幸せを感じる心を手に入れる   副教会長
    

 小説家の伊坂幸太カさんの短編に「フィッシュストーリー」という作品がある。「フィッシュストーリー」とは「ほら話」「大げさな話」という意味がある言葉だが、この作品は素敵な人間賛歌であって、本来とは真逆な意味での壮大な「ほら話」(と言っていいのかな?)が展開されていく。
 私はこの話が大好きで何度も読み返しているし、映画化もされているのだがそれを何度も観返している。

 内容は、ある出版されなかった小説のワンフレーズから始まる。それを使った解散寸前のバンドのヒットしなかった曲が人を救い、救われた人の子どもがまた人々を救い、人を救う連鎖がおき、最後には全人類が救われるといった話である。
内容としては「フィッシュストーリー」という題名である以上、「そんなわけないだろ」といった感じで笑い飛ばしていいものなのだと思う。
ただ、ひとつひとつの出会いやエピソードがさりげないものであったとしても、また、人間的に見てマイナスのことであったとしても、どんなことにでも意味があるということ。そして、自分の思いや行動が前向きであったり、人のために動いたりすることが、いい形で繋がっていく。そんなことを感じた。

ロックボーカリストの甲本ヒロトさんの言葉に、「幸せを手に入れるんじゃなくて、幸せを感じる心を手に入れるんじゃ。」というものがある。
とても素敵な言葉だなと感じるとともに、幸せを感じる心ってそんなところにあるんじゃないかなと思った。起こりくるどんなことにも意味があると理解して、それを前向きにとらえていく。それが幸せを感じる心に繋がるような気がする。
色んな人が幸せを感じる心を手に入れたら、後々「フィッシュストーリー」のように素敵な連鎖が起こるかもしれないと思った。

 

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