家業の行   副教会長
 
  八月に比叡山に参拝させていただいたことは前にお話ししましたが、先日、信者さんに教えていただいて「鶴瓶の家族に乾杯」という番組をみました。その回は鶴瓶さんと俳優の佐藤健さんが大津を旅するというものでした。佐藤さんは比叡山の阿闍梨さんに会って話を聞きたいという願いの元、様々な比叡山の関係者の方々とお話しながら進んでいきます。最終的に佐藤さんは、カメラ等がなしならば、ということで阿闍梨さんと会うことができました。

 当然のこと、その様子は放送されていませんでしたが、最後に佐藤さんと阿闍梨さんの二人で撮った写真が公開され、そして阿闍梨さんから佐藤さんへのメッセージがアナウンサーの方の代読で読まれました。そのメッセージは天台宗の教えを引用して、自分の居場所を大切にして下さいというものでした。
 私はそれを聞いて「家業の行」を思い浮かべました。家業を行として実意丁寧に勤めることと、居場所を大切することを心がけるということは同じ意味を持つように思えたからです。そしてそれが、人や物や心などすべてのものを大切にするということにつながると思いました。

 究極の表行である千日回峰行を成就され、今もご修行中である阿闍梨さんが佐藤さんに、そして視聴者の方に、伝えたかったことが心行に通じることであることに驚いたのと同時に、それを私たちに伝えて下さっていた教祖様に本当にありがたいと思いました。
最後佐藤さんを阿闍梨さんの所に案内されていた住職さんが、自分の仕事は文字通り住むことだとおっしゃっていたのがとても印象的でした。その方のご奉仕されているお寺が映っていましたが庭などとてもきれいに整えられていて、改めて家業の行ということの大切さを思いました。

八月に比叡山にお参りさせていただいた時の「修行中につきお静かに願います」の立て札に感じた小さな違和感が、今回の番組をみて消えたような気がします。あの参拝がきっと今まで続いていて、この番組をみたことでやっと終了したのかもしれません。
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