「えーっと、JIHOのヤマガミ君みたいにして欲しいんですけどォ」





鋭く尖る獣の何か






ポケモンは、人間の姿にはなれても人間と同じ職業に就くことは出来ない。
それはひとえに彼等が「人間」では無いから。
彼等はれっきとしたモンスターであり、人間の常識は時に彼等に通じはしない。
そう、人間と同じように見えて全然違う。
そんな生き物だからである。
だからこそ飼い主である人間達は、ポケモン達をある程度好き勝手出来る訳だ。
最近、若い女性達の間ではお気に入りのポケモン達を自分好みの芸能人に似せることが流行っている。
言葉は悪いがそこにポケモン達の意志はない。
飼い主である女性達の当然の権利であるからだ。
ガリョウの飼い主もまたそんな女性の一人であったのである。
今日も今日とて雑誌で見つけたポケモン専用美容院にてこの言葉。
「えーっと、JIHOのヤマガミ君みたいにして欲しいんですけどォ」
「あーはいはい。髪色も合わせますか?」
「あっ、髪色はこのままで!この色すごく気に入ってるんです。あと若干前髪長めでお願いします」
頭の上で交わされる会話に溜め息が出そうだった。
全く、のミーハー振りには閉口する。
この前まで騒いでたアイドルに飽きたらしく、昨日いきなり雑誌を片手に髪型を変えるなどと言い出したのだ。
2ヶ月前に切ったところじゃねぇかと言っても聞くようなではなくて。
「こっちの方が絶対格好良いから!ガリョウだって格好良くなりたいでしょ?」
「・・・」
それってお前が連れ歩くのにいいからじゃね?
とは思うが、そこに自分の意志など無い。
バトルで負け、ボールに入れられたポケモンは素直にだろうと渋々だろうと飼い主の言う事をきくしかないのだ。
「・・・うぜーんだけど。、俺30分で仕上がらなかったら途中でも帰っからな」
苛ついた声で凄めどもは何処吹く風である。
それどころかチルタリスの入っているモンスターボールをさっと取り出して。
「暴れそうになったら眠らせるつもりだから好きにして良いよ」
なんて笑ってる。
結局、ガリョウはバトルで一度この飼い主に負けていて勝てやしない。
それを自身判っているし、腕に自信もあった。
そうでなければこのボーマンダという種族を使いこなせるわけが無い。
つまるところの意志に逆らう事は出来ないのだ。


「はい、お疲れ様でした」
チルタリスの歌う技使用すること3度。
殆ど眠っている間にガリョウの髪はすっかり変えられていた・・・が。
「・・・こんだけ時間かけて何処が如何変わったんだかさっぱりわかんねぇんだけど」
「何言ってんのよぅ!全然格好よくなったじゃない」
美容師に機嫌よく金を払っているの様子を鏡が映し出していた。
腕は悪くないのにこういうことばかりに金を浪費することを愚かしく思う。
「・・・もっとマシなことに金遣えよ」
「大好きなガリョウに使うこと以上に良い遣い道ってあるの?」
至極真面目にそんな事を言う。
ああ、やっぱり馬鹿だ。
だけどそんなの発言を嬉しく思った時点でガリョウの負けだった。
「ついでに新しい服も買っちゃおうか?」
「絶対嫌だ。マジでいらね」
服を買うということはイコール好みの服をマネキンの如く着せられることだ。
次々に服を持って来てはあれを着ろこれを着ろと絶対に言われる。
それにその金遣いの荒いこと。
気に入れば幾らでも買ってしまう。
はガリョウ以外にも何匹かポケモンを連れているけれど、ガリョウが一番の衣装持ちだ。
・・・飼い主のよりも。
「一着か二着買おうよ。その髪型に合う奴!」
「一昨日買った奴で十分だろ!!言っとくけどな、髪形なんざ全然変わってねぇぞ!寧ろちょっと前髪伸びてねぇか!?」
前髪長めでとか言っていたのを覚えてはいるが、どうやって髪を伸ばさせたんだと不思議に思う。
「うーん・・・じゃあ新しいアクセだけでも・・・」
「チャラいのは嫌いだっつってんだろ。髪だって長すぎてうぜぇんだよ」
顔に掛かる前髪を鬱陶しそうにいじりながらガリョウは吐き捨てる。
しかしはやはり痛くも痒くもないといった風で、ガリョウの腕をぽんぽんと叩いた。
「じゃあ今日のところは真っ直ぐ帰ってあげる。ほら、腕、腕」
「・・・」
急かされ腕をすいっと出す。
は意気揚々とそれを取り、店のドアを開けた。
「ありがとうございました」
そんな店員の言葉には一瞬振り返ってにこりと微笑み、そして歩き出す。
途端、集中する視線。
「・・・んふふ、見られてる」
「何が嬉しいんだよ」
「だってこんなに格好良いガリョウが更に格好良いって思われてるってことでしょ?もうあたし鼻高くって」
「・・・」
馬鹿馬鹿しいことだ。
人間の女というのは兎角面倒な生き物として出来上がっているらしい。
ポケモンのガリョウには全く理解しがたい事だが、こうして腕を組み嬉しそうに風を切るはとても可愛らしくて。
それだけで玩具にされることも悪くないかと思わなくも無い。
ただもうちょっとマシになればと思いつつこれがなのだからと言い聞かせて、歩いた。
「真っ直ぐ家に帰るんだろ。そろそろ飛ぶぞ」
「まだダメ。もっと見せびらかすの。町出て人気なくなったら飛んで良いよ」
「・・・」
町を出てって・・・たっぷり15分はあるのでは。
突き刺さる視線を非常に不快に感じつつ、仕方なくそれに従った。
は上機嫌に、ガリョウは若干以上苛つきつつようやく町外れ。
人がかなりまばらになったのを見て、は呟くように「じゃあそろそろ帰ろうかな・・・」と言い出した。
やっと、やっと帰れるのかとガリョウはの腕を解いてを抱き上げようと少しかがんだ。
そんな時。
ふとガリョウの目に入ってきたド派手な看板。
「・・・おい、
「ん?」
とりあえずを抱き上げる作業を中断はせずに声を掛けた。
横抱きにされたは近くなったガリョウの顔を見つめて嬉しそうである。
「あそこ行こうぜ」
顎をしゃくって示された先はラブホテルだった。
「髪弄くられるのに耐えてやっただろ?次はお前が弄くられる番だと思わね?」
「ん、いいよ。今までで一番格好良くなったガリョウにだったらなんでもされたい」
いつもそう言っては大人しくガリョウに食われている。
実際それはの本心でもあった。
漸く手に入れたタツベイがこんなに格好良いボーマンダになってからというものは人間の男に興味が持てなくなったのである。
勿論TVの向こう側にいるアイドルとか呼ばれる人種は嫌いではない。
だけど何処か鋭い何かを持ったポケモンと人間の間には口では言い表せない溝があると思っていた。
その鋭く尖る何かがを狂わせる。
実際アイドルとか呼ばれる人種よりもガリョウの方が数段素晴らしいと思っていた。
飼い主的な贔屓目で見なくともにはガリョウの方が良く映るのである。
それに気付いていない人間の何と愚かしい事か。
がガリョウをアイドルに似せるのはただ単に注目されたいだけであって(それは言うまでも無くガリョウの素晴らしさを見せびらかしたいからである)そんなことをしなくとも十分には格好良い。
実はガリョウにもそれが判っている。
だからこそ大人しくの言いなりになっているわけでもあるが。
「素直で可愛いぜ、お前は」
「・・・んふ、ありがと」
他の人間よりもよっぽど素直で自分の欲望に忠実な
判りやすいそんなところがガリョウは好きだった。
「今日は家にパパもママもいるもんねぇ」
ホテルに向かって歩き出したガリョウの首に縋りながら苦笑交じりに呟いた。
ポケモンと愛し合っていることを他人には元より肉親にだって言えやしない。
何度も言うようであるがポケモンと人間は似て非なる存在で、決して交わる位置に立ってはいないのだから。
を抱き上げたままガリョウの足は下品な城へと入って行く。
ちろりと目線をへとやると僅かに期待したかのように目尻を赤く染め、だけど恥ずかしそうに表情を硬くしているのが見えた。
嗚呼楽しみだ、とガリョウは内心舌なめずり。
から鍵を受け取って、部屋のドアを乱暴に蹴り開けると待ち構えていたベッドの上にの体を放り投げた。
「きゃっ!」
ベッドのスプリングが軋んでの体を受け止める。
へたり込んだように座るの腰をガリョウは抱くような体勢をとり、を見上げる。
「・・・ガリョウ」
丁度自分の胸の高さくらいから見上げてくるガリョウを見下ろして、そっと顔を近付けた。
柔らかく触れ合う唇。
「ん・・・」
その柔らかさにぞくりと胸が震える。
何度か軽く啄ばむようにしていると、ガリョウが徐々に体勢を変えての体に覆いかぶさりだした。
掛けられる体重を自然と享受してゆっくりベッドに沈み込む。
「んっ、ん・・・」
ちゅ、くちゅ・・・。
いやらしく水音を立てながら絡まる舌。
何度も角度を変えながらの唇を堪能する。
緩やかに混ざった唾液を飲み下しながらガリョウはそっと離れた。
「ぁは・・・ガリョウ・・・っ」
銀の糸が唇を繋いで、ぷつりと切れる。
せがむように腕を伸ばして両掌でガリョウの頬を撫でた。
「もっと・・・ン、・・・」
素直に口にすればガリョウの唇が噛み付くように押し当てられて。
「っ・・・は、ぅ・・・」
唇を交わしながらもガリョウの手がゆっくりとの体を這い始めた。
服の上から胸の膨らみに触れる。
「・・・っあ」
キス越しに小さくが身じろいだ。
形を確かめるような手つきで揉みしだかれ少しだけ頬が赤く染まる。
そのうち服をたくし上げられた。
直に這い回る手が素早く下着を押し上げる。
「んっ、あっあ・・・」
掬い上げるように乳房を持ち上げ揉み解されて。
触れ合った唇は何時の間にやら首筋に埋められ、そっと舌が耳に這う。
耳朶を舌で弄ばれるとくすぐったい。
「やァん・・・、あ、くすぐったい・・・あん・・・っ」
くすぐったさから逃れようと顔を背けた。
すると首筋が無防備になり、今度はそこを攻められる。
「あっ・・・!」
びくりとの体が跳ねる。
首筋に唇を辿らせ、たくし上げられた服を掻き分け胸元にも唇を落とした。
「はっあ・・・あ、あぁ・・・」
つつっと辿った唇が敏感な突起を含むと途端にの声が濡れ始める。
「やァ・・・あ、ンっ・・・ガリョウ・・・はぁぁ・・・っ」
舌先で捏ね回すように執拗に舐めた。
時折強く吸い上げると震える指でガリョウの髪を絡めとる。
「おいおい、金の掛かったセットが崩れてもいいのかよ?」
「だってぇ・・・っ、あぁ・・・っ」
もっとと強請るように背を浮かしては身を捩る
勿論それに応えてやるべく更に行為はエスカレートする。
脇腹や太股に手を這わせて撫でながら舌先では円を描くように舐めた。
つんと主張する先端は避け、わざと焦らすようにそろそろと。
「あ・・・ガリョウ、嫌・・・」
そんな意地悪な舌先には頭を振る。
「嫌・・・もっとちゃんと・・・触って、ぇ・・・」
可愛いお強請りにガリョウはにやっと笑った。
「触るのはここで良いのか?あん?」
「えっ・・・あぁ、っ・・・」
べろりと乳首を舐めながらスカートの中に手を入れる。
「こっちの方がイイんじゃねぇの?」
下着の上からの割れ目をいやらしくなぞるガリョウの指。
既にしっとりと湿るソコは下着の上からでも滑っているのが良く分かった。
「こんなに濡らして・・・まだ殆ど何も触ってねぇのに」
ぐりぐりと指先が下着越しに埋められる。
その際強く女芯を刺激されては息を飲んだ。
「濡れやすいよな、お前」
「やぁっ、はぁっはぁっ・・・あぁぁ・・・!」
意地悪く顔を覗き込んで、そんな事を言う。
かく言うは刺激の強さに声が出ない。
下着越しとはいえ指先を埋め込み、擦りあげられて。
ただただ悲鳴にも似た嬌声を上げるだけ。
「あぁっ・・・!」
突然、一際大きな悲鳴が響きの体がびくりと跳ね上がった。
「お、イっちまったか」
びくびくと内股を痙攣させ、が荒い息を吐く。
「はぁっはぁっ・・・はぁ・・・あぁぁ」
目を伏せ頬を上気させ、力なく顔を横に向けてだけど何処か遠くに意識を飛ばしているような。
伏せられた目が薄く開いて弱々しく震えていた。
その様子が堪らなくいやらしく見えて、ガリョウは喉を鳴らす。
「今すげぇエロい顔してるぜ?見るか?」
興奮に上擦る声で囁かれは小さく首を振った。
「それより・・・っ、早く・・・っ」
「早く・・・何だよ」
「っ、欲しい・・・ガリョウが・・・!」
お願い・・・。
と、自ら下着をずらし足を広げる様を見てガリョウの目の色が変わった。
「・・・そーかよ」
中途半端に足に引っ掛かっている下着を引き抜いて、の足の間に体を捩じ込む。
そして窮屈そうに押し上がった前を緩やかに寛げて。
ぎしり、とベッドが軋んだ。
「っ・・・あ!」
「そら、望みのモンだぜ」
大きく、反るほどまでに膨らんだものがの入り口を押し広げて入ってくる。
「あっ・・・あぁっ・・・」
その感触には背をしならせ喘ぎ声を上げた。
「はぁっはぁっはぁっ・・・」
浅く呼吸しながら圧迫感を受け入れていく。
その度に誘うように胸が揺れ、ガリョウはそれを掬い上げる様に揉んだ。
「あぁ・・・はぁ、はぁぁ・・・っ」
「・・・っく・・・」
きつく締め上げるの内壁にガリョウは苦しそうに顔を歪めた。
油断するとすぐに持っていかれそうだ。
そんな波をぐっと堪えて浅く突き上げる。
「あっ、やァ・・・んっ、あん・・・っ」
甘い抗議の声には嫌悪は微塵も感じられなかった。
ただ縋るようにガリョウの上体を抱きしめ、は気持ち良さそうである。
そのままの状態で腰だけを動かしてみる。
「あっ・・・、ダメ・・・好い・・・」
「・・・好い、な」
鼻で笑うように反復し、ガリョウは上下運動を始めた。
「ああっ、あっ、はぁっ・・・っやァ、あんっ」
規則的に上がる嬌声と仰け反った白い喉がガリョウを煽る。
もっともっとと言われるように。
「ぅ、あんっ・・・はぁっはぁっ・・・ああっ、すご・・・い・・・っ」
ぎしぎしと派手にベッドを軋ませ一心不乱に突き上げる。
じゅぶじゅぶといやらしい音が結合部から愛液と共にあふれ出して。
訳が判らなくなるほどに、溺れた。
「だめ・・・っ、あたし・・・っ、イっちゃ・・・あ、あぁぁぁぁっ・・・!!」
背に熱いような痛みを感じ、ガリョウは顔を顰める。
その瞬間強く自身を締め付ける感触にの絶頂を感じた。
「う・・・く、っ」
ぞくりと背筋が冷たくなるほどの快感に、自らもの中へと絶頂の証をぶちまける。
眩暈がするほどの、強烈な瞬間だった。



「・・・ちょっと」
衣服の乱れを整え、放り投げられた下着を拾い上げたが少し怒ったような声を出した。
「何だよ」
少し眠たそうにベッドの端に腰をかけていたガリョウがそちらに目を向ける。
「穿けないんだけど。・・・どーしてくれんの!」
ずいっと目の前に下着を突きつけられ、ガリョウはやや怯み気味にそれを見やった。
そこには一目見て判るほどの染みが広がっているではないか。
「何で家でもないのにパンツの上から弄ったりするの!!馬鹿!!!」
「知るか。何となく勢いでやっちまったんだから仕方ねーだろ」
「どうすんのよ。これじゃ帰れないじゃない」
外泊などするつもりは微塵も無く、は困り果てて言った。
「は?このまま帰ればいいじゃねぇか」
「・・・え?」
「何も穿かずに帰りゃ問題ねぇだろ」
しれっと言うガリョウ。
だけど。
「・・・問題あるわよ!馬鹿ー!!!!」
大声で叫ぶを見て、ふと思う。
嗚呼、人間の女ってのは兎角面倒な生き物だ。
だがその分、必死になる様は見ていて飽きないし可愛らしいものだ、と。
















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ほんっと芸能人疎いもんで、妹と母にアイドルグループ色々聞きました。
結局グループ名考えやすいからという理由で「N/E/W/S」の「山/下/智/久」君を使用させていただきました。
色々出たんですよー。
亀/梨/君の名前を「カメアリ(こちかめか)」とか「カミナシ(ハゲっぽい)」とか。
「堂/本/光/一」君で「コウジ」にしときゃいいんじゃないの?とか。
ところで嫌われそうなヒロインにしてしまいましたね。
なんだこの女、いらいらする。みたいな。