心温まる報告        近藤 正明

 

 一昨日(平成23年11月1日(火曜日)のこと、高校2年のある女子生徒が「このあいだ、先生の授業で聞いた『子どもの誕生日は、親になった記念日』のお話を、そのままお兄ちゃんの誕生日の日にお母さんに伝えたら、お母さんめっちゃ喜んで、このことをMBSのラジオに投稿したんです。そしたら、今朝読んでもらえたんです」と報告にきてくれました。私もとてもうれしくなり、その内容を知りたいと思い、ラジオ局(「MBSラジオ」の『朝からてんコモリ』という番組の中の『朝イイ話』というコーナー)のHPを開いたら、その投稿が掲載されていました。

 以下に転載させていただきます(毎日放送さん、無断転載を許してください)。

■「寂しくて、うれしい誕生日」 東大阪市 会員番号2010 RN「きちぼんきち」

 先週金曜日は予備校に通う長男の19歳の誕生日でした。
小さいうちは、ホールのバースデーケーキとちょっぴり豪華版の食事で家族揃って誕生日を祝っておりましたが、高校生の頃から本人も部活等で忙しく妹たちも塾などで遅かったりとかで、だんだん”特別の日”という感覚ではなくなっていました。
それでも、一緒には食べられなくても食卓に好物を並べることは続けていて、この日も仕事を終えてから慌ただしく準備し、上の2人は帰宅が遅いので下の子と先に食べていたところ長男から、『友達と食べて帰るからご飯いらんわ』とメールが届きました。
友人と食事してくることは時々あったので、それ自体は全く構わないんですが、誕生日だからといって、特別なんとも思わなくなったのかなぁ…と思うと、また少し大人に近づいたと言うか”あぁ、もう子どもじゃないんだなぁ”と、何だかちょっと寂しくなってしまい、片付けを済ませ食卓でぼーっと座っておりました。
 程なく、真ん中の子が学校から帰って来るなり、かばんを置いてすぐ、妹と何やら目配せをし2人でそばまでやって来てこう言ったんです。
『お母さん、今日、お兄ちゃんの誕生日やね。でね、私、言いたいことがあって。今日がお兄ちゃんの誕生日ってことは、お兄ちゃんが一番年上の子どもで19歳やから、お母さんも”お母さん”になって19年ってことで、お母さんにとっても記念の日で、何ていうか、おめでとう!…って、イヤそれは違うか…うーん、なんかヘンなふうになって上手いこと言われへんけど、19年もお母さんを頑張ってずっとやってくれてありがとう。それってすごいと思う。来年で20年やで!』
 たどたどしい話し方で、はじめのうちは何が言いたいのかよく分からなかったんですが、途中のありがとうの言葉に、思わず涙がこみ上げて来ました。
(ひとり親の道を選んでからは、子どもの前では極力涙を見せまいと思って来たけど、母の日に続いてまたやられてしまいました)
 後で話を聞くと、授業で先生が、『みんな自分の誕生日は祝ってもらって当然と思ってるだろうけど、同時に両親にとっても親になって○年という記念の日でもあるんだよ』というようなお話をされたようで、長女はその話にいたく感動して自分も絶対伝えようと決めていたようです。(若干照れくさくて妹を道連れにしたようですが・笑)
こちらこそ、こんなに優しい子になってくれてありがとう。これからも時々ケンカしながら
一緒にがんばろね。そう言って、激しく嫌がるふたりを半ば羽交い絞めな感じで、何年か振りにハグしちゃいました!
この日は親としての少しの寂しさと大きな喜びが同時に訪れた、忘れがたい日になった気がします。■


私自身、授業では偉そうなことを言いながら、照れからか、なかなか自分の母に伝えられないもどかしさ。でも彼女はちゃんと、自分の母に話してくれている。本当にうれしく心が温かくなりました。



 ひとりごと目次へ       「和らぎ」バックナンバーへ