素っ裸の女が空から降ってきた。
これは・・・やっぱり喜ぶべきか?
181/虜囚
「そういや、俺・・・昨日の夜酒場で潰れたことしか覚えてねェや」
さらりとデュークは恐ろしいことを言った。
酒場で潰れるのがどれ程恐ろしいか分かるか?
わからねぇだろうなぁ。
ビュッデヒュッケ城ではな、酒場で潰れたヤツはもれなくビッキーに『見送られる』んだ。
しかも半寝ぼけてるビッキーにだぜ?
な?めちゃくちゃ恐ろしいだろ?
まだ風呂とかに飛ばされるなら可愛い方だ。
ごく偶に思いもよらねぇ遠方に飛ばされたりするんだぜ。
しかも稀に今日のデュークみたいにアクシデント付きだったりするコトもある。
大方見送られたときに間違って12小隊の部屋に飛ばされたんだろうな。
「で、俺のベッドの上ってわけか・・・しかも何故かそんな姿にされて」
やれやれだ。
俺はもう12小隊の経理と始末書だけでいっぱいいっぱいだぜ。
「・・・まあ稀にそういう訳わかんねーアクシデントに見舞われたりするらしいけどなー・・・」
実際に見舞われたヤツみたのは初めてだけど。
「アクシデントで済むか!!!畜生・・・あんなに飲むんじゃなかったぜ」
それにしてもどうする・・・?
まさかデュークのヤツがこんな状態になっちまうなんて、人生の想定外の出来事だ。
「ま、とりあえず、服着ろよ」
居心地悪そうに身を小さくしていたデュークに服を渡してやった。
はは、流石にでかいか・・・。
今の・・・女になっちまったデュークの体には。
のろのろと俺の服に袖を通してるが、着ながらデュークは顔を顰めた。
「う・・・なんかコレ・・・」
膝を擦りあわせてますます居心地悪そうにする。
そりゃそうか。
良い感じに際どいトコがギリギリ隠れるくらいのやらしー格好になってんだから。
素肌にシャツしか着てないから薄っすら浮いた乳首も良く分かるし・・・。
「おいっ・・・じろじろ見てねぇで下も貸せよ・・・っ」
身を捩りながら俺を睨んで小声で怒鳴った。
はぁ・・・ちっとも怖くねぇ。
いや、だからっていつもは怖いって訳じゃないけどな。
「おいおい、立場分かってねぇな。それが人に頼む言葉かよ」
「うっせぇ。おい雑用のクセに変なこと考えてんじゃねぇぞ。俺は男だったんだからな」
「・・・でも今は女だろ」
シャツの裾から伸びる細い素足、腕もだ。
あんなでけぇ剣持ってたとは思えないくらい細くなっちまってる。
ちろっと顔を見た。
俺を睨むきつい眼の女。
まぁ傷が惜しいがキレーな顔してるな。
だけど不思議とデュークだって分かる女の顔だ。
黙って観察する俺に危機感でも感じたんだろうな、デュークはそのままばっと立ち上がって俺の部屋を出ようとした。
軽くなった分素早かったが俺のが早い。
ベッドの脇を抜けようとするデュークの足首を掴んで引き倒した。
派手な音が部屋に響く。
「っ、おい離せ!!!俺はもうテメェに用はねぇ!」
「静かにしろよ。誰か来ちまうぞ」
声を上げるデュークの口を慌てて押さえて、扉の外に神経を集中させる。
・・・・何の音もしねェ、誰にも気付かれなかったか。
はーっと息をついて俺はデュークを見下ろす。
「おいおい、こんな格好見つかって嫌な思いすンのはお前だろ。もっと危機感持てよな」
「阿呆か。お前の部屋に居るのが一番危ねぇじゃねぇか」
体を起こして俺を睨む。
「気色悪ィ目でじろじろ見やがって」
じりじりと後ずさりながら。
ほんとに、まあ見れば見るほど可愛くなっちまって。
俺はそんなデュークの腕を掴んで、ベッドにもう一度引き込んだ。
「・・・ほらな、こうなると思ってかたら逃げようとしたんだよ」
俺の下のデュークはちっと舌打ちして目を逸らした。
「仕方ねぇだろ。女も久しぶりだし、諦めてたモンが目の前にいるんだぜ。手ェ出すなってのが無理ってもんだろ」
「・・・ハァ?」
デュークは嫌そうな顔で俺を見た。
まぁこいつは馬鹿だと思うけど察しが悪い方じゃない。
それに俺とこいつは似たものだ。
手の届かない存在が好きで、だけどそれを諦めて。
「・・・あのな雑用。俺は・・・」
言いよどむこいつの言葉の続く先も分かってる。
だから今まで諦めてたんだ。
「大将のこと好きなんだろ。それくらい知ってる」
「・・・」
「だから諦めてたしな・・・でもよ」
小さくなったデュークの体を見下ろした。
「今なら・・・・・・俺のモンにも出来る」
ぐいっと俺は服の裾を捲り上げた。
白い肌が俺の目の前に晒されて。
知らず、喉がなる。
「今だけでも」
俺は自分の体を押し付けてデュークが動けねぇようにした。
ゆっくり顔を近づけた。
抵抗されるかと思ったが意外に拒まない。
いいのかな、とかちらっと頭を掠めたけどそのまま。
「っん・・・」
小さく声をあげてデュークが身じろいだ。
その声が妙に色っぽくて、唇の感触は柔らかくて。
やべぇ。
思春期のガキみたいに、たったこれだけで俺は戻れなくなっちまいそうだ。
「っ・・・ふは」
息をついて目を細めるデュークに俺はもう一回キスした。
しっとりと柔らかい唇はクセになりそうな感触で堪らねぇ。
「んっ、ぅ・・・しつこい」
デュークはぐいっと俺を向こうへ押しやって睨んだ。
そりゃこいつが偶に大将に見せてる甘やかな表情までは期待してねぇけど、ンなに怒らなくてもいいのによ。
俺はデュークを敷いたまま横に崩れる。
はぁ・・・畜生。
本命ってこういうモンなのか。
「・・・どうしたんだよ。モノにするんじゃなかったのかァ?」
不思議そうに俺に問いかけてくる質問が痛い。
「・・・・・・だって、お前・・・嫌だろ?」
情けねぇと思いつつも、正直に言ったら一瞬きょとんとした顔をして・・・。
げらげら笑われた。
「お前意気地ねぇなー!」
「うるせぇっ・・・!!」
ひとしきり俺を笑い、ふとデュークは考えるようなそぶりを見せた。
そして俺のほうを向くとにやっと笑った。
「・・・俺はいいぜ」
「はぁ!?」
驚く俺を押しのけてデュークは俺の傍に座ると衣服を直しながら笑う。
「男に戻る方法見つけてこれたらお前のモンになってやらぁ。俺の意志でな」
そういって意地悪く笑う。
なんだそりゃぁ。
ぽかんと呆ける俺にデュークのヤツ、ちゅっと小さい音を立てて俺にキスした。
「ま、せいぜい頑張んな。エース」
そういって俺の部屋を飛び出して行った。
・・・マジで?
今の言葉、信じちまうぞ?
騙されてるのかもしれねェけど。
だって女の武器は言葉と体。
だけどあいつがそれを振りかざすならば、俺はそれに敵うわけもないのだ。
それに屈して虜になるのも悪くないだろ?
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エース視点にしたらエースの名前が全然出てこなくて・・・。あはは一回だけじゃん。
分かると思ってそのままですが・・・分かりますよね。ね。
エース→デューク→ゲドみたいな感じで。ゲドは・・・エース?(笑)
それにしても少女漫画仕様で堪らなく恥ずかしい。
ああ、それにしてもデュークが書きやすい。女になって城のあちこちの男から白い汁かけられまくってくれ(殴)
実はこれちょっと連載してやろうかとの目論みで書いたやつなんで・・・短め。続くかどうかは分かりません・・・(死)