・・・私も大好きだよ
「静かにしてよ!!!」
そういう私の声がきっと一番大きかった。
突き刺さる視線に居た堪れなくなって、私は遊戯と城之内の手を引っつかんで図書室を飛び出した。
「もうっあんたたちが静かにしないから・・・!」
怒る私の後ろで城之内が「が一番うるさかったよな」とか遊戯に言ってるのが聞こえる。
そりゃトドメさしたのは私かもしれないけど!!!けど!!!!
「それ以前にあんたたちがうるさかったんでしょ!!!カード持って図書室についてくるなんて非常識よ!!!」
もう図書室じゃないことをいいことに私は二人に大声で言った。
周りがこっち見ようと構うもんか。
テストが近いって言うのにこの二人はホント何もしないで遊んでばっかり!
それに私も巻き込まないで欲しい。
二人の家と違ってウチは超厳しいの!!
遊んでて成績下げちゃったりなんかしたら、最近やっと緩くなった門限とかがまた元に戻っちゃう。
「ウチ厳しいの知ってるでしょ。遊ぶためには勉強しなくちゃいけないの!」
「、その言葉なんかおかしくねぇ?」
「おかしくない!」
そうよ、頑張っていい点とって遊戯と遊びに行くんだから。
放課後。
私は遊戯と二人で帰路についていた。
杏子繋がりで仲良くなった私達だけど、実は家がすごく近い。
いつもは遊戯の家に上がって話をしたり、遊んだりするんだけど・・・。
今日からはそうも言っていられないのだ。
なんと言っても私の前にテストと言う3文字が立ちふさがっているのだから。
「遊戯、私今日からテスト終わるまで遊びに行かないからって言っておいて」
「え?どうして?」
きょとんと遊戯が見上げてくる。
「だって勉強しないと。さっきも言ったけど遊ぶためには勉強しないといけないのよ」
「・・・ちゃんの家はホントに厳しいんだねぇ」
「そう、だからそう言っておいて。じゃあね」
言って遊戯の家の前で別れようとした時。
がしっと私の腕を掴む手があった。
「待てよ」
振り返れば・・・。
遊戯が私の手をしっかりと掴んでいる。
しかも遊戯じゃなくて、あっちの遊戯だし。
なんて変わり身が早いの。
「言いたいことがあるなら相棒に言わずに直接俺に言えよな」
にやっと笑って私を見てる。
ああ、もう。
素直な方の遊戯ならともかく、こっちの遊戯は攻略するのが大変だ。
それを知ってて遊戯に言付けしたのに・・・もぅ。
「だから、今日からテスト終わるまで――――」
仕方なくもう一度同じコトを言おうとしたら。
「立ち話もなんだから入れよ」
そう言って私の話を遮ってさっさと家に入ってしまう。
ちょっとちょっと!!!それじゃあ何の為に私がここで別れようとしたのか分からないじゃない。
本当に帰りたければ無視して帰ればいいんだろうけど・・・。
生憎私には付き合っている人に対してそこまで出来る女の子でもなくて。
渋々ついて行かざるを得なかった。
お店番をしている遊戯のおじいちゃんに挨拶して、とんとんと二階へ上がる。
ノックもなしに無遠慮にドアを開けると、学ランの上だけ脱いだ遊戯がベッドの淵に座ってた。
「・・・もぅ、今日からテスト終わるまで遊びに来ないって言ったの本当は聞いてたんでしょ?」
「さあね。勉強したいなら俺の家ですればいいだろ」
しゃあしゃあと言ってのける遊戯だけど、私はそれで前回痛い目を見ている。
前回も同じことを私に進言しておいて邪魔しまくった遊戯。
またそれに引っ掛かるような馬鹿ではない。
「それで前回邪魔したのは遊戯でしょ。私帰るからね」
一緒にいたくないと言えば嘘になるけど、もっと自由に遊戯に会う為なんだから仕方がない。
後ろ髪を引かれる思いで私は出て行こうと踵を返した。
だけど・・・。
またしても捕まれる私の手。
「・・・離して」
「嫌だ」
言った瞬間遊戯が思い切り私の腕を引っ張った。
予想外な遊戯の行動に私の体はバランスを崩して引っ張られた方向へ倒れこんだ。
勿論、遊戯の方向。
そしてその向こう側には・・・ベッドがあるんですけど。
遊戯に抱きつく形で倒れこんだ私と、それに合わせてわざと後ろへ倒れたような遊戯と。
ばふっと柔らかい衝撃が来て、私は慌てて起き上がる。
「ちょっと、これじゃあ前と同じでしょ・・・っ!」
はたから見ればきっと私が遊戯を押し倒したかのように見えるんだろう格好で、遊戯に怒鳴った。
だけどそれで怯んでくれるようなヤツでもない。
こっちの遊戯は素直な方と違って一癖も二癖もある厄介な相手なんだから。
ま、そういうとこも好きで付き合ってるんだけど。
「前は悪かった。だから今回は抵抗してもいいぜ」
「はぁ?」
「出来たらの話だけどな・・・!」
にやっと笑って素早く私と体の位置を入れ替える。
この小さい体の何処にこんな力を隠してるんだろう・・・。
がっちりと私を組み敷いて遊戯の手が私のブレザーの上を脱がせ始めた。
「ちょっとちょっと・・・!!待ってよ、ヤダって・・・」
声を上げる私を無視してその手は器用にブラウスのボタンを外していく。
驚くほどの速さで私の服の前が広げられ、遊戯がゆっくり鎖骨に顔を埋めた。
「やっ・・・ちょ、遊戯・・・っ」
「、好きだぜ」
「・・・っ!」
ああ、もう決定打。
いつもいつもクールで涼しい顔して、私を翻弄するくせに。
こんな時だけするっと好きとか愛してるとか。
・・・私も大好きだよ。
今日は、もう勉強止めでイイや・・・。
私が静かになったのを見て遊戯はにやっと笑った。
全部お見通しって顔してる。
悔しいなぁ・・・。
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今回のヒロイン設定可愛くない上に色気皆無ですいません。
彼女は普段はそんなに勉強勉強言ってるわけじゃないんです。
とりあえずテストやら成績表の数字がよければ機嫌が良いという嫌な親を持ってしまったがためにこんな風に。