絵本の扉をひらく ー絵本の楽しさを子どもたちとともにー 2004.3.13
子供と本とおとなをつなぐ講演会【おはなしリレーinなばり・絵本の扉を開く】
名張子どもの本の連絡会(代表:高見紀久世さん)主催が、3月13日(土)名張市美旗市民センター・2階ホールで開催されました。
講師の正置友子(まさきともこ)先生は、梅花女子大学(絵本学)で教壇に立たれ、『戦後60周年子どもの本・文化プロジェクト』の代表も努めておられます。
とてもすばらしいお話を、ありがとうございました。

正置友子先生、講演の模様

絵本好きですか?好きな絵本がありますか?
子どもと一緒に絵本を読んだことがありますか?
子どもと一緒に絵本の扉を開いてみましょう。
子どもと絵本を読むこと、それは、子どもと感動を共有することです。
絵本の部屋
とんちゃんも参加(笑)

声に出して、読んでみましょう。
俳優さんのように、アナウンサーのように上手に読む必要はありません。
それよりも、どの絵本を読むかのほうが大切です。
あなたが子どものために心をこめて選んだ一冊の絵本を、
心をこめて読んであげることのほうがずっと大事です。
絵本は、いくつになっても楽しめるものです。
子どもでも、おとなでも。
絵本は多様であり、大きな広がりと豊かさ、深さを持っています。
おとなであるあなた自身が、まず絵本に出会ってください。

絵本は本という物です:大きさ、厚さ、重さ、形、デザイン、色彩、絵、紙質、装幀
     → 絵本は文字を読むだけではなく、1冊全体を楽しむものです。
絵本の構成:表紙ー見返しー扉ー本文ー見返しー裏表紙から成りたっています。
     → 絵本は、表紙から、裏表紙まで、全部まるごとを楽しむものです。
絵本は「めくる」という行為で展開します。
     → 絵本の「絵」は、文字が読めない人(子ども)の助けのためにあるのではありません。
        日本では文字(読み書き)を重視するあまり、
        イメージ教育が無視され、おとしめられてきました。
       「絵」を楽しむことは、低い能力でしょうか。ピカソやモネをみて感動しますね!
絵本の「見開き(開いた2ページ)を、もっとていねいに見てください。
     → 「絵本」は、単に「言葉を読み聞かせる」ためにあるのではなく、
        全体を楽しむものとして評価し、子どもたちに手渡してあげてください。

絵本を通して、同年齢の人、年齢の異なる人、考えの違う人に出会います。
絵本を通して、他国(多民族)の文化、風土、風俗、美意識、考え方に出会うことができます。
絵本の扉をあけることが、他者への扉、世界への扉を開けることになります。

子どもたちと一緒に、想像の世界へ、そして他文化の世界へ一歩踏み出してみましょう。
子どもと絵本を読むことは、一方的に、読み手(おかあさん、おとうさん)が、
聞き手(子ども)になにかを伝えるという一方通行(ワン・ウエイ)ではなく、
読み手が聞き手からもらうものも多い、ツー・ウエイ行為です。
絵本を仲立ちにして、コミュニケイションすることができます。
語り合うことができます。
感動を共有することができます。
◆おとなが子どもと共に絵本を読むということは、
  おとなから、子どもへの、最高の贈り物です。
  子どもたちは、両親やおとなに心を込めて本を読んでもらうことで、
  他人とのイメージや言葉を共有することができることを知り、人を信頼し、
  愛することを学び、人と誠実に向かいあうことをからだ全体で学びます。
  子どもは、本を読んでくれた両親やおとなの声、思い、愛情を受けとっているからです。

◆おとなが子どもと共に絵本を読むということは、
  おとなが、この地球を託し、未来に生きる人への応援歌かもしれません。
  子どもたちと共に絵本の扉を開けることで、読み手であるおとなは、絵本からと同様、
  子どもたちからも、想像する力、生きる力、未来を信じるともし火をもらうことになるのです。

  心を込めて読みたい絵本を一冊一冊と丹念に探し、子どもに心を込めて読んであげてください。
  子どもたちと深く感動した絵本は、読み手であるおとなの一生の宝物になります。

会長:高見さん、さとうさん、司会進行役・薮内さんはじめ、スタッフの皆さん、ご苦労様でした。
伊賀生活情報誌【YOU】より