名張市のために  教会長
  

 先月23日、名張市宗教者連帯会主催で、金光教羽曳野教会長、渡辺順一先生をお招きして「こころの時代 宗教が果たす役割」と題して講演会が実施されました。渡辺先生は、大阪市西成あいりん地区に住む日雇い労働者や、ホームレスの人々への支援活動を通して、故郷や家族とのつながりを失った多くの人々がここに集まってくることを知り、彼らがもとめる「人や地域とのつながり」を作り上げる役割を、宗教者が担っていく可能性を模索しておられます。

 つながりを失った人=無縁社会にいる人々は、大都市に住む人だけに限っているわけではなく、例えばDVを逃れてきた母子、刑期を終えて刑務所を出所した人々、幼児期にネグレクト(育児放棄)に遭い、施設に預けられて成人後に卒所した人、引きこもり、発達障害や知的障害を持つ人など、多岐にわたって存在し、その多くは仕事をしたくてもできず、貧困に苦しんでおられます。
「無縁社会」には、「つながりたい」「自分の存在を認められたい」「自分が変わりたい」という欲求が渦巻いていて、それがねじれた形で表れると、集団での暴動や無差別殺人などが引き起こされます。

 渡辺先生のグループで結成された「羽曳野希望館」では、生活困窮者自立支援法に基づいて、大阪府と連携し、限界集落への訪問や緊急食の支援、また困窮した人々への「シェルター」の運営を中心に、活動を展開しておられます。
そして「これからの時代、宗教者は『人はみな神の氏子』という観点から、家族に代わる『誰でもいい誰か』として、支援する手立てを考えていかなければならない」ということと、「宗教施設は、信者だけの助かりだけではなく、多様な人々に開かれた『魂のシェルター』となりうる力が秘められている」とお話くださいました。
 
今回、この講演会を通して名張市に金光教の教会が存在し、地域のために開かれ、お役に立てる教会として願われていることを強く感じました。他宗教の方とも協力しあって、ますます地域に貢献できる活動を見出していけたらと願っています。



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