小さないのちの躍動に感動  教会長

  5月の末、6年以上の長き年月、うちの家族の一員たちであった、三匹の亀が、強烈な夕立のどさくさで脱走した。
 この亀たちとの出逢いは、二男が小学校へ上がった頃であろうか、それまで飼っていた大きなイシガメ一匹が、やはり脱走したことからだった。そのことを二男が大変寂しがり、泣いていたのが今でも印象に残っている。ふびんに思った副教会長が、ホームセンターでたまたま見つけたクサガメの赤ちゃん三匹を買ってきたことだった。
 前の大きなイシガメとともに、この三匹も今頃は名張川で悠々暮らしているのやろうかと、無事を祈りつつ、主のいなくなったベビーバスは、空虚になってしまった。さすがに今回は二男も泣くことはなかったが、暖かくなるとエサを求めてたらいの縁に口を開けてしがみつこうとするカメたちを思い出すと、私が寂しくて仕方なかった。

 6月の月例祭がすんだ後、前のカメを飼った同じホームセンターのペットショップに行くと、それはそれは愛らしい二羽 の背黄青鸚哥=セキセイインコの雛鳥がこちらを向いて、かわいらしい声でさえずっていた。これも運命の出逢い(大袈裟ではあるが)どうしても欲しくなってしまった。副教会長に相談し、飼うことにした。それはそれはまことに愛らしく、今まで寂しかった玄関に、大きな癒しを与えてくれている。

 5月に生まれたばかりのひな鳥で、まだオスメスの区別もできない中、長男が「黄色いのは『キウイ』、青色は『ブルータス』」と名前を付け、二男ともどもとてもかわいがって、世話をしたり遊んだりしてくれている。実は私自身、生まれて初めて小鳥を飼った。カメはほったらかしにしておいても平気な動物だが、インコは毎日世話をしてやらなければならない。また、遊んでやるのも大切な日課なのである。日に日に成長し、知恵がつく二羽を見つつ、小さないのちの躍動を今まで以上に感じられるようになると同時に、道を歩いていても、今まで何も感じることがなかった小鳥のさえずりや動きに興味を持つようになった。

 名張駅の改札口真上に、毎年つばめがやってきて、親鳥がヒナの世話を一生懸命している。今年のヒナたちが元気に巣立ってくれるように、うちのインコの健康とともに祈らせていただいている。

                              「和らぎ」バックナンバーへ