今こそ「いのち」の教育を   教会長   


 それにしても、昨今起きている事件に、背筋が凍る思いをしているのは私だけではあるまい。
 親を殺害するために自宅に放火する少年。利害関係のもつれから友人を生き埋めにする。あげくのはてには、友人にお金を渡して自分の母親を殺害させる少年など、挙げればきりがないが、この種の事件が連続して起きていることにとても不安を感じる。
それに加えてもっと恐ろしいのは、この種の事件が起きても、「ああ、またか」と思う感覚が世の中に渦巻いていることだ。今日もこの原稿を打っている最中、岡山市で小学6年生の男子児童が同級生をナイフで刺すという事件が耳に入った。もうどうなっているのか。

 今日、生徒たちに「私が生まれた奇跡」という隠しテーマの話しをした。私は、相田みつをさんの「命のバトン」という詩が好きだ。この中の「20代前のご先祖は、100万人を超すんです。」というフレーズに惹かれる。
自分の命は先祖からつないでもらって存在するものである。父母で二人。祖父母で四人。曽祖父母で八人。これだけでも合計十四人になる。この誰一人かけても、今の自分は存在しない。にもかかわらず、曽祖父母の名前八人全員の名前を言える人って、どれぐらいいるだろう。その先を考えると…、気が遠くなるくらいの人数のご先祖が、今の自分のために命をつないできてくれたのである。お墓参りの大切さ、先祖を尊ぶことの必要性をこのあたりから認識し、さらに奇跡的な確率でこの世にいる自分の命を大切にすること、同じように存在する、他の人の命を大切にすることを、今の若い世代に理解して欲しいと願っている。
 
 私たちが生まれながらに神様から与えていただいた「神心」とでもいうべき、「いたわり」「優しさ」といった心をいつでも発動できる人がひとりでも多くなることを祈りつつ、「命を大切にする」というテーマの話をし続けたいと、心から感じる今日この頃である。

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