夜ツメを切ると…    教会長
 

 「夜ツメを切ると親の死に目に会えない」「夜、口笛を吹くと蛇が出る」など、昔からの俗信は、数え切れないほどある。これは、子どもにしてはいけないことを簡潔に伝えるための、方便と思われるものがとても多い。また、「仏滅」「大安」「友引」などの「六曜」も、日本に広くはびこる迷信の一つで、前述の俗信と同じく、全く科学的根拠がない。

 このような、科学的根拠のない「迷信」「俗信」は、現代でも生まれ続けている。そして、私たちは、情報の洪水の中、ことの真偽を見極める判断力を持たねばならない。

 ところで、「あなたの血液型は何型ですか?」と聞かれたことはどなたでもあるだろう。その際、みなさんは医学的な見地から訊ねられたと思う方はどのくらいいらっしゃるだろうか?実は、この「血液型」に現代の迷信が見え隠れする。

 近年、血液型による占いや、性格判断がはやっている。若い世代には特にもてはやされているが、問題なのは、何年前かは忘れたが、就職・雇用の際「血液型差別」にまで発展したことである。「俗信」=社会的影響が小さい、科学的根拠のない民間伝承のうちは、問題ないのであるが、「迷信」=社会的影響が大きい、科学的根拠のない事象になるとややこしい。

 これだけ科学が発達している現代に、今さら「迷信なんて…」と思われるふしもあるが、昨今騒がしくなっている「新型インフルエンザ」の情報にも注意したい。科学的根拠に基づいた情報を正しく受け、冷静に対応していかねばならない。

 今から150年前に、この道を開いた金光教祖は、迷信の打破を多くの人に説いた。江戸時代〜明治初期の、未だ科学の発達も熟していない混迷の時期に、「疑うならば、鬼門の方角へ家を建ててみよ。神が叱らないと言ったら、叱りはしない。臆病を去れ。おかげをやる。」「だれでも、生まれる日と死ぬ日とは自由にならないのに、生きている間だけ、日柄とか何とかと言う。どのような所、日、方角も、人間に都合のよいのが、よい所、よい日、よい方角である。日柄方角などで、神が人間を苦しめることはない。」と教えている。

 今の科学の発達をありがたく受け止め、その中で、私たちをまる生かしにしてくださっている天地金乃神様へのお礼を、今日の天地金乃神大祭でしっかりと申しあげたい。

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