「ちょ、待て、逆・・・!」






倒錯/2





二人分の体重にギシリとベッドが悲鳴を上げる。
「ン・・・っ」
柔らかな唇はいつもと同じ。
頬に掛かる黒い髪の香りですら、違わないのに。
「ふ、は・・・っ」
何度も角度を変えながら銀時の唇を奪うのは、
彼女は体重で銀時を押さえるが如く体を押し付けてくる。
密着する体から柔らかな胸の感触や、太股の感触はダイレクトに伝わってくるのに。
「ちょ、・・・待て待て」
「大丈夫、あたしに任せて」
銀時の言葉を遮るように、唇に指を押し付けた。
細くて白い、しなやかな指。
目の前のはにこりと微笑み、そっと銀時の首筋に顔を埋めた。
「っ、お、い・・・っ」
の唇が銀時の首筋をくすぐる。
髪の香りが強くなったような気がした。
小さな舌先が当たるの感じる。
「・・・っ、・・・」
くすぐったさに思わず身じろぐが、はお構い無しだった。
着物の襟を割り開きながら首筋や鎖骨ら辺に何度もキスをする。
そして、顔を上げたかと思うと唇にも。
ちゅ、と小さく唾液の絡む音がして柔らかな舌が侵入してくる。
「ん・・・」
愛おしそうなの声が唇の隙間から漏れる。
銀時の口内に広がるの味を垂下しながらふと思った。
普段とは、全く逆だけれど。
愛されるのも多少ならば悪くない。
「は・・・、パー子ちゃん、好き・・・」
見下ろすの視線は深く熱を孕んでいて、射抜かれるようだ。
そしてまた、銀時の首筋に顔を埋めて。
今度は着物の襟を開く代わりに銀時の帯に手をやった。
しゅる、り。
「・・・」
思いの他手際が良くて銀時は内心狼狽する。
しかしはてきぱきと銀時の帯を抜いてしまった。
ざらりと銀時の体の上を滑らせる様に、は着物を肌蹴させる。
「・・・何か」
「え、なぁに?」
殆ど裸にされた銀時の上に改めて跨るはまだ銀時の服を着たままである。
男が脱がされて女が服を着たままというのは・・・何と言うか。
「お前も脱げよ」
「どうして?」
クスクス笑いながら銀時を見下ろすはどうやら銀時の言葉の意図をちゃんと理解しているらしかった。
そんなに銀時は二の句を告げる事が出来ない。
不満そうに唇を尖らせるだけ。
「・・・じゃあ、パー子ちゃん。脱ぐの手伝って」
ね?
すると銀時の表情が和らぐ。
そしてぽつりと仕方ねェなぁ、なんて。
嗚呼だめだ。
は笑ったまま思う。
銀時が可愛くて、仕方ない。
「それじゃあ・・・あたしの帯、解いてくれる?」
「おう」
待ってましたとばかりに銀時の手がの帯に掛かる。
勝手知ったる自分の服。
以上の手際で銀時は帯とベルトを解いてしまう。
そしては着物を脱ぎ捨てると、上の服に手をかけた。
焦らすようにゆっくりとファスナーを下ろす。
徐々に露わになる白い肌に、銀時はごくりと喉を鳴らした。
「パー子ちゃんたら、あんまり見ないで」
少し恥ずかしそうに、は頬を染めながら銀時の目の前で上着も下着も脱いだ。
「・・・ズボンは・・・脱がせて貰おうかな」
やはり頬を染めたままは強請るように銀時に言った。
すると銀時はにやりと笑んだ。
「よしよし、銀さんに任せろ」
の腰に銀時の好色な手が伸びてくる。
ぷつんとトップボタンを外して、ファスナーを下ろす。
・・・所までは良かったのだけれど。
「ひゃっ・・・!?」
するんと銀時の指先が中に入ってきたのだ。
思わずぎくりと体が震える。
「ちょ、パー子ちゃん・・・!」
ぐりっと指先が溝に埋まり、は銀時の腹の上にへたり込んだ。
「ほらほら、どーしちゃったの?ちゃーん?」
「やっ、馬鹿・・・あっあぁ・・・っ」
下着越しに敏感な部分を擦られ、じわりと蜜が滲むのが判った。
「はぅ・・・っ、やぁ、今はあたしがっ、攻め・・・なのォ・・・!」
必死で銀時の手から逃げようともがくが、強い力で腕を捕まれ逃げられない。
加えてこの刺激。
体に力が入らず銀時にされるがままだ。
「はっ、はっ・・・いやァ・・・ン」
ふるふると首を横には振るが声色はまんざらでもなさそうである。
銀時はやおら体を起こすとを膝の上に抱き直し、ズボンを脱がせた。
「ホラ、こうしたらもうどっちが男かなんて明白だろ?素直に銀さんに抱かれなサイ」
性別を混乱させる衣服が無くなればは明らかに女で、銀時は明らかに男。
俯くの顎を掴んで唇を押し付けた。
「っン・・・は、ぁ・・・」
角度を変えながら何度も啄ばまれ、やがて舌が入り込んでくる。
今度は逆に、の口内に銀時の味が広がった。
「はぁ・・・銀さん、あン・・・あぁ・・・」
同時に優しく胸を揉みしだかれ唇の端から甘い声が銀時の名を呼んだ。
それはつまり倒錯ごっこはもう諦める、というの気持ちの表れであった。
ようやく戻ってきた主導権に銀時はにっと笑って、をベッドに押し付ける。
の足の間に自らの体を捩じ込んで、本格的に愛撫を始めた。
「はぁっ・・・銀さん、あ、はぁっはぁっ・・・」
何の躊躇も無く乳首に触れた舌先が、ざらりと這う。
ちゅ、ちゅ、と小さな音を立てて扱くように唇に啄ばまれる。
そんな愛撫で簡単に感じて苦しいくらいなのに、求めるように銀時の頭を抱いた。
恥ずかしいのに、胸を押し付けるように背を浮かす。
「はぁっ・・・ダメ、あぁ、ン」
しつこく乳首をしゃぶり立てていた銀時だったが、ゆっくりと舌先を下へと辿らせ始めた。
腹を伝い、臍の窪みを舐められる。
「ひゃっ、やだ・・・、変なトコ、舐めちゃいやァ・・・っ」
ぞわりと肌が粟立つ。
だけど銀時はお構い無しだ。
ちろちろと緩やかに何度も舐めてくる。
「や、だって・・・ば!」
残りの理性が銀時の頭を下に追いやる。
だけど、それも良いやり方ではなかったようだ。
銀時がにやっと笑って。
「何だよもっと下の方舐めて欲しいってか?あーあーちゃんは淫乱だねェ〜。まあ俺がそう仕込んだんだけどな」
「やー!ばかばか!!違う、・・・やぁんっ」
べろりとショーツを引き下ろされて、脚を抱えられ、銀時の指先がの溝を割り開いたかと思うと柔らかい感触。
唾液を含んだ銀時の舌先。
「はぁぁぁ・・・あぁ・・・だめぇえ・・・」
銀時が舌で触れる以前から濡れていたそこを更に濡らすが如く這い回る。
下腹部に押し付けられる鼻先の感触に酷く羞恥を感じるものの、それ以上に。
「ああ、好い・・・銀さァん・・・はぁ、ああぁ・・・ダメ、好いの・・・ォ」
抵抗もせず、快感がだだ漏れになる。
ざらつく舌が硬くなったの芯を撫で回して、時折指先が入り口辺りを撫でるから。
恥ずかしいのに、口をつくのは快感を訴える言葉ばかり。
下半身直下型の声でそんなことを訴えられて銀時も堪らない。
口許を拭いながらの足をベッドへ下ろした。
ちゃん、銀さんはもう限界です」
仰向けに横たわるの上に跨りながらいやらしく笑って。
多少焦点の合わないに見せ付けるが如く、太く勃起したモノを取り出した。
「・・・」
それを目の当たりにした、頬を紅くしながらも目が離せなくて。
にやにやしながら銀時はそれを軽く扱いた。
更に上を向く銀時のソレ。
「欲しいだろ?」
「・・・うん」
「んじゃ、自分で入り口広げて見せろ」
「・・・」
意地悪な命令には無言になるが、体の奥底から溢れてくる熱には勝てない。
体を起こしてそっと膝をM字に立て、細い指先で恐る恐る溝を割り開く。
ピンク色のソコはひくひくと銀時を待ち、震えていた。
「ひくついてるぜ?そんなに銀さんが欲しいのかな?ちゃんのココは」
の痴態を嬉しそうに見ながら銀時は開かれた脚の間に入り込み、勃起の先で割れ目をなぞる。
そんな刺激すら堪えがたい熱を生み、は苦しそうに息を吐いた。
「銀さん・・・焦らさないで、お願い・・・」
ふるりと睫毛を震わせて、強請る。
「おう、銀さんももう限界」
言うなり銀時はの太股を掴みぐい、と腰を押し付けた。
散々焦らされたソコは難なく銀時を飲み込む。
「はぁぁ・・・ああ・・・」
深い溜め息を吐いては体を震わせた。
「う、すげ・・・」
の内壁が食いつくような感触に銀時は目を細めた。
ぐいぐい腰を押し付けられの目尻には涙が浮かぶ。
だけど銀時は容赦ない。
安ホテルのベッドが大きく悲鳴を上げるほど、に深く打ち付ける。
「はぁっはぁっ、銀さん、ダメ、だめぇえ・・・イ、イっちゃう・・・!」
結合部から卑猥な音を響かせている銀時も余裕の無さそうな表情だった。
「・・・もう、少し・・・我慢、しろ・・・!」
「無理、無理っ・・・あぁぁ!」
ひくんとの体が小さく跳ねて。
直後、びくんと痙攣する。
「やぁぁぁっ・・・!」
「・・・っく、ぅ」
断続的に銀時を締め付けるの内部。
それが引き金になり、一歩遅れて銀時もたっぷりと精を吐き出した。
「あぁ・・・っ」
下腹部に何かが放たれる感触にはぎくりと体を強張らせる。
「・・・もうっ、また中で出した!」

・・・余韻も何もあったもんじゃない。








その後二人で簡単にシャワーを浴びて。
入ってきたときとは逆の服に着替える。
「銀さんの服も悪くなかったけど、サイズの面で言うならやっぱりこっちの方が良いね」
銀時が普通に着ていただけあってやはりあちこち大きいけれど。
「俺は金輪際そんな服着たくもねえよ。・・・ところで、ちょっと相談があるんだけどよ」
「何?」
「金貸してくれよ。勢いでこんなとこ入っちまったけど、良く考えたら俺今日金持ってねーの」
「・・・は?」
ちょっと待て。
も今日は、というより今月後一週間を10000円で過ごさなければいけない身。
だってその為にアルバイトを探していたのだから。
ああ、もうホントに自分の彼氏は疫病神なのではなかろうか。
「銀さん・・・あたし達暫らく会わない方がいいかもしれない・・・」
「え、何で?何でそんなちょっと倦怠期みたいな台詞?ちょっと何で目ェ逸らすの、ちゃん!」
「金の切れ目が縁の切れ目って言うでしょ?」
「オィイイ!!何ソレ!?ちゃん俺の金だけが目当てだったのォ!?」
貧乏侍がどの口でその台詞を吐くんだ、と思いながらもは銀時を見ようとはしなかった。








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うーん・・・もっと銀時をあんあん言わせようかと思ったのですが無理でした。
だって女の子に色々されて銀さんがあんあん言うとは思えないんだモノ!!