徒然なるままに     近藤 佐枝子

 皆さんは、「アクアリウム」というものをご存知だろうか?1年ほど前、ある店で見かけたもので、私が見たものがそういう商品名だっただけで、正式な名前は違うのかもしれないが…。そしてそれをまた雑誌で見かけた。1年前に見かけたときは、きれいだなとかほしいなとか思っただけだったが、今回は別の思いがおこった。

 それは、小さな密閉された水槽である。中に少しの小石、水、藻、小枝のようなものが入っている。そしてそこに小エビが泳いでいるのである。密閉されているから、水を替えることはできない。替える必要はない。それでも小エビは生き続ける。

このしくみは、藻が光合成をして酸素を生み出す。と同時に、小石の中にバクテリアが生まれる。そのバクテリアを小エビが食べ、小エビの排泄物をバクテリアが食べ、水を浄化させながら、バクテリアも増えていく。そして、小エビが吐き出した二酸化炭素と日光によって、藻が光合成をするという繰り返しでなりたっている。この小さな生態系が崩れることなく、続いていくということに感動を覚える。

これは、絶妙なバランスで成り立っている、天地のお働きそのものではないかと思う。人工的なものの中で、それを感じるのは、なんとなく皮肉なような気もしないではないが、こういうものが売り出され、流行っているという今、その美しさに感動するのと同時に、天地のお働きに思いをはせ、感謝することも大切なことだと思った。

 

話は変わるが、先日「愛と死をみつめて」というドラマを見た。今さら内容に触れることはやめておくが、死をも考えた主人公の生きる糧になったことは、「人のお役に立つこと」だったということが、心に深く残っている。直情的で子供のような彼氏を叱咤激励すること、そして一緒に入院している患者さんの世話をすること…。誰かのお役に立つことができると実感することが、どんなにか生きる力になるのだということ、生きがいとなりえるのだということを、教えてもらった。

 

四月から長男が中学に入学する。私も、そして子供たちも思い、そして感じていきたい、感じていってほしいと思うことをつらつらと書いてみた。

                   

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