慎ましき性活
「はい」
とん、と置かれたカップラーメン。
「何だよ、コレ」
「今日の晩ご飯」
「はぁ!?いや、ちょっと待て。何でお前がいて晩飯がコレなんだよ。アレか?中途半端な放置プレイか?構ってるんだか構ってねーんだかわかんねーってアレですかコノヤロー」
「どれでもないよ。だって銀さん家お金ないでしょ?あたし、銀さん家に食費使うのは3万円までって決めたの。もう3万使っちゃったんだもん」
で、コレ。
この前のアルバイトで懲りたはシビアになっていた。
よっぽど、それこそ一家が餓死するんじゃないかと言うくらいまで追い詰められている時以外はもう財布を緩めるつもりは無い。
何だかんだ言って生きてきたのだからきっと大丈夫だ。
甘やかすからグダグダになるんだ。
「因みにあんまりお金が無いので新八君と神楽ちゃんには新八君のお家でご飯食べてもらう事にしました」
「オイィィィ!!何で銀さんは誘ってくれないの!?イジメ!?」
「だってその時銀さんいなかったでしょ。・・・パチンコ行ってて」
声色が急に低くなる。
うっと銀時は言葉に詰まった。
確かに今日勝手に通帳を持ち出したのは自分である。
そしてそれをぱーっと散らせてしまったのも自分である。
言ってしまえば自業自得な訳だけれど、何だか納得できなくて銀時は拗ねたようにそっぽを向いた。
(あ、拗ねた)
だけどにはお見通しである。
そんな銀時の機嫌を直す魔法の呪文もちゃぁんと心得ていた。
「考えようによっては、二人っきりで嬉しくない?あたしは銀さんと二人っきりで嬉しいな」
「・・・」
「ね、隣座っていいデスカ?」
「・・・・・・どーぞ」
思いの他優しい声色に、はにんまりと笑う。
(ホント、判りやすいなァ)
銀時の座るソファの横に座る。
すると間髪いれず銀時の手が肩に回された。
相変わらず顔はそっぽを向いたままだったが。
「・・・銀さん」
「何ですかコノヤロー」
「今晩はお風呂一緒に入ろっか」
ばっと銀時がを振り返る。
とんでもないものを見たような表情だった。
「何?」
「今の台詞嘘じゃねェだろーな」
「嘘じゃないよ」
は笑いながら首を横に振った。
「っし、じゃあ今から入るぞ」
がしっとの手を掴み浴室に向かう。
勿論も抵抗することなく後についた。
「珍しいこともあるな。お前から一緒に入ろうなんて」
言いながらも銀時は嬉しそうだ。
「仕方ないの。電気代節約したいからさ」
「・・・萎えること言うなよ」
それって結局一緒に入りたいって訳じゃねぇんじゃん。
銀時は多少興醒めしたような顔での服を掴む。
「そのまま萎えておいてくれるとありがたいけどね。エッチ禁止だから」
「え!?何で!?」
「だって余計な体力使っちゃったらお腹空くデショ。言っとくけど今日の晩ご飯、アレだから」
さっき机の上に置かれたアレ、カップラーメン。
「・・・まー・・・なんとかなるって」
足りなくても朝まで我慢して、明日の朝一番に新八の家にたかりにいけばいいや。
と、無理矢理な打開策を考え銀時はの浴衣の帯を解く。
しゅるりと衣擦れの音を聞きながら、は更に続けた。
「ついでに言うとアレ一個しかないから半分ずつだよ」
「・・・」
「・・・」
トドメの台詞に沈黙が流れる。
「・・・やってられるかァアア!!!何だ、俺は健気にダイエットする思春期の女の子ですか!?そんな食事で男の子がアッチもコッチも大きくなれると思ってんの!?」
「だって、お金ないんだもん」
結局はその一言に尽きる。
それが全ての原因なのだ。
「ちゃんとご飯食べたくて、お風呂でも蒲団でも色々致したいんならお金稼いで」
かなり真剣なの眼差しに、流石の銀時も。
「・・・はい」
と素直に返事せざるを得ない。
「宜しい。じゃ、入ろっか。追い焚きも禁止だからお湯冷めないうちに」
「・・・」
何処までもしっかりしているの言葉に銀時は絶句しながらも、服を脱ぎ捨て先に立つに続いて浴室に入った。
「あぅ・・・ちょっと熱い・・・」
でも追い焚きしないからこれくらいで丁度良くなるかな?
言いつつ銀時を振り返る。
銀時は後ろからを抱きしめてはいるが全く不満そうで。
「ったくよー・・・なんで好きな女と一緒に風呂入って何もねぇんだよ。中坊じゃあるまいしよォ・・・」
なんてぶつぶつ言っている。
だけどやっぱり自業自得。
そしてきっぱりと禁止発言をされてしまったので何となく手が出せない。
とりあえず腰に腕を回して後ろから抱いてはいるけれど、そこまで。
は銀時の胸に体を預けて楽な体勢を取り、実は結構幸せだった。
(だって・・・エッチしてるとこういう余裕全部無くなっちゃうし・・・)
銀時の胸板にすり、と頬を寄せて目を閉じる。
・・・と。
「・・・ちょっと、銀さん。お触りも禁止!」
「触るくらいいいだろーが。減るもんじゃねーし。寧ろ増えるかもしんないぞ、ってか増えただろ?銀さんのテクで」
ふにふにと胸に這う銀時の指先。
呆れた様には銀時を見上げた。
「あ、ちゃん。そんな風に見たら銀さんヤバイんですけどォ」
しっとりと汗に濡れた髪、上気した頬、僅かに赤くなった目尻等。
最中を髣髴とさせるような姿で上目遣い。
勝手に触れたの胸の感触も劣情を増長させる要因の一つで。
段々と下半身に血液が集まるのが判る。
も感じとったのだろう、折角預けていた体を少しだけ離した。
「・・・銀さん、エッチ禁止だってば」
「おいおい、ちゃんよォ。健康な男女が一つ風呂の中でエッチ禁止とか無理に決まってるでしょーが」
「あたしは平気だけど!」
まずい、開き直ってきた。
危険を察知したが逃げるように湯船から上がる。
しかし銀時はそんなの腰を素早く抱き込んだ。
「きゃぁっ!!」
力強く抱きしめられて湯船に引き摺り込まれたものだから、戦いた。
「逃げるなよ」
「逃げるよ!エッチ禁止だもん!!」
ばしゃばしゃと派手な音を響かせてもがく。
だけど銀時はがっちりとを抱き込んでおり、どうにもこうにも抜け出せそうに無い。
「大人しくしろって」
じたばたするを体で押さえつけた。
きつく抱きしめるように腕を回すと、少しずつの抵抗が弱くなっていく。
「やだ、銀さん。せめてお蒲団にして」
「無理」
じゃぶじゃぶと湯船を揺らして銀時が全身で押さえつけてくる。
銀時が本気になればの細い腕など到底敵わない。
それでもしないよりは、と抵抗していたが不意に銀時の顔が近付けられて。
「っ・・・」
深く、唇を奪われた。
いつものように優しいそれではなく、いきなり唇をこじ開けられて舌を絡められる。
「ふ・・・っ、う、うぅ・・・」
息苦しさに眉を顰め、嫌々するように頭を振り逃れようと試みるが上手く行かない。
逆にしっかりと顎を掴まれた。
「はっ、う・・・っン・・・」
いやらしく唇を舐められたり、重ねて口腔内をたっぷり味わわれたり。
あふれた唾液が口の端を伝うのを感じ、ぞくりと身を震わせる。
「っはぁ・・・はぁっ、や、ァ・・・銀さん・・・っ」
「本気で嫌そうじゃねーケド?」
僅かに視線を落としの表情を盗み見ながら、銀時はそっと胸に手を乗せる。
「あ・・・ァっ」
緩やかに揉みしだきながらの肩口に唇を寄せた。
柔らかい銀時の唇の感触に更に身が震える。
そのまま銀時は、の二の腕や肩口、鎖骨を優しく甘噛みしたり舐めてみたり。
手では尖り始めた乳首を弄っている。
「やっあ・・・あァ・・・ン」
溜め息混じりに溢れてくる押さえきれないの喘ぎ声。
だけどそれがもっと聞きたい銀時はニヤリと笑い。
「我慢しなくていいぜ?今日はガキ共がいないからなぁ。・・・誰かさんのおかげで」
等と意地の悪い事を言う。
「うううるさいっ、ひゃぁっ、あァ、ンっ」
を少し抱き上げて膝の上に乗せ、上半身を湯から上げさせるとその胸に吸い付いた。
「じっくり、聞かせろよ?」
「アっ・・・あぁっ、はぁ・・・っ、はぁはぁ・・・っ」
ざらりとした舌は意地悪く円を描くように乳首の周囲をなぞっている。
かと思えば核心にも触れず乳房を甘噛みしてみたりして、焦らすのだった。
「あ、や・・・銀さァ、ん・・・っやだぁ・・・っ」
何時まで経っても触れてくれないから。
焦らされるだけ体の熱が煽られておかしくなりそうだ。
思わずは自身の胸に手を持っていくと、人差し指と中指を乳首の周囲に添えて。
「ココ・・・弄って。銀さん・・・ここォ・・・っ」
と強請る。
頬は湯気の所為か、それとも羞恥からか紅く染まっており、そんなの痴態に銀時はニヤリといやらしく笑んで。
「ココか?」
意地悪くも指先で突付いてみたりして。
「うん、ソコ・・・」
散々焦らされたは素直に頷いた。
すると、銀時はぷくりと膨らんだ乳首にそろりと舌先を近付ける。
――――・・・ちゅ。
小さく音を立てて温い銀時の唇がそれを含んだ。
「はぅ、ン・・・っ」
待ち望んだ刺激にぶるりとは身を震わせる。
ねっとりと銀時の舌が絡みつくように何度も刺激を繰り返していた。
「あンっ、あ・・・っはぁはぁ・・・ああぁ・・・っ」
上擦る声を上げながらは銀時の頭を抱きこむようにして縋りついてくる。
刺激による快感に背がしなるたびに柔らかな弾力が銀時の頬に触れた。
「っ、あ・・・」
舌で捏ねる様にしたり、ごく軽く歯で触れると、感じるのだろうか戦くように身じろぎする。
その度に腰が揺れ、銀時の太股にぬめる下肢を押し付けているのだ。
しかしは全くそれに気付いていない。
「・・・腰振れてるぜ、」
「っ・・・ちが、そんな・・・」
「違くねぇよ。さっきから俺の太股で擦ってンだぜ、お前」
銀時の言葉にの頬がかぁ、とますます赤くなる。
「ウソォ・・・いや、ァ・・・っ」
両手で頬を覆い、は視線を逸らす。
「もうヌルヌルになってんのな。やっべ、超可愛いんですけど」
少し舐めて弄った程度でこの感じ様。
男冥利に尽きると言うものだ。
「やだァ・・・言っちゃ、やぁ・・・」
ふるふると頭を振って恥じ入る。
嗚呼、なんて可愛いのだろう。
「ちょっと顔見せろコノヤロー」
「きゃっ」
頬を押さえる両手を押さえつけの顔をじっと見つめる。
熱で赤くなった頬、潤んだ目、しっとりと汗ばんだ肌。
「堪んねー・・・」
溜め息を吐くように呟いたかと思うと唇を触れ合わせる。
「はっ・・・」
優しく触れ、唇を啄ばむように。
そして徐々にねっとりと深く。
何度も角度を変えながら舌を絡めてお互いの味を堪能した。
「銀さん・・・」
「・・・力抜いとけよ」
銀時の手がの足を持ち上げる。
ざぶり、と湯が揺らいだ。
「あっ・・・!は、ァ・・・はぁ、あぁぁぁ・・・っ」
狭い浴槽の端に背を押し付けられて、銀時が入ってくるのを感じる。
ぬ、ぷ・・・ぐぶ・・・。
「あっ・・・やァ、熱・・・っあ、はぁっはぁっ・・・」
何度も腰を使われ、その度に銀時の熱さに眩暈がした。
僅かに視線を投げれば苦しそうに眉を顰めた銀時が見える。
余裕の無さそうな表情が物語る通り、最奥まで侵入を果たした銀時はそのまま動き始めた。
「え・・・っ!?あっ、ちょ・・・っ待っ・・・」
「ワリ・・・無理」
「や、ァん!!」
ざぶざぶと銀時に合わせるように湯が揺れる。
「あっあっ・・・あぁぁ、はぁ、ン・・・っ」
熱が出入りする度に、その熱に溺れそうだ。
近くなる絶頂が先か、銀時に溺れるのが先か。
「・・・っ、っ」
何度も名を呼ばれるが返答など到底出来そうに無かった。
ただただ無意味な喘ぎ声が漏れるだけ。
「ダメ・・・っ、イく・・・っ」
「俺も・・・。っ・・・!!」
「あぁぁぁんっ・・・!!!」
銀時の背に力いっぱい爪を立て、はびくりと背をしならせた。
直後、銀時もの中を熱い体液で一杯にする。
しかしそれを感じる前には意識を手放していた。
気付けば、真夜中だった。
既に体は洗われ拭われ、綺麗にされていた。
「だる・・・お風呂でヤるもんじゃないわね・・・」
セックスの疲れに加え湯でのぼせた所為もあるだろう。
とにかく頭がぼんやりする。
それに喉が渇いた。
もそもそと蒲団を抜け出し、気付く。
「・・・銀さんは・・・?」
銀時の蒲団で寝ているにも関わらず、銀時本人の姿が見当たらない。
不思議に思いつつも障子を開けると、ソファの上で寝ている銀時が目に入った。
「・・・?」
何故一緒に寝なかったのだろう。
当然のことながら知らない仲でもないし、いつもなら嫌と言っても一緒に寝たがるくせに。
「・・・腹減った」
「!・・・なんだ、起きてたの」
「今起きたんだよ。つーか腹減ったんですけど」
やおら体を起こす銀時の傍に行く。
「はいはい。・・・ねぇ、銀さん。なんで一緒に寝てなかったの?」
「・・・倹約したかったんだろ?これ以上体力使わねーようにだよ」
そっけなく言われ、は思わず笑ってしまった。
と、同時にまだヤるつもりだったのか、とちょっと呆れる。
「・・・コンビニ行こっか」
「あ?何で?カップラーメン半分こじゃねェの?」
「銀さんの気遣いが嬉しかったから特別に。おやつも買ったげるよ」
おやつ、という言葉にちょっと反応する銀時が何だか可愛い。
「やれやれ。面倒だけどよ、がそこまで言うなら行くとするか」
「はいはい」
しっかりと手を繋ぎながら、コンビニまで夜道のデート。
そしてお腹が一杯になったら、もう一回くらいつき合わされるかもしれない。
嗚呼、なんて自分達は慎ましく生きれないんだろうと思いつつ
それはそれで甘くて楽しい性活模様
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ちょっと倒錯の続きっぽくなってしまいましたね。ぎゃふん。
あーでもアンケに書かれてる萌えシチュあんまり使えなかった・・・悔しい。
それにしてもこのヒロインと銀さん毎回毎回ヤりまくってんなー・・・、もうちょっとエロスから離れられないもんかね(お前が言うな)
本当はラーメン半分この方が個人的に萌えなんですが・・・なんかやっぱ貧乏臭いかなとおもって止めて見ました。