あたしは聞きわけの良い女。
折角キミが見つけたんだ。
邪魔、したくないんだ。
言えない
「今日も、練習?」
「・・・悪ィ」
バツの悪そうな顔であたしに言う。
そうだよね。
黒木君と十文字君達の先約以外であたしと会わなかったことなんて殆どないし。
お互いに親のいない時を縫っては3日とあけずに家を行き来して。
どっちの家にも親が居る時は漫喫行って個室で朝までエッチして。
一緒に遅刻しながら登校したら黒木君に冷やかされて、十文字君に鼻で笑われる。
時々それに怒ったあたしが黒木君と言い合いになったっけ。
でもトガは十文字君と一緒にそれを苦笑交じりで見てるんだ。
そんな毎日。
今や遠い昔みたいだけど。
「・・・いいよ、うん。練習大事だもんね。気にしてないし・・・じゃあ帰るね。・・・明日、また学校でね」
あたしは聞きわけの良い女。
ううん、我慢なんかじゃない。
トガが折角見つけたんだ。
嬉しいよ、あたしも。
「・・・悪ィな」
そう言ってトガはあたしに背を向けて、グラウンドに向かっていった。
待ってよ、なんて言っちゃダメだ。
そう言い聞かせてあたしもトガに背を向ける。
本当は練習なんて放り出して追いかけてきて欲しかったけどそんなことなくて。
ううんだけどソレできっと正解。
あたしを選ばないで。
さみしいけどトガが頑張りたいと思うものの、妨げにはなりたくない。
とぼとぼと一人で夕方の暗くなり始めた夜道を歩く。
やだな・・・最近この辺痴漢出たりするって聞くし・・・。
この前まではトガが送ってくれてたから何てことなかったけど・・・。
さっきから誰かが後ろ歩いてるような感じがして、あたしは凄く怖くなってきた。
だんだん歩く速度を上げてみる。
嘘・・・ついて来てる・・・?
思わずあたしは走り出そうとした。
その時。
「きゃぁぁっ!!!」
腕をぐっと掴まれて抱きつかれた。
「ハァハァハァ・・・っ」
「嫌!!!離して・・・!!!!」
耳元で荒い息を感じる。
ぞわっと肌が総毛だった。
気持ち悪い気持ち悪い。
それでも必死で抵抗して、痴漢が怯んだ瞬間に抜け出して思い切り走った。
一瞬ちらりと目の端で捉えたその痴漢。
長いコートを羽織ってその下は・・・。
幸い家はもう直ぐソコだったから良かった。
震える手で家の鍵を握って、でも慌ててるからなかなか上手く差し込めない。
そうしている間にも痴漢が追いかけてくるんじゃないかと怖くて怖くて。
ようやく開いた扉の向こうに転がり込んで、しっかり鍵を閉めて。
やっと・・・安堵した。
「・・・はぁっはぁっはぁっ・・・こ・・・怖かった・・・」
ずるりと玄関にへたり込んで息が整うのを待つ。
まさか痴漢に遭うなんて。
「・・・トガが一緒にいてくれてたらな・・・」
あんな奴、一発殴って撃退してくれたのに。
ううん、トガがいたらあんな奴に狙われなかったかな。
やっと息が少しずつ整ってきた。
だけどまだ足は震えっぱなしだ。
それを必死で抑えながら立ち上がって、あたしはリビングに鞄を放り出すとバスルームへ向かう。
制服越しではあったけど、痴漢に抱きつかれたところが物凄く汚くなった気がして堪らなくて。
熱いシャワーを頭から被ったら何だか泣けた。
凄く惨めになった気がした。
親が居なくて良かった・・・。
誰も聞いていないので遠慮なんかしない。
ひとしきり泣いて、念入りにごしごし体を洗った。
でも抱きつかれたときのあの感触はなかなか消えてくれない。
違和感を残したままあたしはお風呂から出た。
ちょっと投げやりな気分で乱暴に髪を拭きながら鞄を漁る。
「あっ・・・!!!」
絶望的な気分で覗いた携帯には着信が入ってる。
慌てて履歴を見れば2件の着信。
1件は登録してないどっかの誰かの番号みたいだったけど、1件はトガだ!
嬉しさと安堵がない交ぜになったような気分であたしは電話をかけ直す。
きっと練習が終わったから電話をくれたんだろう。
嗚呼、もっと早くお風呂から出れば良かった・・・!
気分が少し向上してきた。
だけど。
「・・・出ないし・・・」
どうせ3人でゲーセンにでもいるのか、疲れて寝ちゃってるかどっちかだな。
何度かチャレンジしてみたけど結局その持ち主に繋がることはなかった。
タイミングの悪い携帯を放り出してあたしはソファにうずくまる。
痴漢の息遣いがまだ耳に残ってて気持ち悪かったから、テレビの音量をいつもより上げた。
いつもトガと見てた番組が放映されてるけどこんなにつまらなかったのかと驚愕。
でも誰もいない家で静かに一人でうずくまってるのはもっと耐えられないから流しっぱなしにして何処を見るともなくぼんやりとしていた。
そのまま番組が終わって、あたしは暇だからうとうとしていた。
そんな時。
『〜♪』
「・・・・・・・・え・・・あ!!!トガからだ!!!!」
トガ専用の着信音。
慌てて放り出した携帯を取る。
「もしもしっ!!」
ちょっと興奮して声が上擦っちゃったかも。
でもそれくらい嬉しくて。
『おぅ、か?』
「うんっ、どしたの?」
電話越しの声。
ちょっと聞き取りづらいのはうちの電波状況が悪いから。
なんでこここんなに電波のはいりが悪いのかな。
『今晩お前ン家行ってもいいか?・・・ちょっと話あるし』
「うん、いいよ。今日誰もいないし」
『そっか。じゃあ・・・』
トガがそう言って電話が切れるかと思ったら、代わりにインターフォンが鳴った。
「えっ・・・」
あたしは携帯を耳に当てたまま慌てて玄関に向かう。
そして勢い良くドアを開けた。
「トガ!?」
「・・・おぅ」
玄関先にはあたしと同じく携帯を耳に当てたままのトガの姿が。
「・・・行っていいかって、もう来てんじゃん!」
「悪ィかよ」
「全然!」
寧ろ超嬉しい。
今日は本当に親が居なくて良かった!
あたしはトガを家にいれて鍵をしめて、トガをリビングに通そうとした。
だけど。
「・・・お前の部屋行こうぜ」
って。
それエッチの催促?
聞く前にキスで言葉押さえ込まれちゃったけど。
ちゅ、と湿った音がして唾液が絡んで。
合間にトガの手があたしの腰をきつく抱いた。
「や、こんな、とこで・・・っ」
「ワリ・・・久しぶりだからよ」
ホントにね。
3日とあけずにエッチしてたときの事を思えば全然「一緒に寝る回数」は減ったね。
でも結局「ヤる回数」はあんまり変わってないんだけど、気付いてるのかな。
「部屋いくぞ」
「きゃぁっ・・・!」
がっとあたしを抱き上げるトガ。
すごい、流石練習で鍛えてるだけ・・・あるねぇ。
思わず関心。
軽々階段を昇っていくトガの首に腕を回して抱きついた・・・っていうかしがみついたっていうか。
そういえば煙草の匂いしなくなった。
前はあたしの部屋では止めてよねって言っても止めてくれなかったのにな。
ぽいっと放り出されたあたしの部屋のベッドの上。
トガが性急に乗っかってくる。
「どしたの?溜まってる?」
「・・・まぁ、久しぶりだしな」
ぎしりとベッドを軋ませて乗っかってきたトガ。
改めてあたしにキスをしながら、大きな手があたしの服の上から胸を押しつぶす。
「っ・・・」
お風呂上りでもう下着を着けてなかったからダイレクトにトガの手を感じた。
直に触られるよりもちょっともどかしいけど、それはそれで何かイイ。
「あっ、はぁ・・・」
ふにふにとトガの手で形を変えらて揉みしだかれる。
ぷっくりと尖り始めた乳首を刺激されるとなんとも言えない感覚が下の方から上がってきて。
トガの腕を掴んでいる手に力が篭る。
「・・・、ちょっとだけ手ぇ離せ」
「・・・え」
やんわりとあたしの手を外したかと思うと、あたしのシャツを捲り上げて器用に脱がせてしまった。
勿論下には何も着てない、素肌だ。
「何も着てなかったんだな」
さらさらとあたしの肌を撫でながらトガが笑って。
「下もか?」
なんて聞いてきた。
そして軽く鎖骨の下辺りに顔を埋めて、跡をつける。
ちろりと舐め上げられるとくすぐったさに声が出ちゃう。
「あンっ・・・自分で、調べてみれば?」
ほら、と穿いている短パンを脱がせやすいように腰を上げて見せる。
すぐにトガの手が伸びてきて、それを焦らすように下ろした。
「・・・まあ穿いてない訳ねーわな」
当たり前だけどパンツくらい穿いてる。
それもすぐに脱がされちゃうかと思ったけど、トガの手は布越しにあたしの中心に触れてきた。
くっと軽く指先を埋め込まれてぐじゅりと濡れた感触がする。
「なんだ、お前も期待してんのな」
「もうぅ・・・言わないでよォ・・・」
流石に恥ずかしい。
「あっ、あっ・・・ァは、は・・・ン・・・っ」
指先があたしの芯を弄り始める。
布が擦れる感触が堪らない。
恥ずかしいけどでも気持ちイイから、ますますあたしは涎を垂らしちゃう。
「やっ、トガ・・・っ、アん、っ・・・ダメぇ・・・」
「ダメじゃねえだろ」
「やぁん・・・っ」
トガの指先が下着の隙間から入ってきた。
直に指があたしの中に埋まる。
「ぬるぬるだな」
「いやァんっ、だめ・・・ぇ」
はしたなく溢れさせているソコは簡単にトガの指を飲み込んで離さない。
くちゅ、と卑猥な音を立ててトガが指を動かすたびに締め付けてしまう。
トガもそれであたしが感じてることがわかるんだ、にやっと笑ってますます意地悪く指を動かす。
「はぁっはぁっ・・・あぁ、ん、あっ、と・・・が、ダメ・・・あっあっ・・・」
本番前に指でイかされちゃうのかと思うくらい苛められたけど、結局イきそうになる度にトガは意地悪く指を止めた。
喘がされまくってもう荒い呼吸を繰り返すことしか出来ないあたし。
ぐったりと力なくベッドに寝転がるあたしを見てからトガはようやく指を抜いてくれた。
かちゃかちゃベルトを外す音が聞こえる。
「、お前可愛すぎ。堪んねえ」
ぐいっと足を持ち上げられて、熱いモノがあたしの足の間に押し付けられた。
続いてぐっとそれが埋め込まれるのを感じた。
「っく・・・あぁぁ・・・っ」
久しぶりだから圧迫感が凄い。
気持ちイイを通り越して苦しいくらいに。
「うっ・・・キツ、いな・・・」
「はぁっはぁっ・・・あくぅ・・・トガ、はぁはぁっ・・・はぁぁ・・・」
盛大にベッドを軋ませてぐいぐい腰を使って進入してくる。
痛くは無いけど苦しくて何度も息が止まりそうになった。
それでも何とか飲み込んで。
「お、ちょ、あんま締めんな」
「だって・・・そんな・・・、無理っ・・・」
「・・・っつ・・・ワリ、俺も限界・・・!」
ちょっと苦しそうな表情を浮かべて、トガがベッドを揺らす。
――ぐじゅっ、ちゅぶっ
いやらしい音を響かせながらトガがあたしの中を出入りしてる。
時折擦られる感触に追い上げられていった。
「あっあっ、はぁっ、トガ、もう・・・あたし、イっちゃ・・・あぁぁっ・・・」
「はぁっ、ちょ、・・・待て・・・」
激しくなる腰にあたしも自分の腰を押し付ける。
ずんずん乱暴に突き上げられておかしくなっちゃいそう。
ドロけていく頭が絶頂の予感を感じる。
嗚呼、もう。
「ダメ、だめぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
そこで意識が弾けとんだ。
久しぶりにちょっとだけ飛んじゃったあたし。
トガがそんなに良かったかよ、なんてちょっと嬉しそうに聞いてくる。
「ねぇ、電話で言ってた話って何」
あたしは恥ずかしいから話題をそらす。
「おー、そうだ。、お前もアメフト部入れよ」
「ヤ。ていうかあたし女だよ。部員少ないからってそれは無理でしょ」
「即答かよ。・・・てか違くて。マネージャーやれってことだよ。誰がお前みたいな足手まとい欲しいっつったよ」
ったく・・・と、トガはちょっと呆れたみたいに言った。
「そうすりゃ毎日と一緒に帰れっだろ?」
「・・・トガ」
あたしのことも、考えてくれてたんだ。
トガの見つけた世界に入れるように。
なんか凄く嬉しいけど・・・あのヒル魔って人怖いしな・・・。
「あ、怖いといえば・・・」
「?」
「今日あたし痴漢に遭った」
トガに会って嬉しくて忘れてたけど、やだな思い出しちゃった。
「何!?何処でだよ」
「家の近く」
コート着た裸のおっさんに抱きつかれたのよね、って言ったらトガはすごく慌ててくれた。
そして。
「お前もう絶対アメフト部入れ!!!そうじゃなきゃ俺が終わるまで絶対待ってろ、もう一人で帰るな!」
って言ってくれた。
嬉しい。
一人で帰るのは、もう終わり。
あたしの世界から寂しさが消えていく。
==============
アイシールド21、戸叶でしたv
戸叶大好きです!!!15巻堪らんかった・・・体育祭。
ちょこちょこ出てはツッコミを入れてるちょい役の彼にハァハァですよ!
あーもう戸叶大好きだよ。アイシールドキャラの中で1番好きかもしれんな。
もっと戸叶夢サイト増えないだろうか。
十文字と黒木ばっかり見るんですが(苦笑)
今回コミックスが手元に無かったので結構別人かもしれませんが・・・初書きなんで容赦してやってください・・・。
・・・ところであたしはハァハァ3兄弟の逆ハを書けと命令されたとき、十文字、戸叶、黒木を書き分ける自信がありません。
世のハァハァ3兄弟逆ハ書いてる作者さんたちを尊敬します。