011/酔い
触らぬ神に祟り無しとはよく言ったもので。
「ほんと何コレ・・・」
持ち帰った宝箱の中身は殆どが屑と言っていいものばかり。
そんな中たった一つだけ訳の分からないものが混ざりこんでいた。
「瓶」
「そんなこと分かってるよ!」
鑑定を依頼しても結局何か分からなかったためヒューゴが引き取ってきた謎の瓶。
真っ黒なそれは振ってみるとちゃぷちゃぷと音がするので辛うじて液体が入ってることだけが分かった。
コルクは蝋でしっかりと固められていて、恐らく保存も利くように出来ているのだろうと窺える。
「・・・開けてみても平気かな・・・?」
「さぁ」
エッジはそう答えたが、対するヒューゴは好奇心の塊といった感じで。
恐らく今エッジが開けるなと言っても開けるだろう。
「・・・・・・・・・・・・開けちゃえ」
殊勝にもちょっと悩んで見せたりして、だけどやっぱり想像したとおりの言葉。
こっそりとエッジは溜め息を吐きつつ様子を見守る。
ごそごそととても細いナイフを取り出してコルクに突き立てるヒューゴ。
ぽろぽろと蝋が落ちた。
「・・・えぃっ」
反動をつけてナイフを引っ張りあげると、思ったよりも簡単にコルクが抜けた。
ぽんっと小さな音を立ててナイフに刺さっている。
「エッジ、グラス取ってよ」
ホラ早く、とヒューゴが急かす。
辺りを見回しテーブルの上にあったグラスを掴むとぽいっと放った。
それを片手で器用にキャッチして興味津々な笑顔で真っ黒な瓶を傾けた。
・・・が。
「あれ?何にも出てこないよ」
おっかしーなぁ。
先程は確かにちゃぷんと液体の音がした筈なのに・・・とヒューゴは瓶を覗き込む。
勿論真っ暗で何も見えやしない。
もう一度、今度は豪快にひっくり返すが一滴の水分も落ちては来なかった。
「???」
狐につままれた気分とはこういうのを指すのだろうか。
訳が分からないと言った感じでヒューゴはエッジを見上げる。
しかしエッジも「さぁ」と言った風に肩を竦めるだけ。
「確かに入ってたのになぁ・・・」
ちぇーとつまらなそうにヒューゴは瓶を放り出してカーペットの上に寝転がる。
「エッジ、つまんない」
「・・・」
「つまんなーい」
足をばたばたさせて子供のように言った。
しばらく放っておこうかとも思ったがヒューゴの機嫌を損ねると後で面倒なことになるのを知っている。
溜め息を吐いてエッジはヒューゴの傍に座り込んだ。
「どんな方法でもいいのなら」
にやっとエッジが笑う。
勿論その真意はヒューゴにちゃんとちゃんと伝わっているので、僅かに頬を赤くしてはにかむようにヒューゴも笑った。
「・・・うん」
頷いたらゆっくりと抱き上げられた。
あ、お姫様抱っこだ・・・と思ってますます照れる。
誰が見ている訳でもないがやっぱり少し恥ずかしい。
二人してベッドに雪崩れ込む。
どちらからともなく口付けあって、合間に少し笑って。
あ、ドアの鍵してないや、とか色気の無いことを言ったりして。
「俺エッジとするの大好き。なんか・・・楽しいし、幸せだし」
笑って言うヒューゴの言葉。
その言葉でどれだけエッジを幸せしているか自覚はあるのだろうか。
堪らない気分になり、いつもより性急にヒューゴの服を剥いたら。
「・・・?」
「・・・ん?どしたの」
ヒューゴの服を肌蹴させたままエッジが固まる。
怪我でもしてたかなとヒューゴは体を起こしてエッジの凝視する上半身を見下ろした。
「・・・」
「・・・」
「・・・お前・・・どうしたんだ」
二人して固まっていたがエッジが先にそれを破った。
見下ろすヒューゴの胸は女の子のそれの様にふんわりと柔らかそうな曲線を描いている。
勿論ヒューゴが男であることは昨日の夜までちゃんと分かっていたのだが。
それに心なしかヒューゴの人相が少し変わっているような・・・?
「・・・俺・・・どうしちゃったの?」
「・・・」
「・・・」
顔面蒼白させて薄笑いでエッジに聞くヒューゴ。
おもむろにエッジはヒューゴのズボンの上から股間に触れた。
「ひゃっ・・・やだ・・・っ」
ぞわりと変な気分になって肌が粟立つ。
「・・・ヒューゴ・・・やばいんじゃないか」
「・・・え」
真剣にエッジに言われ、ヒューゴはぞおっと背筋を寒くさせた。
その後確認してみたらやっぱりヒューゴは女になっていた。
通常ありえない変貌にエッジも珍しく驚愕しているようで。
「どうしよう・・・」
はぁっと大きく溜め息をついてヒューゴはベッドに沈んでいた。
女になってしまったこともショックだが、それよりもシーザーが怖い。
不注意でこんな風になってしまったことが知れたら何て怒られるんだろう・・・。
そんなコトを考えつつどんよりとベッドに突っ伏していた。
エッジはその傍らでヒューゴの髪を撫でながらとりあえず何故こうなったのかを考えていた。
原因は如何考えてもあの真っ黒な瓶の中身であると推測できる。
しかしヒューゴはあの中の液体を飲んだわけではない。
というよりも何故中身がなくなったかだ。
ヒューゴが口にすることも無く、また開けるまであの中に液体が入っていたとするならば・・・?
「・・・そうか、気化か。何故こんな簡単なことに気付かなかったんだ」
ぼそっとエッジがヒューゴの方を向く。
「ヒューゴ、大丈夫だ。お前はすぐに・・・・・・・・ヒューゴ・・・?」
ふと見下ろせば、隣に沈み込むヒューゴの様子がおかしい。
慌ててヒューゴを抱き起こす。
「おいっ、ヒューゴ・・・っ」
またしても珍しく慌てたエッジの表情。
くてっと体の力が抜けているヒューゴの顔を覗き込む。
すると閉じられていた目が薄っすらと開かれた。
「・・・なに・・・エッジ」
「どうした。気分でも悪いか」
「・・・うーん、ちょっと・・・違う、かな。眠くて・・・熱、い」
何処か熱に浮かされたようにぼんやりと途切れがちに呟いて。
そっとヒューゴはエッジに手を伸ばした。
ふわりと頬を掠めるその手は確かに熱を孕んでいる。
「エッジ・・・」
薄っすらと目元を赤く染め、ぼんやりとエッジを見る目。
僅かに開いた口許から覗く赤い舌。
「したい」
珍しく素直にそう訴えてそっと手を差しのべるヒューゴ。
妖しく求められる唇を拒む方法を、エッジは知らない。
「ン・・・」
誘われるままにヒューゴに押し付けた唇。
いつもの様に割り開いて深いものへと変えていく。
「ん、ん・・・っ」
柔らかい舌を絡めとリ、軽く吸う。
ちゅっと音を立てて少し離れてはまた求めて、角度を変えながら何度も何度も。
「ふ・・・ァ、エッジ・・・エッジ」
甘く艶っぽい声。
名を呼ばれるだけでぞくりと身が震える。
するりとヒューゴの胸に手を滑らせた。
ふわりと柔らかい感触が気持ちいい。
「やっ・・・ン、あ・・・っ」
既にぷっくりと尖っている乳首を指で摘んでやるとヒューゴの背が少ししなった。
エッジは支えていた手をゆっくり解放してヒューゴのベッドに横たえる。
勿論自分はその上に。
ヒューゴが誘うように立てた膝の間に体を収めて、手を突いた。
ゆるゆると緩く胸を揉みほぐしながら唇でそっと首筋を辿る。
「んっ・・・あ、はぁ・・・」
そのままゆっくりと唇を下へと移動させ、乳房を軽く甘噛みした。
「っう・・・」
ぴくんとヒューゴが呻いて顔を顰める。
本当に食べてやりたいくらい可愛いと思いながらエッジはヒューゴの乳首をそっと口に含んだ。
硬く勃起したそれをぺろりと舌先で舐めて捏ね回す。
「あっ・・・はぁぁぁ・・はぁはぁ・・・っ」
ちゅぅっと軽く吸い上げ空いた手は震える下腹を撫でている。
そしてその勢いでするっとズボンの中に手を入れれば、熱くしっとりと湿った感触が。
ねっとりと絡むヒューゴの愛液が纏わりついてくる。
「あっ、やだぁ・・・っ!!!」
つるりと撫でられ、腰に走る刺激。
思わず腰が浮くほどの。
「嫌じゃないだろ」
ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てながらかき回す指先が堪らない。
はぁはぁと浅く荒い呼吸を繰り返しながらヒューゴは涙目でいやいやをした。
「・・・嘘つきだな」
にやっとエッジは笑いヒューゴのズボンを下ろしてやる。
そして足首を持って肩にかけると、腰を抱き上げた。
「やぁっ・・・」
「いつもしてることだろ?」
そう、確かにいつもしていることだ。
違うのはヒューゴの下半身が今は女になっていて普段よりも数段涎を垂らしていることくらいだろう。
ほんのりと充血したピンク色の花弁を、エッジは指で押し開いてやる。
そこは物欲しそうにぴくぴくと蠢いていた。
「・・・っひゃぁ・・・っ!!」
僅かに躊躇うようにエッジの舌がヒューゴのソコを優しくなぞる。
つんと尖ったピンク色の突起を舌先で突付くとヒューゴの足に力が篭った。
「あっあぁぁっ・・・はぁはぁはぁ・・・ダメ、あっあぁぁ・・・っ!」
その度にとろとろと溢れエッジの顎を濡らす。
何度も裂け目を舌先が行ったり来たり。
偶ににゅるっと奥まで入り込み蠢くのが堪らなく焦れったい。
もう少しソレが奥まで入ってくれればすごくイイ様な気がして。
「エッジ・・・あ、ン・・・なんか・・・ねぇ、はぁ・・・もっと、欲・・・しい・・・っ」
苦しそうな声でヒューゴが強請った。
その言葉にエッジはにやりと笑う。
「もっと?」
「ン、もっと・・・ォ。あはァ・・・奥、までぇ・・・」
エッジはヒューゴの体を下ろしてやると、そっと自分のズボンの前を寛げた。
そして既に十分勃起してしまっているモノをヒューゴのの下腹部に宛がう。
熱い塊が押し付けられたのを感じた瞬間、ぐっと太いものが押し込まれてヒューゴは一瞬息を止めた。
「っ・・・あぁぁっ、くぅ・・・ン・・・っ」
思ったよりも痛くは無いが息が止まってしまいそうな程苦しい。
じゅぷじゅぷと淫猥な音と共に埋まるそれを拒むように何度も締め付けてしまう。
その度にエッジも顔を顰め、ヒューゴに力を抜くよう訴えた。
「あっ・・・はぁはぁ、ン、あぁぁ・・・っはぁ、はぁぁ・・・っ」
「狭いな・・・」
いつも以上に噛み付いてくるヒューゴの中。
気を抜くと果ててしまいそうになるのを必死で耐え、エッジは腰を進めていく。
「っあ・・・ま、まだ・・・?」
「・・・もう、少し」
ずんっと重い圧迫感に襲われたかと思うとエッジの腰がようやく止まった。
二人して荒い息を吐きながらしばし抱き合う。
時折ヒューゴの中が軽く収縮するのでエッジは非常に辛い思いをしなければならなかったが。
「・・・ヒューゴ・・・もう、限界だ。動くぞ」
「え・・・待っ・・・っあぁ・・・ンっ」
やおら体を起こしてエッジが注送を開始する。
ぎしっとベッドが大きく軋み、その激しさを物語っているよう。
ずるりと引き出されたエッジが入るたびに先端が擦る、或る一点が堪らない刺激を与えてくる。
「あぁぁっ、はぁはぁ・・・、ソコ・・・ソコだめぇっ・・・なんか来ちゃう・・・っ来ちゃうぅぅぅっ・・・!!!」
思い切りエッジが奥をついた瞬間。
ヒューゴの足がぴんと跳ね、内部がエッジを思い切り締め付けた。
「はあぁぁぁぁぁっっ・・・!!!」
悲鳴にも似た声を上げ、ヒューゴが昇り詰める。
その刺激でエッジもまたヒューゴの中に思いの丈をぶちまけた。
セックスが済んで横に崩れるエッジの隣でヒューゴはクスクス笑っている。
頬を紅潮させたまま一人で楽しそうに。
「・・・どうした、ヒューゴ」
「んふ、分かんない。でもふわふわしててイイ気分♪」
裸でベッドに沈みながら、でもやっぱり楽しそう。
このヒューゴの状態は少し前に酒を飲んだときと酷似している。
その時も一人で楽しそうに笑っていたっけ。
「・・・お前まさか・・・酔ってるのか」
だからしたいなどと口走ったのだろうか。
恥ずかしがり屋で、エッジが誘わなければセックスもままならないようなヒューゴが。
「酔ってなぁい。えへ、エッジ大好きィ」
「完全に酔ってるな」
甘い余韻に浮かされながらべっとりとエッジに抱きつくヒューゴ。
まあこれはこれで悪くないかと、そっと抱き返しながら思った。
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久々ですねェ。エジヒュ。
ヒューゴの乳は薄すぎず厚すぎず・・・な感じが萌えです。えーっとギリでパイズリ出来ないくらいかな(下品)
あの液体はアルコールを含んでいたというわけで・・・(と必死に説明)
この後ちゃんとヒューゴたんは元に戻ります。