神はからいのままに   教会長

 昨年7月、母が腰とひざを痛めて歩行困難となり、病院へ入院することとなった。
車いすが手放せなくなると同時に、治癒が見込めないため、早期に退院を勧められた。しかし退院しても教会での日常生活は難しいということから、早々に高齢者施設への入所を考えていかねばならなくなった。とはいえ、そんなに都合良く入所させてくれる施設が見つかるとは思えないし、困難を極めるかに思えた。神様にご都合お繰り合わせを願いつつ、普段母の面倒を見てくれている小阪教会長や姪、東京の姉とも相談していく中で、教会からほど近い場所に、開所してまもないサービス付高齢者住宅(以下、サ高住)に、3ヶ月限定で入れてもらえることとなった。サ高住とは、ワンルームの賃貸アパートと同じ扱いの、3食の食事やヘルパーさんによる訪問介護、入浴介助サービスなどがついた施設で、最近急激に増加している。24時間、安心して高齢者が、相応の自立した生活できるように支援してもらえるのであるが、相応の経済的負担がかかる。

 3か月で次の施設を決めなければならない中、名張の信者さんの助言から、教会の近くにある老健施設に相談に行った。母の状態なら、特別養護老人施設(以下、特養)も考えねばと頭の中によぎった。相談員さんに母の状態を説明すると、「うちの施設でもよいですが、お母様の状態では、もっと自立生活ができる施設の方がよろしいですよ。近鉄青山町駅の近くに、最近オープンした『サ高住』があります。施設内にデイケアサービスも付設していて、リハビリもしてもらえますよ」と教えてくださった。その日のうちに紹介してもらった施設へ行き、状況を話すと、部屋も空きがあり、すぐにでも入ってもらえますという返事をいただいた。母の移動のことや、今までと環境の変わる場所で大丈夫だろうかという心配もあったが、10月末には今の施設を出なければならないし、お繰り合わせだけをお願いして引っ越してもらうことにした。都会とちがい、空気はいいし窓からの眺めもよく、何より施設の方や入居されている皆さんもとても親切でありがたかったし、名張の近くに母が来てくれることも、ありがたいことだと思った。

 リハビリの効果があったのか、トイレや着替えは難なく自力で行えるようになった。また月一度通院のため、名張まで車で送迎していたが、車いすから自動車への乗り換えも、少し手を貸せばスムーズにできるようになった。元日には、名張の元日祭に参拝し、お正月を一緒に過ごせ、3月には、上野の奥城参拝にも連れて行くことができた。

  しかし、前述のとおりサ高住での負担は大きいし、母が元気になっていくことを願う中、今の状態で特養には入ってほしくないと思っていた。青山町に移る前後から、片江教会の山田一郎先生に、母のことを相談していると「東大阪にはケアハウス(軽費老人施設)があり、市民なら入所できますよ。ただ、すごい人気だから、早めに申し込んでおいたらいい」と助言くださった。
 3月初め、そのケアハウスから「5月初旬から入居してもらえる可能性が出てきました。とりあえず、お母さんと直接面接したいので、連れてきてもらえますか」と連絡をいただいた。日帰りで名張と東大阪の往復、大丈夫だろうかと心配したが、往復の道中、一度も体調不調を訴えることなく、面接もそつなくこなしてくれた。
 4月初めに「お母さんにお越しいただいてもかまいません」とお返事をいただき、4月30日に、再び小阪教会の近くへ帰らせてもらえることになった。

 1年足らずのあいだ、色んな困難な問題に直面したが、流れるように解決していくことに、恐ろしささえ感じた。母の信心の徳が、こんな形で現れるのかなあと思うとともに、私の祖父母、父、さらには兄の介護までし続けた母を、みんなが守ってくれているのだなあとつくづく感じさせられた。
 さらに、ここには書き切れないが、それぞれの施設でお世話になったケアマネージャーさんと、信じられないような人のご縁があり、神さまのはからいのすさまじさに畏れ入りましたとしか言いようがない今日この頃である。私はもとより、母をとりまく皆さんがお繰り合わせをいただくようにと日々お願いしているが、願い以上のおかげをこうむり、ほんとうにありがたい。これからもますます母に元気で長生きしてもらいたいと切に願っている。



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