卵
ポケモントレーナーのは最近不眠症気味だった。
と、言うのも夜中に金縛りに見舞われるからである。
ほぼ毎晩のように起こるそれは、どうやら一緒に寝ているバシャーモのも感じているらしい。
毎朝眠そうな顔で悔しがっている。
自身はそこまで感じたことは無いのだけれど、は何かの気配も同時に感じているのだとか。
だが金縛りでそれを確認出来ないのが余程悔しいらしい。
腕に覚えのある彼だけに許せないのだろう。
気配を感じ取っていながら、愛しいを苦しめているそれから護れないことが。
明け方までなかなか眠れないために寝不足な。
今日も眠い目を擦りながらタマゴを抱いて奔走中だ。
レベルを上げるだけでは覚えない技を覚えさせるために、最近はタマゴを孵すのにはまっている。
トレーナーなのにタマゴの入ったモンスターボールを沢山持ち歩いて奔走する様は、さながらブリーダーだ。
昨日生まれたばかりのロコンは熱風を覚えていた。
タマゴはパソコンに預けていては生まれないので毎日2〜4つくらいのタマゴを持っては毎日トレーナーとのバトルに明け暮れていた。
「眠い・・・」
しかし流石に疲れてきた。
寝不足な上にバトルが続いていて、そろそろ辛くなってきたところである。
「おい、。お前ちょっと休め」
が先程滅びのうたを持って生まれたププリンをあやしながらそう言った。
生まれたおちび達はいつもとチルタリスのが見てくれている。
「でも・・・今日中にこの子も孵したいし・・・」
あくびをしながらタマゴの入ったモンスターボールを撫でてみせる。
それが最後の一個だった。
・・・とはいってもまだ育て屋に預けていてタマゴが出来るのを待っているものもいるのだけれど。
「うるせぇ!黙って寝やがれ。おい、うたえ」
「僕の意志は無視なんだね。まあが心配だからいいけど・・・」
『.。♪゜・:。♪゜.♪.。♪゜・:。♪゜.♪.。♪゜・:。♪゜.♪・・・』
が歌い始めると既に眠気を感じていたは抵抗など全く出来ずにずるりと眠りに落ちていった。
そしてそれを聞いていた、と同じく寝不足のもかくんと体を崩す。
「♪〜・・・ってあれ?ちょっとちょっと、何でまで寝ちゃうのさ!」
もぅ〜・・・と、仕方なくはの腕からププリンを抱き上げて歌いながらあやし始めるのだった。
が目覚めたのは既に日も落ちようとしている時だった。
寝ちゃった!と慌てて体を起こせば、それに驚いたププリンが泣き出す。
どうやら性格は臆病らしい。
「おう、良く寝たか」
「ぐっすりだったね。いい夢見た?」
こちらも良く眠ってすっきりしたようなと、ププリンのあやし疲れがちょっと顔に出ている。
ぴーぴー泣いているププリンをよしよしと撫でながらにっこりと笑うと、ぐずってはいるものの少し静かになる。
「夢も見ないほどに寝ちゃったよ・・・ああ、結局この子は明日に持ち越しかぁ〜・・・」
少し前から動くようになったタマゴをボールから出して抱きしめながら溜め息をついた。
早く生まれてきてはくれないかと楽しみで仕方が無いけれど、こんな時間からうろついたり戦ったりするのは大変なので。
昨日まで宿泊していた施設に戻ることにした。
あちこちに点在するポケモントレーナー用の施設の一つ。
自身はもうトレーナーバッジを4つ所持しているが、こういう施設ではバッジの少ない者程優先してもらえる。
・・・と、いうよりは既にバッジを5つ以上所持している者はもうあまちこういう施設を利用したりはしないのだ。
一般的なホテルを使ったり、空を飛ぶ技で自宅から出て行く者も数多い。
初心者の為にあるような施設であるので、そんなに有益な情報も入ってこないのだ。
なんと言っても魅力は安さなのだから。
「・・・そろそろお金も貯まってきたしねぇ・・・。中級者が集まるって噂の場所も今度チェックしとこう」
特に人気があったりするのはやはり現有名トレーナーが駆け出しや中級者だったころに泊まったと言われるホテル。
そういうところにはどこからか噂を聞いたトレーナーが自然と集まってくるのだという。
だから見込みのありそうな新人や中級者は時折お誘いが掛かったりする。
その代わり出世したときにそれとなく自分のところに泊まったと言ってくれ、ということだ。
実はもその招待を一箇所から受けたことがある。
勿論それは期待されているという名誉なこと。
喜んでお受けして、その後もちょくちょく寄ってくれと言われた。
「そーだ。手始めにそこに泊まろ。丁度5つ目のバッジの街だし!」
そして施設はやめて中級、上級者と同じく一般ホテルに泊まりながら稼いで行けばいい。
実力を試す分にもきっといいだろう。
「。タマゴは今回この子と、あと出来てたらその分で終わりにするよ。そろそろ5つ目のバッジ取りに行こう」
「おっ、その言葉待ってたぜ!!もう子守は飽き飽きしてたトコだしな。ジムリーダーか・・・腕がなるぜェ」
最近は孵化の為だけに奔走していたこともあって、少しレベルの低いバトルばかりだった。
しかし格闘タイプのには物足りないということも分かっていた。
は自分より強いポケモンや、弱点タイプとギリギリの戦いをするのを好む。
良くも悪くも好戦的。
「じゃあ早速育て屋行って預けてる奴等迎えに行こうぜ!!!」
の提案にが頷く暇も無く、を抱き上げては走り出した。
「きゃぁっ!ちょ、!!」
「お前の足じゃ遅すぎるんだよ!落とされねぇように掴まっとけ!!!」
「きゃ〜〜〜〜〜っっ」
ぐんぐんスピードを上げては育て屋にむかって一直線だ。
・・・そう、文字通り。
家を飛び越し、ビルの壁を蹴り、とっくに飛行タイプでもなくなっているのにまるで空を飛んでいるよう。
気を失わないように必死になりながらはにしがみついていた。
「・・・ホント、ありえない・・・」
普段なら自転車で10分くらいの距離なのに3分で着いてしまった。
直線距離だったとはいえ早すぎる。
そんなに嬉しかったのかとは少し複雑な気分だ。
「すいませーん、預けてた子達引取りに来ました」
育て屋の家の中へ入っていく。
生憎と引き取った2匹の間にタマゴはまだ生まれていなかったようで、は大喜びだった。
「よっしゃァ!これで明日このガキが孵ればジムだな!!」
「はいはい、じゃあ大人しく帰るよ。今度は歩いてね」
流石にもうあれは遠慮したい。
びしっとに言い放ち、前を歩いて育て屋を出た。
自転車なら10分、でも徒歩だと30分ほど掛かってしまう距離を歩くのは面倒だったけど仕方が無い。
なんと言ってもが自転車を取りに行く前に行動してしまったんだから。
てくてくと歩いて宿泊施設に帰り着く時には、もう辺りは大分暗くなってしまっていたのだった。
慌ただしくチェックインをし、施設内の食堂で夕食を摂って、部屋に戻る。
鞄をベッドの上に放り出して、はバスルームに向かった。
今日は大して何もしていないのでそんなに汗もかいていない。
昼間に眠ったのもあって頭がすっきりしているし、今日はゆっくり風呂に入ろうという算段だった。
「、俺も一緒に入るぜ」
「やだ。狭い」
即答ではが入ってくるのを阻止しようと試みる。
だけど体格の差からそれが叶わないことも分かっている。
アチャモの時は結構一緒に入ったりもしていたがワカシャモになった辺りから少し一緒に入るのは辛くなった。
理由は『狭いから』、これ一つで他意はないが。
「遠慮すんなよ。キレーにしてやっから」
にやりと笑ってはバスルームに押し入り、を抱き寄せた。
「キレーにしてもらう、の間違いでしょ」
狭いのに・・・とは不服そうだ。
しかしそんなにはお構い無しにはの服を剥いでいく。
徐々に露わになる白い肌。
無意識にの喉が鳴った。
そういえばココ最近金縛りやら寝不足やらでと肌を重ねていなかった。
そんなの手が急にいやらしく体に触れてくるのを感じ取ったがの手を掴んだ。
「ちょっと・・・狭いんだからそういうことしないでよ〜・・・」
「いいだろ、ココ最近ヤってねぇしよ」
悪びれも無くいうとを抱き上げて浴室へ入っていく。
そしてバスタブの淵に下ろした。
「やだ、。ココじゃだめ」
「ンだよ。お前だって溜まってんだろ?最近全然だったんだからよォ」
「そんなこと・・・っ」
はっきりきっぱりそんなことない!とも言えないけれど、ここはちょっと場所が悪い。
「んじゃ確かめンぞ?」
自信満々といった表情ではを見ている。
「・・・す、好きにすれば・・・?」
飽くまでも強気。
ここで折れてしまったらの好きにされてしまう。
それだけはちょっと避けたかった。
の返事にはにやりと笑う。
「じゃあ足開いて見せろよ」
「・・・っ、何でそんなこと・・・っ!」
「証明してくれンだろ?溜まってねぇって。確認してやるから足開いての指で拡げて見せろ」
意地悪い言葉にの頬は赤く染まる。
自ら開いて見せろだなんて、そんな恥ずかしいこと出来るわけが無い。
「やだ・・・っ」
「あれもヤダこれもヤダって言ってンじゃねぇよ。ったく・・・我が儘だな、は」
やれやれと億劫そうな溜め息をつき、はしゃがみこんでの右膝を掴み、左膝には肘を当てる。
その瞬間には冷や汗をかき、抵抗しなきゃ!と思うがの行動の方が早かった。
ぐっと手に力が篭ったかと思うと、は体をの足の間に押し込めるような形で膝を割ってしまう。
「やぁっ!ちょ、、止めて!!」
「見るだけだろ」
そういって思わせぶりに自分の指先を舐めた。
は膝を閉じようにもの体が膝と膝の間に入っているので如何にもならない。
ねとりと唾液を絡ませた指先をそっとの中心に伸ばす。
ぷにっと指先が花弁の中に埋まった時、の体はぴくりと震えた。
「っ・・・」
きつく目を閉じて声を耐えるように唇を噛む。
の指は、しかしそんなに容赦しなかった。
くいっと2本の指での秘部を拡げていく。
「ぅっ・・・」
外気に晒されたソコはしっとりと潤んでおり軽く触れたの指に銀の糸を引いた。
「・・・嘘吐きだなァ?」
クチュ、と濡れた音がバスルームに響く。
触れられた刺激でまたは体の奥から愛液を零してしまって。
「溢れてくるぜ?やっぱ溜まってんじゃねえか!」
したり顔で笑われてしまう。
悔しく思いながらも体は正直なもので、が指を離してしまうと凄く残念な気分になってしまう。
もっと欲しかったのに、とか。
気持ちよかったのに、とか。
「ま、寝不足も解消したことだしな!・・・じっくり楽しもうじゃねェか」
なぁ?
と、ケダモノの目で見つめられて。
はもう逆らえない。
(・・・こんなところで嫌なはずなのに・・・変だよぉ・・・)
おかしくなってしまったような、だけど凄く冷静なような。
熱に浮かされた頭では小さく頷いて見せた。
「はあっはあっ・・・ダメェ・・・もう、イく、イくぅぅぅっ・・・っ!!!」
バスルームで2度、そして今ベッドの上で3度目の絶頂を迎えては体を痙攣させながらベッドに沈んだ。
すると・・・。
「あ・・・嘘・・・」
「ちっ・・・今日も、か・・・!?」
いつもの金縛り。
しかしいつもと違ったのは、が寝不足では無かったということ。
そしてを抱いてすっきりしてたということ。
重くのしかかってくるような金縛りを必死で振り解き、はの鞄を逆さまにした。
「!」
その様子は見えているが、は声が出せない。
しかし心の中ではなんてことするんだと大声で叫んでいた。
「・・・っ!こ、これか・・・!?」
ばっとが手に取ったものはなんとモンスターボール。
それもタマゴが入った奴だ。
はそれを壁に投げつけるようにして乱暴に中からタマゴを出す。
「おい!起きろ!!!寝ぼけてんだろ!!」
そう言ってタマゴに怒鳴ったら、小さくタマゴが動いて・・・。
「あ・・・・・軽くなった・・・」
急に金縛りが解けたのである。
「やっぱな。おい。こいつ何のタマゴだよ。・・・なんとなく想像つくけどよ」
「え?ケーシィだけど・・・」
「・・・あー畜生、やっぱりかよ。ったく、こいつ中で寝ぼけて念力使ってやがったんだよ」
吐き捨てるように言うと、はタマゴのモンスターボールを拾い上げて元の通りに戻した。
勿論ひっくり返した鞄もちゃんと元に戻している。
「そうだったのか・・・何時から気付いてたの?」
「一昨日くらいにな、どうもお前の鞄から気配しててよ。案の定だぜ」
全部元通りに放り込んで、はの隣に寝そべった。
「まあ、明日にでもあのガキが孵りゃあ安眠は約束されるってこったな!・・・つうわけで」
がしっとの腕がの体を捕まえる。
「もう一発いっとこうぜ!!」
そう言って馬乗りになってくるに、は気が遠くなる。
これなら金縛りで眠れない方がいくらかマシよ・・・。
だけどその嘆きの声はのキスで押さえ込まれてしまったのだけれども。
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と、言うわけで。
奈々様拍手リクエストのバシャーモでした。
いつも書く子がヘタレっ子ばっかりなので、今回は意地悪にしてみました。
個人的にはバシャーモは真面目で堅くて、でも実は結構エッチなんだけど言い出せなくて常に欲求不満な感じが萌えなんですが(それもどうかと)
格闘タイプだから奥手なむっつり君っていうイメージが強いんですよねー。
でも格闘タイプだからこそこういう強気で意地悪エッチもありだろうと!(力説)
バシャーモは擬人じゃなくても外見大好きな子なので書くのは非常に楽しかったですv