これからの時代は「聞く宗教」  教会長
  

  平成24年6月、宗教文化教育推進センターから「宗教文化士」という認定資格試験を受け、合格しました。これは、このセンターがある國學院大學の井上順孝教授が提唱してできた認定資格で、日本や世界の宗教の歴史と現状について、専門の教員から学んで視野を広げ、宗教への理解を深めた人に対して与えられる資格です。期限は5年で、私は7月に更新期限を迎え、資格更新のレポート試験を受け、無事更新合格させてもらい、永久資格の「上級宗教文化士」に認定していただきました。

  センターとのやりとりの中で、8月16日に東京工業大学で「現代の社会と宗教1995〜2017」というシンポジウムが開催されるというお知らせをもらいました。パネリストには中島岳志教授、テレビでおなじみの池上彰特命教授、12年前に、金光新聞の対談取材でご一緒させていただいた弓山達也教授、5年前に金光教大阪センターで講演された上田紀行教授と大変興味ある顔ぶれに惹かれ、0泊2日の強行東京ツアーを決行しました。会場に早めに着きましたが、250席ある教室はほぼ満席に近い状態。結局800人近い方が参集し、モニター会場を3つ増設するほどの盛況でした。

  それぞれの先生が研究成果や考察を述べられる中、上田教授(ちなみに奥様はNHKの竹内陶子アナウンサー)が話されたことが印象に残りました。

  「個を集団の中にからめとる私たちの社会の中で、いかに個の救いを取り戻すことができるか考えることが大切」とし、「今までの仏教が、人の顔を見ない『説く仏教』だったら、一人一人の苦しみを個として救う『聞く仏教』に変わっていくべきではないか」という話でした。 これぞ、まさしく金光教の「取次」という救済方法ではないか!と思わされたお話でした。

  支えを失った若者が、かつての過激派組織やオウムに走ったり、ISに志願することは、「生きづらさ」の時代の象徴で、「死ぬかもしれない」と自分を追い詰めることで、生きる意味を見つけようとする行為だと、中島教授がおっしゃってました。戦火から逃れる難民は決して自殺しない。生きることを渇望する。平和になると自殺者が出る。皮肉な世の中やなあと思わされました。

  約3時間半のシンポジウムは、あっという間でした。閉会後、弓山教授と12年ぶりの再会をしました。教授もよく覚えていて下さり、ありがたかったです。その横にいらっしゃった池上教授、上田教授ともごあいさつをすることができました。まことに有意義な会に参加することができ、大変ありがたかったです。機会があれば、弓山教授や池上教授のお話を紹介できればと思います。 


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