大阪生まれのプロ野球ファンとして
  〜30年間阪神ファンやっててよかったなあ〜
    その2

 さて、あの阪神タイガース日本一の感動から18年経った平成15年2月、テレビで安芸キャンプ、そしてオープン戦を見ているとき、今年の「今年こそ」はほんまもんの「今年こそ」ちゃうやろか?と思いました。選手の背中から発せられる、目に見えないオーラがすごいんです。「優勝できなくても、最後まで争ってくれるにちがいない。」予感は的中しました。

  今年は甲子園・大阪ドームに足を運ぶこと6回。観戦成績は4勝2敗でした。今年はどの阪神ファンに聞いても、「俺が行ったら阪神負けへんで」とのたまう輩が多かったそうで(笑)。多聞に漏れず、私もそんなこと言ってた内の一人です。その私が今年観戦した試合で忘れられないのは7月2日の対中日戦。仕事を終え、友人と甲子園にたどり着いたのが6時15分頃。スタンドにはいろうとする直前に大歓声。はやる気持ちを抑えきれずにスタンドにかけあがると、二回表の守備につこうとする阪神ナインへ、場内総立ちで「桧山」コール。そう、桧山が一回裏に、先制ホームランをたたき込んだのでした。これがドラマの幕開けでした。「今日は間違いなく勝つ」試合中には、トラッキーが投げたボールをダイレクトキャッチ。これには一緒に来た友人もびっくり。私もびっくり。お金で買うことができないおみやげをトラッキーからもらいました。その時、桧山はすでに3安打。あと三塁打を打つとサイクル安打です。打席には桧山。「今日はボールももらったし、桧山三塁打打ちよんで」って言うや否や、桧山の打球はライトフェンス前を転々。あっという間に三塁へスライディングした桧山は、見事にサイクル達成。もう涙があふれて仕方ありませんでした。スタンドは大歓声で騒然。「幼い頃から何度も来ているけど、こんな甲子園初めて」って感触でした。この甲子園での声援は、本当に世界一の声援にちがいありません。試合も14対3で快勝。この日、心の中で「30年間阪神ファンやっててよかったなあ」ってつくづく思わされました。

 9月15日、この日はテレビで赤星選手のサヨナラヒットを見ました。このときも感涙があふれて止まりません。その後私は外出する用があり、ビデオをしかけて行きました。自宅から「優勝決定」のメールが届いたのは7時半を少し回った頃でした。はやる気持ちを抑えながら、用事を済ませ、一目散に家に帰りました。この日は何度涙を流したでしょうか。夜中遅くまで阪神優勝の特番を見て、赤星のサヨナラの瞬間。星野監督の胴上げのシーンが出てくるたびに目頭が熱くなってくるのです。今年の私のキャッチフレーズにもなりつつある「30年間阪神ファンやってて、本当によかったなあ」を痛感した夜でした。

 10月に入り、私に幸運の女神がほほえんでくれました。「日本シリーズ行きたいなあ。でも切符なんてとれるわけないわ。」などと思いつつ、なんと、第3戦と第5戦、甲子園での2試合を観戦できる機会に恵まれました。卑屈にも私は心の中でこう思いました。「世の中の読売ファンは、逆立ちしても甲子園で日本シリーズを戦う読売ナインを見ることはでけへんのじゃ。日本シリーズを本拠地として甲子園で戦えるのは阪神だけ。その応援が出来るのは阪神ファンだけ。ああ、30年間、阪神ファンやっててよかったなあ」

 この阪神ファンのスタンドでの応援は、いまだかつて見聞きしたことがないほどのボリュームでした。前述の桧山選手のサイクル達成の時に比べ、数段にボルテージが上でした。何にも形容し難い数万人の絶叫。第3戦目は、雨で一日順延になりましたが、開催日の10月22日は、私の38回目の誕生日と重なったのです。なんという神計らいでしょう。われを忘れて応援をしました。結果は藤本選手のサヨナラ犠打。またまた涙でグランドがかすんで見えました。その夜から声が嗄れて、翌日悲惨な声で授業をしていました。

 第5戦目、この日は右翼外野席での応援。私は何年かぶりに、甲子園最高のエキサイティングスタンド、ライト外野に来ましたが、やはり阪神の応援は、一度はここを体感しないといけません。5万人以上の阪神ファンが一糸乱れぬ応援のツボを見ることができるからです。ここの応援団リーダーから、スタンド周囲にサインが送られ、「かっとばせ」「とつげき」「タイムリー」「ここまでもってこい」などの、コールがわずが数秒で全体に伝わり、鳴り物のリズムタクトがここを中心にとられていくのです。このエリアだけでも10000人近い人がいるのに、まったくずれのない、まとまった声援が送られるのには本当に感動します。「こんなん、ゆっくり野球みるとこちゃうで」など批判する方もいらっしゃいますが、一度この世界に入ると抜け出せなくなりそうです。窮屈でお尻が痛くて、通路はこぼれたビールでぬれて荷物を置くこともできなくて、阪神の攻撃の時は座って観戦できないのですが、すべてのマイナスが「感動」によってプラスに転じます。この日も桧山選手がやってくれました。またまたあふれ出る涙。周りの人たちとはずっと昔から一緒に阪神を応援していたような錯覚に陥ります。抱き合う人。そこら中で握手握手。美しい光景でした。

 甲子園最後の星野監督の勇姿を見届けることができ、思い残すことはありませんでした。日本一になることを信じて6,7戦を応援しましたが、そのフラッグはダイエーにわたりました。悔しかったけど、私は大満足でした。

 今年の応援を通じて、私はいろんな発見ができました。甲子園の阪神ファンはマナーがよいこと。チームのキャッチフレーズでもありましたが、どんなことでもあきらめずに努力し続ければ、結果はついてくること。それと「阪神ファンでよかった」こと。最後にもう一度「30年間、阪神ファンやっててよかったなあ」(^o^)