「あっ・・・やァ・・・っん」
「嫌じゃねえだろ。こんなにしてよォ」
ベッドの上で震えるだけの私。
そしてそんな私を縛る貴方。
「俺の言葉は親父の言葉と同じだと思いな」
金の瞳を細めて笑って。
震えながらも、熱くなるこの体の扱いを私は知らない。
私以上に私を良く知る貴方に翻弄されて、今夜も。

「さて、何して遊んでやろうか」





天空で曲がりゆく世界






弱者と言うものは、常に弱者ではない。
あわよくば強者に成り代わってやろうと野心を秘めた者だって少なからずいる訳で。
そんな飼い主を持った飼いポケモンも、同じくそんな野心を持っていた。
手段を選ばない飼い主と何かを支配したかったポケモンと。
そんな一人と一匹はいつしか権力を手に入れた。
飼い主が権力を手に入れ、飼われていたポケモンはずっとずっと叶えたかった願いを飼い主に訴えた。
「なァ、俺ペットが欲しいんだけど」
飼い主はその言葉に大いに笑った。
「ペットのお前がペットを飼うのか」
「そう。俺、人間が飼いたい。人間ばっかりがポケモン飼うなんて不公平だろ?」
ニタリと笑うポケモンに、飼い主は少しだけ不愉快そうな顔をして見せた。
「お前、飼い主様と同じ種族を飼いたいというのか」
「あァ。ま、人間の中にも雲の上にいる奴から地べた這ってる奴まで色々だろ?別に俺はアンタみたいな雲の上の人間が欲しいわけじゃないさ。地べた這ってる人間を飼いたいんだ」
成る程、と飼い主は機嫌を直した様子。
「ふふん、まあ良く回る口だな。いいだろう。明日にでもその地べたから拾ってきてやろうじゃないか」
「見た目が良いメスの人間宜しく頼むぜ」
「注文の多いことだ。判った。楽しみに待ってろ」
そんな会話が雲の上のようなマンションの最上階の部屋で交わされていた事を、地面の上に立つ少女は知る由も無かった。




両親を事故で亡くして、路頭に迷ったのは3か月前のことだった。
嗚呼この先如何しよう。
とりあえずは親の遺してくれた遺産で食い繋げるかもしれないけれど、その後は?
そんな折、少女の父が勤めていたポケモンフード製造工場の社長が少女を引き取りたいと言い出した。
その社長は最近そういう孤児や不幸事で身寄りの無くなった子供達を引き取っているらしかった。
会った事もないその人が、自分の父の功績を認めて自分を引き取りたいと言ってくれている事を知ったときは本当に嬉しくて。
父の生きた証をその社長が提示してくれたとさえ思った程。
かなり迷いはしたが先行きの不安から、少女はありがたくその話を受ける事にした。
それが極上の悪夢の未来の片道切符だったことも知らずに。
初めて引き取られた日、少女は引き取り主の社長に会うこともなくただこのポケモンに引き合わされた。
金の瞳が印象的なブラッキー。
黒尽くめの服がいやに圧迫感を与えてくる。
「・・・え、えっと・・・」
不躾なまでにじろじろと見られ、少女は萎縮しながらも困惑気味に視線を泳がせた。
何故、引き取り主がいないのか。
忙しいのだろうか。
目の前のポケモンは一体なんだろう。
飼っているのだろうか。
浮かんでは消える疑問。
だけど答えてくれるものは誰一人としていなかった。
「・・・ま、いいだろ」
ややの後、ぽつりと呟かれたそんな言葉。
一体何が良いと言うのだろう。
疑問の投げかけるかの如く視線を移せば、彼は意地悪くにやにやと笑ってまだ少女を見つめていた。
「ジジィに引き取られた娘ってお前だろ?まあこれからは実質あのジジィがお前の父親な訳だ」
「・・・はぁ」
なんだこの無礼なポケモンは。
少女は何となく腑に落ちないが、金持ちの道楽として飼われているポケモンなんてものはこんなものなのだろう。
全く浅い底が知れるというものだ。
「で、俺はそのジジィの飼い犬みたいなもんなんだけどよ。超お気に入りって奴でよぅ」
「・・・」
何だ、飼い主が取られるかと心配して威嚇しているわけか。
まともに付き合うのも馬鹿馬鹿しく思える子供じみたやり方だと思った。
しかし、彼の言わんとしている事はそんな生温いものではなく。
続く言葉に少女は文字通り言葉を失った。
「そんな超お気に入りの俺がジジィに頼んだ訳よ。人間のペットが欲しいってな。人間ばっかがポケモン従えるなんて不公平だろ?だから人間のペットを強請ったんだ。んで、ジジィは俺の為にお前を拾ってきたって訳だ」
しゃあしゃあと吐き出される言葉に少女の思考が停止する。
何だって。
今このポケモンは何だって言ったのだろう。
ペットに?
私が?
このポケモンの?
一言一言租借して理解するのに時間が掛かった。
ブラッキーは更に続ける。
「心配すんなよ。ペットってのは愛玩する為にあるんだからよ。可愛がってやるさ」
ニィ、と細められた金の双眸に少女は冷たいものが体を突き抜ける感触を覚えた。
「じゃあ早速名前からだよな」
「・・・なまえ・・・?」
「他人がつけた名前なんざいらねえからな。そーだなぁ、にしよう。で、俺はクーロンだ。クーロンって呼んで良いぜ」
「・・・」
よし、今日からお前はな。
上機嫌に言うブラッキーの声は最早少女――にはぼやけた雑音のようにしか聞き取れなかった。
これから一体どうなるのかただそれだけ。
漸くタダ同然の未来への切符が、地獄の入り口へと運んでくれたのだという事実に気付いたのであった。
・・・結局、両親を事故で亡くして3か月。
そう、このマンションに少女が連れてこられてもう3か月が経つのだ。
その間自分は一体何をしたっけ?
思い出そうとしても、ただ食べて寝てテレビを見て話をして、そしてセックスしかしてないような気がする。
拘束こそされてはいないけれど、この天空に近いマンションはを閉じ込めるには十分すぎた。
勿論、拘束されていないのだからクーロンの目を盗んで逃げ出す事はとても容易かった。
だけどここから出て何が出来る。
身寄りの無い子供の集まる施設に行くのか?
それともこの細腕で職を得、生き抜くのか?
だけどにそんな度胸も勇気も無かった。
溺愛されて育った世間知らずの小娘に独りで生きて行くなどという決断は遂に出来なかった。
それに、気付いた事もある。
初めは何をされるかとびくびくする日々だったけれど、以外にもクーロンはを本当に愛玩した。
人間がポケモンを飼うのと同じやり方で。
例えばの髪を丁寧に梳かしたり、綺麗な服を着せてみたり等である。
一挙一動に対して「可愛い奴だ」と評価したりもしてくれる。
正しく愛玩動物としてを傍に置いていた。
しかし勿論、嫌な事だってあった。
まず風呂は一緒に入るか、入らなくともクーロンが必ずを風呂に入れた。
人型の状態をとっていないポケモンに対してならば確かに当然の処置ではある。
服もクーロンが着せる。
その日クーロンが着せようと思ったものを着せられた。
これも人型の状態をとっていないポケモンに対してなら当然のこと。
抗議したくもあるが、クーロンの機嫌を損ねてこの家を追い出されるのは嫌だったのでは堪えた。
そして3か月も経てば流石に慣れた。
最近ではもうただ便利だと思うようになったような気もする。
何処か嫌だと思う気持ちは心の奥底へ閉じ込めてしまう事にしたのだった。
だから、コレも、嫌じゃない。
寧ろ気持ち良い。
そう思わなければおかしくなりそうで。
世界が曲がって行くのを感じるけど、こんなにも無力。
だって知らない。
震えながらも、熱くなるこの体の扱いをは知らない。
自分以上に自分を良く知るクーロンに翻弄されて、今夜も。
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
熱く震える吐息にクーロンは満足そうである。
後ろから抱き込んだ体に優しく指を這わせては、遊ぶように意地悪く触れる。
「あぁっ・・・やァ、ん・・・っ」
すっかり躾けられた体をくねらせては甘い息を漏らした。
「はは。可愛いぜ、
クーロンは笑いながら下着の中に手を入れて、クチュクチュと音を立てて中を弄っている。
2本も指を入れられていると言うのに躾けられた体は物足りなさすら感じていた。
「はぁっ、あぁ・・・ぁああ・・・クーロン・・・っ」
自然に腰が振れてしまう。
「恥ずかし、ぃ・・・っ」
「大丈夫さ、俺しか見てねえ」
頼まれても誰かに見せてやるつもりはないけどな、と耳元で囁いてクーロンはの耳を軽く舐めた。
「ひゃぁっ・・・」
吐息がかかってくすぐったい。
耳朶を甘噛みされるとそこからも熱が生まれるようだった。
そのまま器用に舌を辿らせて行くのに手もお留守にならないから不思議なものである。
「あっあっ・・・クーロン、嫌・・・お願い・・・っ」
出し入れしながら蜜の絡んだ親指での芯を何度も撫でる。
まだ殆ど始まったばかりだと言うのに、の体が小さく跳ねた。
「はぁぁぁっ・・・はぁ、あ、ああ・・・」
ぴくんぴくんと断続的にクーロンの指を締め付けつつ、深い溜め息をつく。
指だけで簡単にイかされてしまった。
そう気付いた瞬間、の頬は一瞬にして赤く染まった。
「イった?」
意地悪くも顔を覗き込んでくるクーロンの視線から逃げたくては顔を逸らせる。
「見ないで・・・」
「何でだよ。可愛いぜ」
見せろ、と顎をつかまれ視線を合わせられる。
かと思えばすぐに優しいキスが唇の上に降ってきたりして。
クーロンのそんなギャップのある所作にはいちいち戸惑ってしまう。
「ん、んっ・・・ゥ、ん・・・」
それでもお互いの口腔内で絡み合う舌の柔らかさと、キスの温かさは本物だ。
噛み付くようなものじゃない。
だけど貪りあうような激しいキス。
触れ合う唇から溢れた唾液が顎を伝うのも構わずに、夢中で受け入れた。
「はっ・・・クーロン、ん、ン・・・っ」
少し離れたかと思えば、また塞がれて。
文字通り息つく暇も無い。
そっと互いに腕を回しあって抱き合いながら長いキスを何度も交わした。
「はぁ・・・っ、はぁっ・・・」
漸く離れた時にはすっかりの息は上がっていた。
小さな唇から覗かせた舌が可愛らしい。
クーロンは薄く笑うと、中途半端に脱げ掛かっているの下着に手をかけた。
それは風呂上りにクーロンが選んだベビードールと対になっているショーツ。
しかしベビードールは脱がせずにクーロンはショーツだけを脱がせると、膝を立てさせる。
「やっ、クーロン、やだっ、見ないで・・・」
足を開かされその足下に蹲るように身を伏せられて、は両手で顔を覆い頭を振って抗議した。
勿論そんなもの効きやしないのだけれど。
「入り口がぴくぴくしてるな。見られて感じる?」
「いやっ・・・」
反射的に足を閉じようとするけれど、押さえつけられていて動かない。
「ちょっと味見」
「っ、きゃぁっ・・・!」
強くクーロンの肩が太股に押し付けられたかと思うと、ぞろりと舌が触れる。
「あぁんっ・・・」
花弁を指で押し分け浅く溝を上下する舌。
膨らんだ芯を舌先でくすぐられると痺れるような快感が腰を這い上がってくる。
――ぴちゃぴちゃ。
指のときとはまた異質な音が響いた。
「はぁっ、あぁっ・・・クーロン・・・っ」
強くシーツを握り締めクーロンの与えてくる快感に必死で堪える。
もどかしく入り口を出入りする舌に翻弄されながら、時折強い刺激に足で強くクーロンの体を挟み込むようにして強請ってしまったりして
「あっはっ、はぁっ、や、ァ・・・あぁぁ・・・っ」
だけど今度は指のときとは違って、の絶頂の気配を感じたらクーロンの舌は逃げてしまう。
イきそうになる度になくなる舌の感触がもどかしくて。
無意識に何度も腰を浮かしてはクーロンの鼻先に押し付けてしまう。
「はぁっ、はぁっ・・・クーロン、クーロン・・・いや、苦しい・・・」
勿論確信的に焦らしているのが判っているクーロンはゆっくり唇を離すと、金の目を細めながらを見下ろした。
「イきてえか?」
「・・・ン・・・意地悪、しないで・・・」
それは正しく主人に遊ばれて健気に精一杯抗議する飼い犬の姿と同じだと思った。
困ったように、でも優しくされたくて降参する犬。
健気な目を潤ませて愛を欲しがる、そんな犬。
ああ、これがいい。
クーロンは満足そうに笑っての足を抱えあげる。
「本当にお前は可愛いな。自慢のペットだぜ」
指先での入り口を押し広げながら既に固くそそり立っていたものを押し付けて。
「強請ってみろよ、もっと。俺の愛が欲しいって言え」
「・・・欲し、い・・・。クーロンに・・・クーロンに愛されたい、です・・・」
ぼろりと、の目から涙が零れ落ちた。
屈辱で泣いているのだろうか。
いや違う。
(今から俺に愛されて、それが嬉しいんだ)
初めて会ったときから見抜いていた。
この少女は愛されたがりの目をしている。
それこそ、人間に飼われている子犬のように。
誰かの傍にいて死ぬほど大事にされて支配されながら深く深く愛されて、それを幸せだと感じる目をした女だと。
クーロンは静かに目を伏せているの中にゆっくりと侵入を始める。
途端ぎくりとの体が強張ったが、気にしない。
「は、ぅ・・・」
ぬぶぬぶと押し入ってくる感覚に小さく溜め息をつく。
毎晩抱いているのに何時まで経っても、この瞬間に緊張してまるで処女みたいだ。
「あ・・・あぁ・・・」
だけど良いところに当たり出せば艶っぽい表情に変わって行く。
ぎしぎしとベッドを揺らしながらクーロンは緩やかに到達した。
「入ったぜ、ほら」
ぐい、と手を取り結合部に触れさせる。
太く脈打つそれを飲み込んだ入り口にぎくりと瞳を見開き頬を染めた。
「やっ、そんな・・・」
「く、こら、締めんな。・・・動くぜ」
に覆いかぶさって、どかっと肘を付く。
体が触れるか触れないかの距離を保ちながら、クーロンは軽くを突き上げた。
「きゃぁんっ」
「良い声。もっと鳴け、聞かせろ」
途端、卑猥な水音が部屋に充満した。
――ぐちゅ、ぬちゅぬちゅ・・・。
の首元に顔を埋め、腰を動かす。
手ではずっと放っていた乳房を優しく揉みこんでいた。
「はぁっ、あぁ・・・、クーロンっ・・・」
固く尖った乳首を捏ね回される刺激には内部をきつく締め付けてしまう。
「うっ、・・・は、好いぜ。ずげぇイイ」
「あぁっ、はぁぁ、ん・・・っはぁっはぁっ・・・」
更に激しくなる突き上げに加え、悦んだクーロンは唇もの胸に押し付けた。
滑る舌がいやらしくの乳首を弄っている。
「やぁ、ダメ・・・こんなっ、すぐに・・・っ」
上も下も責められて這い上がってくる絶頂の気配を押さえつけられるほど、は慣れていない。
そのまま波に攫われるように。
「あっ、あ、あぁぁぁぁぁ・・・っ」
びくん、との背がしなった。
「・・・っ、」
指のときとは比べ物にならないほどの強烈な何かが弾け飛んだような。
強く締まるの内部にクーロンも誘導されるように射精する。
断続的に締め付けられ、残滓も全て吐き出して。
荒い息で見下ろしたは既に意識を失っていた。


そして、同じ朝が来る。
この天空に近い一室で。
地上に帰る日もなく、ただただ愛されて甘やかされる日々が。
だけど地上への望郷の念が薄れ始めたことが彼女を幸せにする事にも気付き始めている。
この曲がりゆく世界も、もしかしたら安楽の空の下にあるのかもしれないと。







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はい、意地悪(でもない感じだけど)ブラッキーでした。
そしてあまりにもイメージがベタ過ぎて何もいえません・・・。
もうちょっとひねれよ、自分。ホント想像力ねェ奴だな、自分。
あ、それから愛玩は結構よろしくないイメージが強い言葉ではないかと思うのですが(エロいサイトとかで結構出てきそうなので・・・)。
gooの辞典引いたらそうでもないですよ。
大切にして可愛がる事を指すんだそうです。愛玩動物とかってもろにそういう意味ですよね。
なので玩具にされるとかそういう意味では使いませんでした。