勢い良く燃えてる時。
少しとろ火になっちゃってる時。
揺らめいてる時。
消えかかってる時。
ホントに、分かりやすいんだから。
唇リボルバー
トウカシティ。
ジムリーダーに負けた。
ノーマルポケモンを使うセンリという人がリーダーであった。
決まった種類のポケモンだけを使っているわけではない。
手持ちは一番強いリザードンを筆頭にユンゲラー、テッカニン、ポチエナ、アゲハント。
特別不利という訳でもなくかと言って有利でもない試合であった。
やはりそこで物を言うのは才能や手腕であろう。
それに向こうの手持ちは3体で、自分の手持ちはその時5体。
どちらかといえば彼女に分があってといっても過言ではなかった。
「・・・ごめん、ね・・・コウヤ」
「いいって。こういうこともあるだろ」
公式試合で負けた。
勿論勝負と言うくらいなのだからどちらかが勝ちどちらかが負ける。
負けたことが無いわけではない。
あちらこちらで声を掛けられてする試合ならばその時のコンディションによっては負けたりだってするのだけれど。
ジムはそういう訳ではない。
まず声を掛けるのは自分からだし、その為にコンディションだって整えている。
いつでもベストな状態で挑めるわけだ。
だから寧ろジムリーダーの方が若干不利であろう。
それでも、負けた。
「でも・・・あたしの所為で・・・」
「違ぇよ。俺等の力量不足だろ。は何も気にすんな」
そう言うコウヤの尻尾をちらりと盗み見る。
普段なら赤い炎が燃え盛っているはずのこの尻尾。
だけど今日はしゅんと小さく火が灯るのみ。
「・・・ごめん・・・あたしなんかより、コウヤ達の方が悔しいよね。ありがとう・・・」
そう、本当に悔しくて仕方が無いのは自分ではないはずだ。
それなのに慰められてどうする、と。
はにこりと笑って見せた。
「明日から特訓だね」
「おう、その意気だぜ」
少し不自然に笑いあって、肩を叩き合って。
だけどお互いにお互いの傷を気付いてはいなかった。
口には出さねど負った小さな傷を・・・。
そして次の日。
とりあえずは手持ちの5匹を連れて外の草むらを歩き回った。
だけどこのレベルに敵うものは少なく、また周りの挑戦者のレベルも低い。
「・・・なんか、戦うだけ無駄って気もするわ・・・」
何人目かの挑戦者を打ち負かし(それもコウヤたった一匹で事足りてしまった)溜め息を吐く。
じりじりと目に見えない焦りがを支配していた。
このまま勝てないのではないか、と言うような焦りではない。
もっと別の。
「無駄って言うなよな。士気下がるだろ」
「・・・何よ、じゃああんたは有益だと思ってるわけ?それに士気なんかさっきからこれ以上無いくらいにずっと下がりっぱなしじゃない!今更改めて言わないでよね」
いつもなら何でもない言葉のはずなのに、こんなにも気に障る。
二人とも相手の言葉に苛ついて言葉の弾丸が止まらない。
「お前こそ俺等のテンション下げてんだろ!溜め息ばっか吐きやがって、努力してる俺等を馬鹿にしてンのかよ」
「だって無駄なんだもの!!結局何にもモノになってないじゃない、その努力!」
「仕方ねぇだろ、周りが弱すぎるんだからよォ!んじゃもっと有益な相手見つけて来いよ、俺等のトレーナーだろ、お前!!」
「何その言い方・・・!!負けた癖に!!!」
はっとして、コウヤが口を噤む。
もあ、と口に手を遣る。
昨日気付けなかったお互いの小さな傷は一晩のうちにここまで膿んでしまっていたのだ。
だけど気付かなかった。
自分達の小さな傷を隠すのに精一杯で。
愚かなことに膿んだ傷を弾丸で打ち抜くまで思い遣ってやれなかったのである。
言ってはいけないことを言ったとようやく気付いたのは既に打ち抜いた後だった。
振り返り見たコウヤの表情は険しく、その尾の炎は大きく燃えながら激しく揺らいでいる。
「・・・ごめ、あたし・・・っ」
思わず駆け寄ったをコウヤは手と翼で振り払う。
「・・・・・・どうせ俺は弱ぇよ」
「!・・・違・・・っ」
慌てて訂正しようと思ったが、既に遅すぎた。
取り返しのつかない程の致命傷を負わせてしまったのだ。
コウヤはばさりと翼をはためかせると地面を一蹴する。
そしてそのまま一瞬のうちに空へと吸い込まれていった。
「・・・コウヤ・・・」
今更空を仰ぎながらその名を呟いても返事が返ってくるわけも無く。
ただただは呆然と立ち尽くすしかなかったのである。
あの後、残った4匹を連れて草むらを歩いたがやっぱり無駄な気がしてやめた。
もっと別の街まで行けばよかったのかもしれない。
だけど空を飛ぶ技はコウヤしか覚えられない。
他のモンスターを捕まえる事も考えたけれど、その為だけに捕まえるのは可哀想な気がした。
それにこのまま別の街に行ってしまえばきっとコウヤと離れ離れだ。
此処にとどまっていれば帰ってきたときに会えるだろう。
だけど、出て行ってしまったならばそれは完全な離別になる。
それだけは堪えられない。
泊まっているホテルの部屋に戻り、コウヤが帰ってくるのを待つことにした。
このまま帰ってこなかったら如何しよう。
コウヤのモンスターボールは手元にある。
野生に帰さない限り誰かに捕まると言うことは100%有り得ないから、知らない間に誰かに乗り換えられることは絶対にない。
しかしそのまま帰ってこなければが探し出さない限り、二度と会えない。
どうして傷つけるまで気付かなかったのか。
そんなこと、後悔しても遅すぎるのだけれど。
「・・・コウヤ・・・」
ベッドにうずくまって呼ぶ名前。
返事は無い。
「・・・やっぱりあたし・・・才能、ないのかな」
敗北。
そしてモンスターも思い遣れない。
自分のことばかりで傷つけた。
「トレーナーなのに・・・何にも出来ないし、何にも気付いてあげれなかった・・・」
自分と同じく悩んでいること。
才能が無いのではと思い悩むあまり、コウヤが自分が弱いのではと不安に思っていることを。
いつでも自信たっぷりで尻尾の炎は揺らぐことは無く燃え盛っていたのに。
昨日の夜からそれがどんなに苦悩に揺れていたか。
が沈み込む傍らで一つのモンスターボールが勝手に開いた。
「・・・」
「・・・・・・フユウ・・・?何、どうしたの」
現れたのは、ユンゲラーのフユウ。
「・・・探しに行くなら、手伝えるから・・・」
ベッドの淵に腰掛け、フユウは小さく呟いた。
「俺も・・・コウヤのこと心配だし、も心配だから・・・だから」
「・・・フユウ」
「空は飛べないけど、テレポート出来るし・・・コウヤの気配も少しならわかる」
普段は無口で大人しいフユウ。
こんなにも良く喋るのはとても珍しい。
それに驚くと同時に、嬉しいような情けないような気分になる。
「・・・ごめんね、皆に迷惑かけてるね、あたし」
「気に、しなくてもいいから・・・。俺、二人の気持ち・・・分かるし」
特性がシンクロのフユウは人一倍他人の気持ちの変化に敏感だ。
「・・・うん、じゃあ・・・行こっか、コウヤ探しに」
「その必要はねェ」
がやおらベッドから体を起こした時だ。
ドアからコウヤが入って来たのである。
「・・・いるって気付いてて『探しに行こう』かよ。性格悪ィぞ、フユウ」
ちっと舌打ちし、ばつが悪そうにフユウを見る。
「帰ってこないなら探さないと。探せば帰ってくるし」
「お前の話は解りにくい。もう戻ってやがれ」
「・・・」
コウヤがモンスターボールをフユウに向かって放り投げた。
無言でフユウはボールに収まり、姿を消す。
部屋にはコウヤとだけが取り残された。
「・・・」
「コウヤ・・・その、ごめん、ね・・・」
先に口を開いたのはの方。
「全然コウヤのこと考えてなくて・・・、自分のこと、ばっかりで。コウヤが自信失くしてるなんて全然思わなかったから・・・!だからって言って良いこと言ったなんて思ってないけど・・・だから、ごめんね・・・」
少し遠くから見れば良く分かったことなのに、不自然に肩を叩き合う近すぎる距離の所為で何も見抜けなかった。
「やっぱり、あたし・・・向いてない、のかも・・・ね。コウヤが嫌なら、直ぐにもっと良い人とトレードしたって・・・」
「黙れ!!」
突然怒鳴り声で言葉を遮られ、ぎくりとは体を震わせた。
つかつかとコウヤが歩み寄ってくる。
怒鳴られるのか殴られるのか。
は俯いたままぐっと体を硬くした。
コウヤの腕が振り上げられる。
思わずは顔を背けて、きつく目を瞑った。
だけど、その目は予想外の衝撃にすぐに見開かれることになった。
「・・・クソ、全部言うなよ・・・っ、謝れねぇだろ・・・!」
耳元にコウヤの声。
そして振り上げられた腕はに振り下ろされること無く、ただの体をきつく抱きしめていた。
「えっ・・・コウヤ・・・」
「お前が良いんだよ。俺のトレーナーはお前しかいねぇ。畜生、お前の為にここまでやってきたんだ。今更誰の為に戦うんだよ、馬鹿野郎・・・っ」
「・・・うん」
「先に言っちまうしよ・・・畜生、俺カッコ悪ィ・・・」
息も詰まるほどのきつい抱擁の合間に呟かれるコウヤの声が涙で滲む。
「悪かったな・・・俺が弱ェの・・・お前の所為にするつもりじゃなかったのに」
「・・・いいよ。それに・・・コウヤは弱くなんか、ないし」
「・・・」
無言のきつい抱擁と。
帰ってきてくれて自分が良いと言ってくれたその言葉、それだけで。
どんな謝罪よりも。
「・・・」
コウヤの手がゆっくりとの頬を撫でて顔を近付けてくる。
ちゅ、とコウヤの唇が重なった。
その優しさにドキドキする。
だけど同時に愛しさも溢れてきて、もコウヤに腕を回してそれに応えた。
「はぁっ・・・コウヤ、あっあぁ・・・」
服を脱ぐのももどかしく二人でシーツの海に沈み込む。
上着を捲り上げられ、吸い付かれて体がびくりと震えた。
「やっ・・・あンっ、コウヤ、あぁ・・・はぁっはぁっ・・・」
優しく胸を揉みしだかれていつもより感じてしまう。
傷つけあった後のセックスは優しすぎて。
「、・・・っ」
「あっダメ・・・、はぁんっ」
軽く歯を立てられて背をしならせる。
そして敏感になったところを舌先で弄ばれる。
「やぁんっ、コウヤ・・・あぁっ・・・」
震える手でコウヤの肩をきつく掴んだ。
ぎり、と爪が立てられてコウヤの肩に食い込むが気にはならない。
それよりも緩く催促するかのように立てられた膝の方が気になって、コウヤはそっとの太股を撫でた。
「はぅ・・・ン」
微妙なタッチで撫でられてくすぐったような感じるような。
その合間にもコウヤの舌は胸だけでなく滑らかなの腹にも這わされていた。
「あっ・・・はぁン・・・コウヤ、やン、くすぐった・・・あぁっ・・・」
ちゅ、ちゅ、と柔らかい皮膚を軽く啄まれたり臍を舐められたり。
気持ちいいというよりはくすぐったくて、少し恥ずかしい。
「あンっ、や、ダメ・・・ぇ」
優しく胸を撫でられ、脇腹を甘噛みされ、空いた手は太股を撫でる。
そんな風に焦れったく苛まれは腰を震わせた。
「コウヤ・・・あんまり、焦らさないで・・・」
頬をほんのりと染め訴えてくる。
コウヤはにっと笑ってのミニスカートの裾をその唇に咥え、ぐいっと捲り上げた。
そして少し強引に足を開かせると。
「・・・うぉ、スゲェ」
下着の上から溝をなぞりながら感嘆の声を上げる。
中心部分は色濃く濡れており、一目見ただけでどんなになっているか想像がついてしまう。
「ぐちゃぐちゃ。そんなに感じたか?」
「やぁンっ、ばかっ!言わないでよ!!」
意地悪な言葉にぽわっと頬を赤を濃くし、口許を手で覆った。
可愛らしい反応にコウヤはもう少し意地悪をしてやりたくなって、ぐっと下着の上から指を押し込んでみる。
「はうぅっ・・・!」
途端にびくりと跳ねるの体。
だけど構わずぐいぐいと指先を押し込んだ。
「このまま指全部入っっちまいそーだぜ」
「はぁっ・・・やっ、ばか・・・っいやァ・・・ンっ・・・!」
押し込まれるたびに中からぐちゅりと愛液が溢れ下着の機能を奪っていく。
「嫌がってるわりにすげぇ吸い付いてくるけどなぁ・・・?」
意地悪い台詞を吐きながらコウヤはの表情を盗み見た。
目を潤ませ苦しそうに顔を顰め、だけど赤い目尻や荒い呼吸や唇から覗き見える赤い舌がいやらしくて。
思わず喉が鳴る。
「やぁっ・・・もぅっ、コウヤ・・・っ」
「嫌?俺のが欲しい?」
ぐっしょりと濡れた下着から指をゆっくりと引いて、その指先をべろりと舐めて見せる。
コウヤの言葉には小さく頷いた後。
「・・・欲しい・・・」
と聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた。
コウヤはにんまりと笑い、そっとの手を掴む。
そしてその手を自らの張り詰めた中心部分に持っていくと。
「欲しいなら、自分で出せよ」
「・・・!」
瞬時にコウヤの言葉を解し、は真っ赤になった。
「い、意地悪!」
「いいだろ、ちょっとだけ握ってくれよ。それだけで俺すげぇ気持ち良くなれンだよ」
「・・・」
別に触るのが初めてじゃないし、気分が乗ったときは舐めたことだってあるけれど。
何だかいざ改まってせがまれると恥ずかしい。
だけど『気持ち良くなれる』というコウヤの言葉がを動かした。
は羞恥心をぐっと押さえ、ぎこちない手付きでコウヤのズボンのベルトを抜く。
恐る恐るトップボタンを外して、震える手でファスナーを下ろした。
既に軽く触れただけでも分かるほど勃起しているのでほんの少し手間取ったけれど。
そしてするりとズボンの中に手を差し入れた時。
「・・・っう、いてぇ・・・」
「えっ、ご、ごめん」
呻いて顔を顰めるコウヤ。
そんなに強く触ったつもりは無かったけれど、思わず離してしまう。
「・・・違ェよ、お前に触られて膨らんじまっただけだ。ほら、もっかい握れ」
「・・・う、うん・・・」
熱く固くなったそこを緩く握る。
の温かくて柔らかい掌で包まれ、コウヤのモノはますます天を向く。
自分に感じてくれているのは嬉しいけれど、いつまでもこのままも困る。
そっと上目遣いにコウヤを見上げた。
「・・・ね、コウヤ・・・」
おずおずと強請ってみると、コウヤは少し余裕のなさそうな笑みを浮かべた。
「っはぁ・・・分かってる・・・。入れるぞ・・・」
荒い息でコウヤはの下着を乱暴に引っぺがした。
そして足を持ち上げ腰を抱き上げて、ぐっと腰を押し付けた。
「・・・っあ・・・!」
熱い塊が押し付けられたかと思うと、それは何の抵抗もなくぬぷりと入っていく。
「はぁっ、あはぁぁぁ・・・っ」
太いコウヤのモノがぐいぐいと押し入ってきて、中を擦る感触が堪らずは深い溜め息を吐いた。
奥まで侵入を果たされたことが軽く当たる感触で分かる。
思わず体に力が入ってしまい、コウヤを締め付けた。
「っくぅ・・・堪ンねぇ・・・っ」
きつく締まるの中を感じ、気持ち良さそうに突き上げてくるコウヤ。
いつもより性急だ。
ぎしぎしとベッドを軋ませていつもよりも乱暴に打ち付けられた。
「はぁっはぁっ、やっあぁっ、あンっはぁっ・・・!」
突き上げられるたびに声が漏れる。
何だか行為を反芻しているようで恥ずかしかった。
「・・・っ、はぁっ、最高だ・・・!」
「あぁんっ、イイ・・・っすご、凄い・・・っはぁっはぁはぁっ・・・」
激しく突き上げられて痛いはずなのに、それすら気持ちがイイ。
乱暴なのに的確なコウヤ。
はどんどん追い詰められていった。
「ダメ・・・はぁぁっ、イく・・・っイくぅぅぅぅっっ!!!」
コウヤが最奥を突き上げた瞬間。
ぐっと中がきつく締まり、の体が硬直する。
その一瞬の後、ガクガクと腰を震わせては絶頂を迎えた。
それとほぼ同時に中でコウヤの熱が吐き出されたのを感じる。
「はぅ・・・」
絶頂の余韻が残る体の上にコウヤがどさりと崩れてきた。
荒い息が耳元に聞こえる。
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
「・・・コウヤ、大丈夫・・・?」
「・・・大丈夫に、決まってんだろ・・・。一回や二回でへばったりしねぇよ」
言いつつコウヤはそっとから体を離した。
どさりと寝転がるコウヤを横目に見ていると、ふとコウヤの尻尾が目に入った。
いつものように赤く燃え盛る炎はもう揺らいだりはしていない。
思えばもう自身の迷いも消えている。
ああ、なんだ。
こんなに簡単なことだったなんて。
たったこれだけで良かったのだ。
弱いところを認め合って、補い合う。
たったそれだけで。
こんなにも強くなれるのに。
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と、言うわけで。
竜ちゃんリクエストのリザードンでした。
大分遅くなっちゃってゴメンナサイ;
デフォ名ちょっと男の子っぽいかな?と思いつつも竜ちゃんの名前使わせてもらっちゃいました。
ところでこれ告白話っぽいですが既に出来てた設定です。わかりにくかったかな。
喧嘩ネタは書いてるとき辛いのであまり好きではないですが(シリアス少ないのも同じ理由;)仲直りエッチは萌えです。
エロ無しでも大丈夫なくらい今回は前振り長かったです。
いつもならエロを入れずに更新を優先しますが、今回は俺ルールに則ってエロを入れ込んでみました。