キミのカラダにサクラの花弁。




005/サクラ





もうかれこれ一ヶ月になるが。
俺は某テレポート魔術師の所為で女になったままだ。
運が悪かったんだ。
ビッキーのくしゃみほど怖いものはねぇと思い知らされたあの日。
俺はゲドに呼ばれてパーティに入ってた。
面子はゲドと雑用、俺とクイーン、ヒューゴとビッキー。
隊列もこれを縦に並べた感じだったんだ。
んで俺とクイーンでビッキーを守りながらゲドとヒューゴは攻撃魔法、雑用も前線。
ビッキーはどっちかっていうと不精のゲドが早く帰りたいが為に連れてきたようなモンだったからな。
鏡?鏡は街中で使えねぇだろ?
・・・そういうやつなんだよ、ゲドは。
だから、俺とクイーンは後ろの方でビッキーについてたってわけだ。
ことの発端はカレリアの山道ででけぇのと戦ってるときだ。


『くしゅんっ』


これだ。
この悪魔の呪文の所為で俺もクイーンも呪いにかかっちまったわけだ。
言っとくが大袈裟に言ってるわけじゃねぇぜ。
とにかくビッキーの奴がくしゃみをした途端に俺の剣が重くなりやがった。
「・・・なんだ?」
「どうしたんだい、デューク」
「いや・・・なんか急に剣が重くなっちまったんだけどよ・・・」
堪らず構えてた剣の先を地面につける。
持ち上がらなくなりそうだ。
「・・・変だね。他に敵もいないのにさ。・・・・・・ところでデューク」
「なんだよ」
「・・・あんた・・・なんか縮んでないかい?」
「え?」
そういやクイーンの顔が遠いような。
「・・・おい、クイーン・・・お前なんか変だぞ・・・」
「・・・あんたも、なんか変だよ」
「「・・・」」
そしてその後すぐ城に帰ってみれば、俺とクイーンの性別が入れ替わってやがったんだ。
原因は・・・ビッキーのくしゃみしか考えられねぇ!・・・ってアップルってやつが言ってた。
どうも前科有りらしいな。
んで、元に戻る方法もわからねぇまま今に至るわけだ。







「あっ・・・あ、も、俺・・・あはァ・・・っン・・・!!」
声を上げてシーツを握り締めた。
朝っぱらからありえねぇ。
俺の好きだった男は俺が女になってから豹変した。
それまで1週間に2回あればいい方だったセックスが、今では2週間に13回って感じだ。
おいおい。
今までは俺が必死になってその気にさせて来てたんだぜ。
100年以上も生きて色々無関心になっちまってる奴を口説いて口説いて頑張ってきたんだぜ?
なのに女になったとたん掌返したみたいに俺とヤるってどういうこった。
腹立つ腹立つ。
はぁはぁと俺は荒い息でそいつを睨んだ。
「・・・どうした。足りないのか?」
「阿呆か!!!ヤりすぎだっつぅの!!!」
「・・・・・・・そんな目で見るから誘っているのかと」
「誘うか!!!!」
畜生。
いつものなら俺がその台詞を言うんだ。
苛つきながらふと見た内股を伝う物体に俺はぎょっとした。
「テメェ!!ゲド!!!!また中で出しやがったな!!!ガキが出来たらどうしてくれる!?」
「・・・俺似の女が欲しいといったのはお前だったと思うが」
「・・・っ」
そうだよ。
いつもいつも俺が言ってた台詞だよ。
柔らけぇ黒髪の、凛としたって言葉が似合うゲド似の美人が欲しいと思ってたさ。
だけど俺らは男同士だったんだからそんなの夢のまた夢だったんだぜ?
分かるか?
冗談とは言わねぇが、それは愛情示す只の「言葉」に過ぎなかったんだ。
だけどよ、今は下手すりゃ本当になりかねねェ。
行動が伴ってたら尚更だ。
畜生・・・ゲドの奴。
俺が今女でゲドを抱けねぇからって嬉しそうに俺を抱きやがって。
苛々しながら俺はベッドを降りた。
「・・・シャワー浴びっから、入ってくんじゃねぇぞ」
「・・・・・・・・・・・ああ」
思いっきり嫌そうに言いやがった。
嗚呼腹立つ腹立つ!!!!
バスルームに入り、鏡を目の前にした俺は溜め息を吐いた。
もう大分見慣れてきた女の体。
んで俺が女になった夜くらいから消えない、体中の花弁。
さっきので新しいのが増えちまったみたいだ。
あの野郎、俺がつけたら散々拗ねたくせに同じことを俺にしてるんじゃねぇ!
俺はとりあえずシャワーを頭から浴びながら、ずるずるとへたり込んだ。
「・・・畜生・・・。やっぱあいつは・・・女の方がいいってことかよ」
悔しかった。
だけどそんな女々しいこと言えやしねぇ。
男のゲドでもいいと言ったのは俺の方で、恐らく男を抱く趣味なんかないあいつを抱いたのは俺で。
だって好きだったんだ。
誰といようとたった独りでいるような顔をするゲドが。
全てに一線を置いて接するあいつの、その境界線の中に入ってみたかったんだ。
結局俺はその境界の外だったっていうこった。
女になった所為か・・・やべ、なんか泣きそ・・・・・・・・・。
ざぁざぁ温い水に打たれながら、込み上げる涙を必死に抑えようとしてたら外で僅かにごそごそと音が聞こえた気がした。
「・・・?」
聞こえたか聞こえなかったか良く分からない音だったけど、その1秒後に俺は体を硬直させた。
がらっと勢い良くゲドの野郎がバスルームのドアを開けやがったからだ。
「なっ・・・。おい!!入んなって言っただろうが!!!!」
言いつつゲドも俺も互いに言うことなんて聞きやしないことを知っているんだ。
とりあえず体の際どい部分を手で、足で、隠して後ずさる。
どうせ毎日見られてるモンだ。
今更かもしれねぇが。
「・・・・・・忘れていた。悪い」
「嘘吐きやがれ!!!!・・・いやいい、俺が出ればいい話だな!!!」
泣きたい様な腹立たしい様な、複雑な気分で俺はバスルームを出ようとした。
が、すれ違いざまゲドに腕を掴まれた。
「何だよ・・・っ」
「・・・・・・・・・何故、出て行く」
「お前が入ってきたからだよっ」
「・・・?お前も良くしてたことじゃないか」
そうだよそうだよ。
まだ男だったとき良くしてたさ。
だけどこんな格好でゲドと一緒にいたらまたヤられっちまう。
案の定ゲドは俺を捕まえて腕の中に閉じ込めやがった。
抱きしめられたら敵わねぇ。
女ってのは不自由なもんだ。
いやいやする俺に無理矢理唇を押し付けてくる。
畜生、ゲドは長ェこと生きてるだけあってこういうのはすげぇ巧い。
それでなくても俺はゲドに惚れてるんだ。
キスなんかされたらそれだけで。
「んっ・・・は・・・ふぅ・・・うン・・・っ」
やべぇ、力が抜ける。
にゅるりと舌を絡められて、悔しいけど俺もそれに応えちまった。
卑猥な動きで俺の口内をまさぐってくる。
思わず俺はゲドにしがみついた。
しまった、強請ってるみたいだと気付いたときにはもう遅い。
ゲドは目を細めて俺の腰を抱いて逃げられないようにした。
「・・・やだ・・・っ、離せ・・・」
「何故」
「俺はもう散々ヤられてくたくたなんだよっ!もう嫌だ!!」
それだけじゃない。
ゲドにこれ以上女の自分を所有されるのが辛かった。
ますます遠い男になってしまう気がして。
愛されても愛されても、嘘にしか感じられなくて。
「・・・っ離、せ・・・」
ゲドの腕に居心地の悪さを感じ暴れているうちに、俺の目からとうと涙が溢れちまった。
こいつの前ではぜってぇ泣きたくなんかなかったのに。
格好悪ィだろ?
今はこんなナリでも元の俺は30の男なんだぜ。
「何故・・・泣くんだ」
「るせー・・・ほっとけ・・・!」
「・・・放っておけるか。どうした?何が悲しい」
意外なことに俺を覗き込むゲドの目は本物だった。
何故俺が泣くかを分かっていない、そして俺を本気で心配している・・・目で。
優しくするなよ。
俺が男のときなら俺がどんなに落ち込もうとも放ってたくせに。
いや、それも俺がほっとけって言ったからだけどよ。
畜生畜生。
優しくなんかされたら涙が止まんねぇじゃねぇか。
「・・・お前が・・・っ!!お前が・・・俺が女になった途端態度変えるからだろ・・・っ。畜生・・・っ、そりゃ俺が強引にお前抱いたけどよ・・・!どうせ・・・お前は女の方が好きなんだろ・・・!!!」
「・・・」
「諦められなかったんだよ!!!お前が女の方が好きでも・・・っ。俺は俺自身に嫉妬してんだ!!!」
「・・・デューク」
「・・・畜生・・・こんなこと、言わすなよ・・・。察しろよ。みっともねぇじゃねぇかよ・・・」
ゲドの顔を見なくて済む様に俺はゲドの胸に顔を押し付けた。
バスルームで素っ裸で何やってんだって感じだな。
暫くめそめそ泣き続ける俺の髪をゲドが撫でていたが、やがておもむろに口を開いた。
「・・・デューク別に俺は・・・男のお前が嫌だった訳じゃないぞ」
「・・・下手に慰めてるつもりならお断りだぜ」
「・・・・・・・・・・・・まあ聞け。・・・ああ、だがとりあえず出るぞ。お前が風邪を引きそうだ」
ゲドは強引に俺を外に出してバスタオルで包んだ。
そして抱き上げてベッドに連れて行かれる。
俺が逃げないように自らの体で俺を押さえつけた上で、また口を開いた。
「デューク」
「・・・なんだよ」
「・・・・・・俺も、お前が好きだ」
「気休めならいらねっての」
それとも女の俺が好きなのかよ、なんて言葉が出かかったがなんとか飲み込んだ。
惨めになるだけだ。
「聞けといっているだろう。・・・良いか、一度しか言わん。お前が俺を抱くように、俺もお前を抱きたかった。が、お前は嫌がるかと黙っていた」
「・・・」
「・・・だが今は如何だ。今なら嫌でも俺はお前を抱ける。今しかないと思った」
「だからあんなに回数が増えたのかよ」
俺の言葉に無言で頷き、そして少しだけはにかんだように笑う。
「・・・・・・俺はどんなお前でも好きなのだがな」
畜生。
ずりィ・・・。
今までそんな笑み見せなかったくせに。
今まで愛情なんてほとんど示さなかったくせに。
今までそんなに饒舌になったことなんかないくせに・・・。
「・・・俺だってどんなお前でも大好きだよ・・・っ。ばかやろ・・・っ」
不覚にもまた泣けてきた。
そんな俺の頬に軽く口付けたゲドがゆっくりと俺の体に巻かれたバスタオルを取り払う。
「・・・っ・・・おい!」
「・・・・・・・・・・拒むのか?」
「・・・」
拒めるわけが、なかった。
ゲドの問いに俺は首を横に振る。
んで全部ゲドに任せるように、目を閉じる。
俺ってゲンキンな人間だなぁ。
くっそ、あんな言葉だけでこんなに嬉しくなってくたくたなはずなのにまた足開いちまうんだ。
ゲドの手が軽く俺の頬を撫でるとそっと唇が触れた。
キスしながら髪を撫でられる。
「んっ・・・ゲド、は・・・ァ」
ゲドがすっと俺の腰を抱いてきた。
そして俺の脚と脚の間に体を割り込ませてくる。
「おいっ・・・ゲド・・・!」
ゆるりと俺の膨らんだ胸を掴み、しっかりと揉まれる。
既に脚の間に入り込まれてるから逃げることも出来やしねェ。
・・・そんなつもりもないけどな。
「あ・・・ちょ、んん・・・っ」
ゲドがぺろりと俺の乳首を舐めあげてくる。
舌先でちらちら弄ばれて痛いほど。
「あっ・・・は、ァ・・・あああっ」
俺の声に興奮したみたいにゲドがますます俺を攻め立ててくる。
男の時にゃこんなことされてぇとも思わなかったが、今ココを弄られると俺は弱い。
それを知っててゲドの奴はしつこく指とか舌とかで弄くってくるんだ。
「あっ、は、はぁっはぁっ・・・や、もぅ・・・っはァ・・・ァ」
息切れするように俺の息が荒くなってくる。
苦しい息の合間にゲドをちらりと見下ろせば、無心に俺の女の胸に顔を埋めている様子。
・・・なんて光景だ。
畜生、悔しいけどこの瞬間俺は滅茶苦茶興奮しちまう。
淡白そうなゲドが俺の体を愛撫してるその様子が、鳥肌立つほど感じるんだ。
男の時、しゃぶらせたあの瞬間と似てる気がする。
その興奮とゲドが俺の乳首を刺激する感触が混ぜこぜになって思わず腰が浮いた。
「今・・・軽くイったな」
「っ・・・うっせ・・・んなの、あっ、わかんね・・・んン・・・っての・・・!」
くそ、嬉しそうな顔しやがって。
今ので俺は死ぬほど苦しいっつぅのに。
くたりと力が抜けてぜいぜいと肩で息する俺の息がひゅっと詰まる。
「っ!おい・・・っちょっまだ、あっあっ・・・あはァァァ・・・っ」
意地の悪い舌が腹を軽く掠めたかと思えば、ゲドの奴俺の脚を抱え上げて俺の体を折り曲げやがった。
膝が胸に当たる体勢で苦しいくらいだがそんなこと構ってられねぇ。
物凄ェ恥ずかしいんだ!
この体勢は!!
「あっあっ・・・や、やめ・・・はァ・・・ん、んァ・・・あぁぁ・・・」
こんな明るいところで全部見られながら舐められるなんて。
嫌な筈なのに、畜生、俺の口からは悦がるような声しか出やしねェ。
――くちゅくちゅ。
卑猥な音を立てながらゲドの舌がぬかるんだ俺の奥に入り込んできた。
ぬるりと蠢くその舌に俺の腹が震える。
「あっ、くゥ・・・ん、んん・・・っあ、はぁはぁあ・・・」
指先が焦れったく俺の割れ目の肉をなぞるが、俺が欲しいのはそこじゃない。
だけど口で言えるわけがない。
「や、もぅ・・・っゲド、ゲド・・・っああぁぁ・・・っ」
舌がいやらしい動きで俺の中をうぞうぞと動いている。
無意識にゲドの髪に指を絡めてしまった。
これだけでバレちまったんだろうな。
どれだけ俺が欲しがってるか。
そうっと俺から離れて、べっとりと口の周りにまとわりついた俺の粘液を拭うゲドは。
いやらしく目を細めて俺を見た。
「入れて欲しいか」
まさにそう思ってることを知っててわざと聞いてきやがる。
ここ1ヶ月でこいつの性格の悪さを痛感している俺は、しかしそんなに簡単に素直になれもしないから。
ゲドが面白そうにぷっくりと尖った俺の芯を指先で弄ぶ感触に耐えながら視線を逸らす。
「・・・っぅ」
僅かに残った自尊心が、手で口を覆わせる。
だけど荒くなる呼吸までは止めようが無かった。
「ふ・・・ん、ぅう・・・は、ァ・・・っ」
ぐりぐりと芯を押しつぶすゲドの手は一向に休まらない。
気持ち良すぎて涙が滲んできやがった。
歪みだす視界の先のゲドは、意地悪く目を細めて薄ら笑いを浮かべながら。
「・・・早く言ったほうが楽になれると思うが」
「・・・うっせ・・・は、てめ・・・のなんか・・・いらね、あっぅ・・・」
「そうか、俺の指が好みか」
――ぐじゅ・・・っ
「あっあ・・・!あぁぁっ」
ぐちゃぐちゃと俺の濡れまくったソコを掻き回された。
「ではその口で言えるまで俺の指で可愛がってやる」
「なっ・・・!てめ、あっあっ・・・やめ・・・あァ、あンっ、やぁぁぁぁっ・・・!」
畜生畜生、ストイックな顔したサディスト野郎!!!
ごつい指先が俺の中を出入りするが、所詮物足りずもどかしい。
悔しいくらい躾けられてしまった俺の体。
恐らくこの肌の花弁が消えない限りずっと、俺はこいつに心地よくも屈服させられ続けるんだ。
「ほら、どうした?好いだろう」
「あっあっ、はぁぁぁ・・・んっ、くそ・・・あっ、くぅ・・・ン・・・わか、分かった・・・だか、あ、止め・・・っ止めろ・・・っ」
「もう降参か。・・・どうして欲しいんだ」
ぬるりと濡れた指を舐めながらゲドが離れる。
良い様に喘がされた俺はベッドに沈み込みながらゲドを睨んだ。
嗚呼畜生、悔しい。
今までその位置にいたのは俺だったのに。
そうだ悔しいんだ。
だから今俺が奴に請おうとしていることも、気持ちよくなんかない。
この体中の花弁がなくなる日が来なければ良いなんて、そんなの気の迷いにすぎないんだ。
こいつにペースを乱されてるだけだ。
そうだろ、俺。
言い訳じみた言葉を自分に言い聞かせながら、俺は口を開く。







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あれ?終わり?と思った人挙手願います。・・・はい。自分が一番そう思ってます。
だって長くなっちゃったんだよ。ビエーン。・・・泣いても許されません。
それにしてもやべぇですよ。デュー子めっちゃ楽しいです。
ていうかゲド喋りすぎで別人。すいません。やっぱお相手エースにすりゃぁよかったかと猛後悔中(女好きだし)
ゲド受の人ごめんなさい。昔はうちもそうでした(汗。
でもいいよね、女を抱くゲドって・・・(ニヤニヤ。
実はエース×デュー子も書きたいです(死。ゲドと取り合うのね。エース勝てるか!?
エー子(と書いてえーすと読めないだろうか?)はどうでしょうか。個人的にゲド子があんまり見たくないので・・・。女体化はエース、デューク、ヒューゴの誰かで。