沈み込む衝撃に戦いた。
そして上に乗って来る戸叶の体重にぎくりと震えた。
別にいつものことじゃないか。
なのにどうしてこんなに空気が乾くんだ。
「・・・ね・・・庄三・・・」
「なんだよ」
制服のブラウスのボタンを器用にそして素早く外している戸叶を見上げて。
「怒ってるの?」
「・・・ちょっとな」
隠すわけでもなく素直に言うところがいつもの戸叶らしくない。
もっとふらりふらりとかわすじゃないか、いつもならば。
「ちょ、庄三・・・っ」
「もう黙れよ」
戸叶の腕が軽く頬に触れたかと思うと、間髪いれず唇が触れた。
遠慮も何も無い、貪りつくすようなキス。
ちゅ、と唾液の絡む音が耳に纏わりついてくる。
「んっ、はぅ・・・」
舌を絡められ、口腔内をなぞられた。
深く触れ合う唇は温かくて柔らかくて。
それだけで興奮の渦に巻き込まれて体が熱くなる。
――くちゅ、ちゅ・・・
キスの合間にも戸叶の手が肌蹴たブラウスの間から入ってくる。
「やっ・・・は・・・」
ふにふにと胸に軽く触れてきた。
「庄、三・・・っあン・・・っ、や、あ・・・あぁ・・・っ」
の体のことは恐らく以上に知っている。
どうすればが全てを放り出して縋ってくるのか、そんなこと既に戸叶の本能は習得済みだ。
性急な仕草での下着を押し上げ、尖り始めた乳首を摘む。
「やぁっ・・・あぁ・・・ンっ」
硬くなり敏感になった乳首を意地悪く指先で転がして無防備なの首筋に顔を埋めた。
の柔らかくて仄甘い香りに眩暈がする。
つうっと舌先で肩口をなぞってみた。
「は、ぅう・・・庄三、庄、三・・・っ」
くすぐったいのだろうか、少し顔を顰めながら戸叶の制服を掴む手に力が篭った。
そのまま舌先での胸の丸い輪郭をなぞってみる。
恥ずかしそうに目を伏せた睫毛が震える。
「ん・・・っ、や、ぁあンっ・・・」
乳房を軽く甘噛みして、ぷっくりと勃起したの乳首を口の中に含んだ。
途端にの腰がびくりと跳ね上がる。
「あぁっ、ダメぇ・・・っ、はぁ・・・はぁ・・・っ」
舌先で円を描くように舐め、軽く歯を立てた。
「んンっ・・・!」
びくりとの体が波打った。
どうやら歯を立てられた刺激で軽くイってしまったようだ。
「おい、。そんなんじゃ先が思いやられるぞ」
「・・・だ、だってぇ・・・」
疼くのか膝を擦り合わせながら頬を赤く染める。
そんなの太股を撫でながら戸叶は薄く笑った。
「ま、いーけどな。きついの俺じゃねーし」
言いながらの下着の上からすりすりと溝をなぞる。
既に濡れていることは見ずともわかった。
ぐい、と足を持ち上げて戸叶はの足を肩に乗せる。
そして内股に軽くキスをした。
「・・・またどっかの誰かにパンツ見せても平気な顔できねーようにしてやる」
「は?」
戸叶は、言うなりの柔らかな皮膚を強く吸った。
ちょっとした痛みを感じた瞬間にの表情が苦いものへと変化する。
「ちょっと、いつも勝手に跡つけないでって言ってるじゃん」
だけど付けられてしまったものが消えるわけではない。
つけた者勝ちだと戸叶はしたり顔である。
そして今しがたつけたばかりのに残る赤い跡を舐め。
「こういうとこに跡あるとエロいな」
なんて笑ってたりして。
はと言うと悔しさでいっぱいだけれど戸叶を睨むことしか出来なくて。
「馬鹿なこと言ってないでさっさとすればいいじゃない!」
とか、悔しさを紛らわすようなことしか言い返せなかった。
「ねー言っちゃおうよ。2人に」
「・・・は?」
「だから、あたしたち付き合ってる事をさ」
コトが済んで二人してベッドに沈んでいたら、が唐突に言い出した。
「どうせ気付いてるって。ねぇ、言っちゃおうよ」
「・・・」
どうせ気付いているのならわざわざ言わなくてもいいんじゃないかと戸叶は思う。
「・・・仕方ねーな」
「えっ、じゃあ言ってもいいってコト?」
「・・・違ぇよ。もう一回黙らせてやろうと思ってよ」
そしてにやりと意地悪な笑みを浮かべ、の体の上に乗ってくる戸叶。
キスで反論を防がれたまま、はそれでもこの話題について諦める気は無かった。
そしてコトが済んでからもう一回言ってみようと思いつつ目を閉じたのであった。
ENDLESS?
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アイシールド戸叶でした。
なんか少女漫画仕様じゃないですか!?微妙に恥ずかしいモンを書いてしまった・・・。
エロより少女漫画の方が恥ずかしいです。はい・・・。
あーもうムサシも好きだけどやっぱ戸叶も大好きだ!
3兄弟の書き分け超難しかったです・・・。
ホント書き分けれてなくて申し訳ない;;
誰の台詞か分からないときはフィーリングでお願いします;
・・・ところでラブホって高校生でも入れんの?制服はまずかったかな・・・。それより相場が気になる。幾らくらいなんだ。