めざすもの     教会長

先日、学校である先生と他愛のない会話を交わしていた時、高校生に何を伝えたらいいのだろうか、という教育論になった。その際、その先生がおっしゃったことに、深く感銘を受けた。その言葉とは、

 「俺はなあ、ここを卒業していく全員が、将来納税者になってくれることが願いやねん。」
私自身、今まで考えもしなければ思いもよらない言葉だった。でも深い言葉やなあと、改めて思い返した。
今、国民が何かしら疲弊している。経済状況は一向によくならない。でも生活が楽にならないのは、すべて社会のせい、他人のせい、政治のせいにしてすまそうとしていないだろうか。しかし実際、これだけ不景気が続く世の中、納税どころか、職に就くことすら困難を極めている人々が、数多くいる。豊かになったはずの日本、本当にどこへ行ってしまったのだろう、と思うことしばしばである。
 
 できれば払いたくない、と思う税金も、よくよく考えると払わせていただける状況にあるからこそ、払えるのであって、これは感謝せねばならないことなのだと思った。所得税はむろんのこと、日々の買い物で支払う消費税にしろ、買い物をさせていただけるからこそ支払えるのである。つまり、「納税させていただけてありがとう」なのだ。
もちろん、納税者である以上、それに見合う行政サービスも受けることは、当然の権利であるが、同時に他の人を助けるはたらきとなれていることにも、ありがたく思わせていただけるのだ。

 同僚の先生の言葉を聞き、私も、受け持つ生徒みんなが納税者となり、豊かな国づくりの一員となってもらえることを願い、そしてなにより、社会のお役に立つ一人ひとりとなって、各界で活躍してくれるようになることを祈ってやまない。さらに、「人を大切にできる」「すべてお世話になるもの、人にに感謝のこころを持って接する」大人になってもらえるよう、願わせていただいている。

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