季節ごとのぶどうの様子


剪定前の様子です☆

 1 月

いよいよ「剪定」の時期です。
(寒さで心が引き締まります・・・(^^;)

去年の春から秋に伸びた枝には、
切り返し(切り戻し)剪定、
枝が多い所は、間引き剪定をします。
切り返しと間引きの使い分けがポイント!
この枝の各節目には、今年の芽が付いていますので
こすれて取れない様に
そぉ〜っとね。

剪定後の様子です☆  2 月

巨峰の剪定後です。
枝が重なると芽が出た後、日当りが悪くなるので
配置にも気を付けて。
切り過ぎると巨峰系品種では
無核果(種無し果)となってしまい、
実が小さく、まん丸の果実になってしまいます。

デラウェアでは、「ジベレリン処理」によって
強制的に種を抜いて、収穫期を早めていますので
巨峰に比べると切り返し剪定を多めにして
樹勢を強く維持する事がポイントです。

剪定後は、棚に枝を固定する
「種枝誘引」作業に入ります。
芽が出る前の枝の様子です  3 月

平均気温が上がり始めると
枝の切り口から無色透明な樹液が
ポタポタと落ちてきます。
この樹液が出ているのは1週間から10日くらいしかなく
ぶどうが1年間蓄えた栄養分の凝縮で
人間の肌に近い成分が含まれているらしいです。

(しかし、直接塗っていいものかどうか?(^^;)
ぶどうは一つの花芽から2つ芽が出ます。  4 月

芽が少しづつふくらみ、いよいよ発芽が始まります。
特にこの時期、盆地などでは晩霜が降り
芽が霜にやられやすいので注意が必要です。
(って言ってもどうする事も出来ないんですが・・・)
昔は、古タイヤや廃材などを園で燃やして
空気を動かし、霜よけを行なっていましたが、
今は、大気汚染の関係上
霜のない事を祈るだけです(笑)
「芽かき」後のぶどう園の様子です☆  5 月

芽が出て、どんどん伸びていきます。
樹勢の落ち着いた園では、3〜4枚の頃
(樹勢の強い園では、少し遅らせて)
芽の長さをそろえる目的で
副芽や弱い芽をとる「芽かき」作業を行ないます。

ある程度の長さに伸びたら日当りを良くするため
「新梢誘引」作業をします。
この作業は、ぶどうの新梢が伸び続けてている間
各作業に平行して行ないます。

デラウェアでは、副穂を切り落とす
「岐肩切り」作業を行ないます
ぶどうには、主穂と副穂があって
副穂は必要ないので開花前に
切り落としてやります。
「岐肩切り」をやりながら1本の新梢に
1〜3房残るように「摘房」作業も
はさみを使って同時進行で行っていきます。

さて次は、いよいよ種を抜くための「ジベレリン処理」です。
コップにジベレリン液(濃度100ppm)を入れて
一房づつていねいに漬けます。
処理適期が2日程しかないので天候との戦いです。
漬けた後、8時間以内に雨が降ると、
再処理しなければ商品価値はなくなります。

もし適期に雨が降りそうな場合、
「フルメット液剤」や「BA(ビーエー)液剤」を入れて
早期処理を行ないます。
また適期処理で降雨があった場合は、
「マイシン」を入れる事により後期処理も出来ます。

次に、巨峰では開花前に「花切り」作業をします。
この作業は花房を切り詰める作業で
実止まりを良くするために行います。
主軸の上から3〜5段を目安に落とし
切った所から13〜15段を残し、
そこより先端の主軸は切り落します。
10aで2万〜2万5千の花房がついていますので
一つ一つはさみで切っていきます。
(気の遠くなるような作業です)
「誘引」は白いテープを使っています☆
「花切り」作業の初期です☆
「花切り」後の満開時期です☆  6 月

巨峰の花です(写真上)。
花と言っても1つの花の大きさは2ミリ〜3ミリ、
デラウェアでは1〜2ミリ位の大きさです。
開花時期に雨が続いて低温だと
実止まりが悪くなるので、この時期も
ひたすら天気が良いことを、お祈りするのです(^人^)。
(安芸クイーンは特に心をこめて・・・)

次は、デラウェアの2回目の「ジベ処理」を行ないますが、
その前に、まだ房の数が多い場合は「摘房」を行います。
10a当たり10000房が目安です。(写真下)
平行して、「副梢取とり」を行ない、
余分な葉をとって、日当りを良くします。

2回目ジベレリンの処理適期は、満開から10日以降。
この2回目処理は、果粒肥大や熟期を早める事を目的とします。
この時点で1回目を漬け忘れた房は見分けが付きますので
ためらわず落とします。
「ジベ処理」が終わると、「袋かけ」作業に入ります。

巨峰では、開花後2週間以上経つと
種が入っていない果房や形の悪い果房が
分かってきますので、「摘房」します。
1本の新梢に1房残しが基本ですが
実を付けない枝も作らなければなりません。
この頃、ぶどうの木を見てパワー不足の様であれば
肥料をやって味と大きさ、色に磨きをかけます。
デラウェアの「袋かけ」前に撮りました☆
「摘房」前の様子です☆

 7 月

巨峰では、まだ房数が多いため「摘房」をしながら
「摘粒」作業に入ります。
1房の粒数は、だいたい30〜40粒を目安に
はさみで1粒づつ落としていきます。
売っているぶどうの形(?)に、この作業で仕上げます。
10a当たり5000房が目安です。






「摘粒」が終わると「袋掛け」作業です。
雨が袋の中に入ると、病気が出やすくなるので
口をしっかり閉じておきます。(袋の・・・です)

収穫前、色の付き具合が見える様に
袋の下をカッターナイフで切ります。
実を傷付けないように、気をつけて・・・

鳥や狸などもこの時期を良く知っていて
よく現れますので、おどしや網を張って
被害に遭わない様にしています。
袋をかけた様子です☆
収穫期を迎えたデラウェアです☆
 8 月

いよいよデラウェアの収穫時期を迎えました。
太陽を浴びると鮮やかな赤色が透き通って見えて
綺麗でしょ?










一房づつ袋の下から見て、
よく色の付いたものだけを収穫します。
袋がクッションの役目をしてくれますので
袋のまま、ぶどう畑から持ちかえります。
袋から取り出し、果軸を切りそろえながら
房を掃除し選別します。








箱詰めをして、重さのチェックを行ない
ぶどうに最後の別れを惜しみながら
ふたを閉めます(笑)。











8月下旬には、安芸クイーン(別名 伊賀乙女)の
収穫がはじまります。
このぶどうは、糖度が巨峰よりも高く
上品な甘さが特徴です。










同じ頃、巨峰も収穫開始です。
袋の下から見て、熟している果実だけを収穫します。
1本の樹木でも色の早く付くぶどうと
そうでないぶどうがあります。
早く熟した果実を収穫する事によって
まだ、樹木に残っている果実に
栄養分が行き渡るので、
どれをとっても「完熟ぶどう」な訳です。
畑から持ち帰って調整中の様子です☆
出荷前の最終チェックの様子です☆
畑での安芸クイーンです☆
収穫直前の巨峰です☆
収穫したての安芸クイーンです☆
 9 月

出荷もピークを迎えます。
安芸クイーンの色上がりは、その年の気候により
ちがった色を見せてくれます。
写真は、平成15年のものです。
巨峰も袋のまま、持って帰り
ていねいに袋から出して
粒の小さいものや色の悪いものを取り除き
選別します。


ぶどうと言えば長野、山梨、岡山と言った
イメージが強いですが、
ここ三重県の名張市、美旗地区でも
伊賀盆地の昼夜の気温差を生かして
甘くておいしいぶどうが栽培されていますので
ぜひ一度(何度でも・・・)、ご賞味下さい。
これで2kgあります☆

 10 月

収穫もほとんど終わりましたが
ぶどうの木は、来年の貯蔵養分をためるため
光合成を行ない、根で養分を取り込んでいます。

病気などで早く落葉させると
次の年の初期生育に影響するだけでなく
枝で病原菌が越冬するため
次の年も病気が出やすくなり、結果として
おいしいぶどうが実りません。

 11 月

山々は紅葉の季節を迎える頃
ぶどうの葉も徐々に黄色くなって
落ちてゆきます。
ぶどうの12月の様子です☆
 12 月

葉も落ちて枝だけの状態になりました。

ぶどうは、休眠期に入っていますが
元肥(もとごえ)をやって土作りを行い
来年の春、根が動き出した時に
すぐに養分が吸える状態にしておいてやります。
土の中の微生物は、気温が高いほど
活発に働いてくれますので、
遅くても12月中にやっておくのが理想です。






ぶどうの木は、1年に1枚づつ皮が包み込みます。
この皮の中は、冬暖かいため(・・・らしいです)
樹木の中に入る虫達の
お気に入りの住居となりますので
冬のうちに、皮をむいておきます。

今回は特別にモザイクなしで
ぶどうのヌードをお見せします(笑)
ぶどうのヌード(?)